一度で覚えられないような苔の名前を完璧に暗記している彼女だが、二度も出会って心を通わせた彼の名前は、知らない。それでもいいのだ。スープの温かさが胃にも心にもやさしい、ある出会いについてのお話。日にち経>>続きを読む
その気になったら2,3日(つまり2,3晩)で撮れるかもしれない、かなりミニマルな作り。終電乗り過ごしたおかぁちゃんがなんとかして朝方に帰宅するまでの間に、いろんな人と出会い関わって、良くしたり良くされ>>続きを読む
いくらなんでも、良すぎやしないか。個人的にはK点超えの(『ケイコ』を超える)傑作だ。
中盤から我慢できなくなった隣のおねえさんがチラチラスマホを触り始めていたけど、なんならその眩しい光すら、オリオン>>続きを読む
嗚呼。31年間映画製作から離れていたビクトル・エリセ。主人公はまさしく監督の分身。それにしても、デブュー作「ミツバチ」からちょうど半世紀を経て、アナ・トレントが放つあの一言。正直、あの一言のためだけに>>続きを読む
グラシネ池袋IMAX、上映後自然に起こる拍手。我慢して大人しく座っていられた自分を褒めたい、脳内絶叫上映。クリアな映像と音像いや、バカでかい画面とバカでかい音に圧かけられまくって、終始幸福。なんか途中>>続きを読む
相変わらずの入れ子構造、今回は"劇中劇中劇中劇"にまで層が分かれ、最初から最後まで途切れぬフラッシュ暗算並みの爆速字幕スーパー。不親切にも程があるし、しかも肝心のお話自体も別に魅力的ではない。でもやっ>>続きを読む
18分はあっという間。楽しかった思い出も、悲劇も、あっという間。でも愛する家族を失ってからも続く人生は、長い。なぜ自分だけいつまでも生きているのかと、「生き残ってしまった」ではなく「死に後れてしまった>>続きを読む
ウェス・アンダーソンとテリー・ギリアムを掛け合わせた、みたいな海外評を目にしたけど、何をおっしゃる結局超ランティモスだった、話題の新作。やっぱり出てくる奇天烈なダンスシーンあたりからズボッと吸い寄せら>>続きを読む
家族以外の誰かから注がれる愛によって、少女が成長を遂げていく。キム・ボラ監督の大傑作『はちどり』を思い出す。
この子が黙っているのは、必要なことしか話さないから。みんなもこの子みたいだったらいいのに>>続きを読む
コロナ禍にアルバム2作、その後にもう1作。アルバムごとのツアー最近やれてないか、じゃあ今までのアルバム全部まとめて3時間超えのライブやるか で誕生したとかいうThe Eras Tour。同時期公開のビ>>続きを読む
男性の腰抜けっぷりは意図的に強調され、圧倒的に芯の強い女性像が際立つ。これは、2023年にAppleスタジオから生まれた、巨匠による2つの大作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』、そしてこの『ナポレ>>続きを読む
最終作の、しかも終盤で、一作目からずっと張られ続けてもはやとっくにビヨンビヨンにたわんでいた、スネイプに関する「伏線」がようやく成仏する。ハリーもハリーで、まだ背も伸びきらないうちからあんなに「スネイ>>続きを読む
ここまで物語に華を添えてきた主要人物にもかかわらず、最期のシーンすら与えられず、「実はさっき死んだ」の事後報告で右から左へ受け流される、ムーディの死の悲報。ところどころアッサリしすぎてコケそうになるぐ>>続きを読む
暗いのは物語だけで結構。画面まで暗くなってしまったせいで、全情報の3割程度は暗闇に紛れて見逃している気がする。マジで「嫌がらせか」ってぐらい暗い。よく見えない。
さて、ロンがクィディッチでモリモリ頑>>続きを読む
オムレツ作ってるキッチンを延々捉えつづけるシーンには、ほんのり「ジャンヌ・ディエルマン」感すら漂う。日々の営みにフォーカスが当たるのは、その営みの中にドラマがあるから。過去を演じて再現して撮るワークシ>>続きを読む
そして、これ以降のシリーズから「あの人死んだのどれだっけ」のオンパレードで脳内がクッチャクチャになっていくのだ。悪く言えば、ここから最終巻まで大して差がなくただただ「全部暗い」。さほど感傷もないままに>>続きを読む
比較的平和だった前3作を受けて、壮絶な戦闘の火蓋を切って落として後3作へ渡す、分岐点として重要な機能を果たすのがこの「ゴブレット」。しかし物語としては、これがいちばんパッとしない。正直なところ前作の「>>続きを読む
爆裂大ヒットした前作を経て2作目製作しますとなった時点で、まともな監督なら「世界中のファンの期待を裏切らないこと」を命題にしてそれに終始するのは当然である(あるいは大人の事情で「当然にされる」)こと。>>続きを読む
