ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ピロシキ

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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.2

静かで穏やかな時間の流れと、残酷で容赦のない物語のコントラスト。これは、我が物顔で動物や自然を蹂躙する人間たちに向けられたアラートだ。腹が立ったら壊す。使えなくなったら棄てる。人間さまの都合に振り回さ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.7

マリオが何度も失敗しながらトレーニングコースをこなすシーンで、ボニー・タイラーの「ヒーロー」が流れる。製作側が空耳アワーの「兄が疲労」を意識して選曲していたら素敵だなあと思う。弟を救うために、兄は疲労>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

3.3

冒頭から、歯のないおじさんによる魂のロックナンバーをフルコーラスで聴くことになる。絵画教室、おじさんのギターソロ、ダンス教室、ピアノマンの独唱。自由を謳歌しているように見えて…実は全然そんなことない事>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

3.9

京都が舞台なのに誰一人関西弁を話さないし、大学はどうやら不特定なのにキャンパス内にガッツリ立命館大学と書いてあったりして、冒頭から細かいところがいちいち気になってしまって困った。しかしながら物語が進む>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.7

貧困。被害に遭った女性たちの親が「あんな娼婦、私の娘じゃない!」と言いながら泣きじゃくるシーンに居た堪れなくなる。貧困を生き延びるために、あるいは幼い子どもを養うために、娼婦になることを選ぶ女性たちが>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.2

アカデミー賞にノミネートされたのが3部門(主演男優賞、メイクアップ賞、助演女優賞)だったという事実が、まさにこの作品を物語っているかのようである。ブレンダン・フレイザーの熱演と彼に施された精巧なデブメ>>続きを読む

わたしの見ている世界が全て(2022年製作の映画)

4.2

えーー 面白い。それぞれの行動に善し悪しをハッキリつけず、なんというか、誰に自分を「寄せる」かによって見方が変わってくるような脚本がすごい。

妹による兄ちゃん姉ちゃん自立計画は大成功、家族はめでたく
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.6

コンスタントにほぼ3年周期で新作を届けてくれるベルギーの巨匠による、アフターコロナ一作目。前作からの3年間でまた世界は大きく変わった。これによってダルデンヌ監督も変わったのかもしれない。いや、飾り立て>>続きを読む

アザー・ミュージック(2019年製作の映画)

4.3

知る人ぞ知るめっちゃ良い音楽をNYのワンブロックから発信し続けて、やがてアニマル・コレクティブ、ヴァンパイア・ウィークエンドなどという今やヘッドライナー級のデケぇバンドが世に知られるきっかけを作り出し>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

原作の漫画は未読。気になる点はどれも原作に向けたものになってしまうかもしれないけれど…「夢を持つのは大事」とは認めつつも、ちょっと夢物語が過ぎたかな、と思ってしまった次第である。まずレコードデビューも>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.4

ダニエル・ラドクリフが屁で海を驀進する下品でイタイ前作は、最後に突然の感動展開があって、はぁ?って感じであまりハマらなかった。そして、1年心待ちにした最新作。案の定ケツアナ確定などの下品なギャグはまっ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.4

今までスピルバーグをあまり熱心に追いかけてきたわけではないけれど、スピルバーグと同じ時代を生きていられることはやはり、喜びなのかもしれない。「ユニバーサル」の地球のロゴの前にヌルっと月が現れて「アンブ>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

3.5

エルヴィスのステージを初めて目撃した若い女性たちが「え、なんかヤバくない?ちょ…なんかヤバいんだけど〜!!」と、徐々に立ち上がってブチ上がっていくシーン。エルヴィスが腰を振るたびに観客の熱狂が増してゆ>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

3.6

今泉力哉作品、もしやNETFLIXとの相性が良いのかもしれない。申し訳ないことにご飯作ったり食ったりしながらスマホで気軽に観たのだが、実際これぐらいのスタンスで向き合うには丁度いい雰囲気だったりした…>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.7

監督曰く「主演はオリヴィア・コールマンしかあり得なかった」ようで、彼女を思い浮かべて物語を組み立てたのだそう。女王陛下に引き続き、なおもメンタル病み病みな役を当ててしまうサム・メンデスの底意地の悪さ(>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.8

「孤独」を扱った作品によく出会うようになった気がするのは、きっとコロナ禍の影響もある。そもそもそういう作品が増えたのか、もしくは自分がより孤独に対して敏感になっただけなのか。このカンヌグランプリ作品も>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.5

2時間半の内訳は、ザックリと第1部30分・第2部1時間・第3部1時間。冒頭のファッションショーで背景に映る"Cynicism Masquerading as Optimism"(楽観主義を装った皮肉?>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.1

パク・チャヌク最新作。前作『お嬢さん』を観た時はワタクシ「優れた映画に大事なのはチ◯ポよりテンポ!」などとぬかして大興奮してしまったが、今回はそのテンポすらもなんだかイマイチで、残念無念。

お互いど
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バビロン(2021年製作の映画)