最近10代の方と話す機会があって「ハリー・ポッターの映画が好きです!」と言うものだから嬉しくなって「懐かしい!映画館にも観に行ったなあ。原作の本の発売日に本屋さんに長ーい列ができるのがニュースで流れて>>続きを読む
ブラッドリー・クーパーは「この役が自分に務まるか、不安で仕方なかった」と、インタビューで先に読んじまってなあ。スピルバーグから監督を譲り受け、脚本の共同執筆にもかかわり、徹底的に指揮を研究し…バーンス>>続きを読む
地味。やっぱりキング氏のほうがカリスマ性もオーラも勝る。歯も抜けっぱなし。そんな人物でも映画の主人公になれる…とはいえやっぱり実はカリスマ、隙間が空いた歯にも理由があって…そう、この映画の主人公のこと>>続きを読む
支配する側の人間と、される側の人間。
その狭間に繋がれ、乳を搾られる牛。
主人公のうち、一人は料理の腕を持ち、地に足のついた男。もう一人はビジネス感覚に富み、常に上を目指す男。これの次の作品『ショー>>続きを読む
こういうインパクトの強い作品に出ると、ますます普通の役ができなくなっていきそうで勝手に心配になっている。脚本の前にキャスティングが決まっていたのかと問いたくなるほどの適役。「聖なる鹿殺し」の頃の激ヤバ>>続きを読む
芸術家仲間であり、互いに隣人でもあるミシェル・ウィリアムズとホン・チャウ。しかしなかなかお互いにそりが合わない。そんな二人の性格の違いは、それぞれが生み出すアートに如実に現れる。外側に爆ぜるようなダイ>>続きを読む
全部綿子の視点だったなこれ。いるはずの夫の不倫相手も、いるはずの夫の連れ子も、画面には一切映らない。なんなら亡くなった自分の不倫相手の妻の顔も、画面には映らない。夫婦の会話のシーンには、ことごとく正面>>続きを読む
年末年始に備えてNetflix再契約。と言いつつどうせ結局、数本見たら再解約。それはさておき予想外にホロリとさせられた今作、ほぼノーメイクでぶつかり合う名優2人の熱演を楽しむ。
不屈の精神で前人未到>>続きを読む
予習のつもりで物語のあらすじを頭に入れて臨んではみたけれど、そんなものは序盤10分の朗読でサラリと終了。あとは延々と、((なにこれ…))というシンプルな困惑とともに、OKテイクのない芝居を、本番のない>>続きを読む
中学生のとき姉が買ってきた「サバイバー」のCDのブックレットで、恐竜100万年みたいな格好して岩場にそびえ立ってるデスティニーズ・チャイルドの写真見て、「アメリカ怖え…」と震え上がってから早20年(!>>続きを読む
小津やブレッソンに捧げた結果、およそ2023年とは思えないなんとも古風な仕上がりに。携帯電話も使いこなさず、電話番号の伝達手段は紙の切れはし。友人はせっかくの美声をYouTubeに載せることもせず、レ>>続きを読む
「VFX、これ自分でやるの大変じゃないですか」って聞かれて「いやいや、自分でやるから楽しいんですよ」って答えてる山崎貴監督。エンドロールにはさぞかし大量のクリエイターの名前が(なんなら横文字もたくさん>>続きを読む
冒頭から人が死に、次々に被害者が増えていく前半。そして加害者が探され、見つかり、裁かれる後半。かわいい子供たちの未来も守れないで大人たちは何をやっているんだと叫びたくなるような、何とも情けない展開へ。>>続きを読む
冒頭、老夫婦がベランダでワインを酌み交わしながら「人生は夢ね」「人生は夢の中の夢だね」と言い合う、のどかなシーン。その後、はかないバラを命にたとえた曲が長々と流れる。この歌詞がなんともキツい。朝目が覚>>続きを読む
マディのおしごと 恋の手ほどき始めます、などというウンコみたいな邦題つけた人に対してはhard feelingsしか抱かないけど、それこそ「機内で観るのにちょうどいい」みたいな軽さをもって語られるのは>>続きを読む
仲の良かった友達が結婚する。素直に喜ばしいけど、なんか淋しい。自分はまだ独身。相変わらず仲は良いけど、なんか今までと違う。気持ちがすれ違ってるわけではないけど、なんか今までみたいにガッチリ噛み合ってる>>続きを読む
バーベンハイマーとかなんとかいう、あのしょうもない騒ぎがなければ、少しでも状況は変わっていただろか。今後日本公開が決まる頃に、また何らかの反発は起こるのかしら。「いい映画だけど、僕なら広島と長崎で何が>>続きを読む
音楽に気を取られてしばし映像をポカーンと眺めるばかりになってしまう瞬間と、音楽を忘れてしばし映像に没頭してしまう瞬間を、行ったり来たり。とにかく、レアな体験だった。
「水は低いところへ流れる」とのこ>>続きを読む