4.1

表面的なプロダクションや事実に反する描写への批判があるのは理解できる。チャゼル監督に対しては「100年早い」という評論もあったようである。しかし、実際のん気に100年待っていたら、映画業界なんてもうと>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.3

舞台裏ドキュメンタリーもみた。ほんとうに、クリエイターには足向けて寝れない。完成まで15年を費やした、リアリティへの半端ないこだわりによって生まれた映像は、たしかに劇場で観られるべきだろう。

そして
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その道の向こうに(2022年製作の映画)

3.8

「彼氏いるかってさっき聞かれたけど私の場合彼氏じゃなくて彼女なのよね、今はいないけどもしいるってなったら彼女なんすよ」「おぅ、そうなんだ」でサラッと次のシーンへいく感じが、なんか新しい。セクシャルマイ>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.6

大自然に囲まれてはいるがあまり日光を浴びていなくて幸せホルモンは少なそうな、架空の島の住人たち。海の向こうの内戦はオオゴトだが、親友同士のケンカだってじゅうぶんオオゴトなのだそうだ。

おっさんがおっ
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.8

第一次世界大戦勃発、オリジナル作1930年、アカデミー賞受賞、第二次世界大戦勃発、リメイク作1979年、戦争戦争戦争、本作、アカデミー賞ノミネート、なおも戦争

「恋人に会いたい」「母に会いたい」と口
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ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

3.5

誰かを愛することによって苦しみ、裏切りを味わい、失望し、遂には孤独になる。それでも人は愛を求める………彼女が最も強い愛を向けた先は、結局のところ彼女自身だったのでは、などと思ってしまったりもしたが、実>>続きを読む

奇跡(1954年製作の映画)

4.3

信仰の薄さによって、愛する妻を失う長男。信仰があまりに厚く、自らをキリストとよぶことで家族から呆れられる次男。信仰の違う女性を愛したことで、家族から反対され結婚を認められない三男。それぞれに決着がつく>>続きを読む

愛の昼下がり(1972年製作の映画)

3.6

愛の昼下がり、なんともメロドラマティックなタイトル。妻への愛がなくなったわけではない。でも、妻以外の女性に惹かれている自分がいる……そんな具合に上司が開き直って、自分が働いてるオフィスに上司の昔の女が>>続きを読む

クレールの膝(1970年製作の映画)

4.0

世界最高峰のヒザ映画。結婚を間近に控えたキモい男が、年端もいかない少女との駆け引きを始めるあたりから眉間に皺が寄りっぱなしだった。ところが中盤、満を持してヒザ神・美少女クレールが降臨してからは、キモお>>続きを読む

モード家の一夜(1968年製作の映画)

3.8

女の部屋に取り残される男。中盤二人きりになって迎える「一夜」の長く長く小気味よい会話の応酬。舞台劇を観ているようだった。

いろいろ能書き語ったり講釈垂れたりしてるくせに、誰も本当のことを言わないまま
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コレクションする女(1967年製作の映画)

3.7

ロメール6つのエピソード、これの一個前はたしかワガママ爆弾娘に振り回される哀れな男子の話だった。これも似たようなものかと思っていたら途中からベクトルが変わった。「この女、俺に気がある…」などとのたまい>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.5

頑張った!勝った!エイドリアーン!というような、かつてのわかりやすい快感は不要。そもそもたまたま題材がボクシングだった、それだけのことだ。

三宅唱監督のインタビュー記事での言葉を拝借するなら、ここで
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.8

色々やりすぎではある。ずっと何見てるんだろうコレ、という変な違和感もある。トゥルとかトゥルカンとかトゥクトゥクとかよく分からない名前も、まるで皆さまご存知かのように続々と出てくる。

監督曰く、3時間
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そばかす(2022年製作の映画)

3.1

『ドライブ・マイ・カー』でタバコを吸い車を乗り回していた三浦透子になにやら無性別的な魅力を感じて「ヨッシャ、コレで一発当ててやろう」と製作側が思い立ったか。そうですと言われたら浅はかだと返したくなるし>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

3.6

「あなたは〈彼女〉を、体験する」という宣伝文句はあながち間違っていない。カメラが常に彼女のそばを離れず顔面もドアップでひたすら追い続けることによって、視点は一人称になる。彼女が見るもの感じるものすべて>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.5

無数の英国人たちを撃って射って殴って刺して、あげくには国旗をひるがえし「母なるインドのために!」と叫ぶ。現代劇なら「お、おぉ…」という気持ちにはなるだろうが、物語の舞台となるのは1920年。英国植民地>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.1

公開前に集まった盛大な批判の数々にビビり、放たれたボールがゴールリングの上をグルグルと回るような気持ちでおそるおそる観に行ったが、見事シュートが決まった!という感触でございます。

漫画を経てアニメも
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

2.5

総じて意味不明。論じるための教養も周辺知識もスキルも気力もない。怪しい薬の副作用「物忘れ」を発動することもなく、ほっといても明日には忘れていそうな作品だった。

エンドクレジットに関してはLCDサウン
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