チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 34ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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デモンズ(1985年製作の映画)

3.5

ダリオ・アルジェントが先輩の息子を導いた作品。
ストーリーと映画内映画がシンクロするなどサービス精神旺盛だが、基本的な構成はゾンビの系譜。
グロめのスプラッター場面が結構ある。

80年代半ばの作品と
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ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

3.5

ハイティーンの少女が直面するストラグルがてんこ盛りとなった脚本だが、過剰なドラマに流れることなく進む、軽妙なタッチが魅力的。
スポ根や不良の転落劇などの鋳型は巧妙にかわしつつ、シュールに展開する前半が
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Mommy/マミー(2014年製作の映画)

3.5

等身大のキャラクターたちが繰り広げる物語を躍動的に、時にスローモーションも交えながら活写している。
マイノリティを取り巻く社会問題を性急に突き付けてくる監督らしい作品で、当事者たちの間に横たわる深い愛
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アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

3.7

映像がユニークでスタイリッシュ。また陰鬱で男性的な重みがある。
そもそも冒頭の数十秒は真っ暗。
背景を一切排した光と闇の中で展開する場面も多い。

筋自体は単調で、脚本でなく映像で考えている監督の作品
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コンテイジョン(2011年製作の映画)

2.5

ドラマを極力排したパニックもの。
一応ヨーロッパやアジアから俳優を客演させているが、アメリカ制作であり「あくまで同国を中心に展開する映画を鑑賞中」という客観性は、最後まで拭えなかった。

実際のコロナ
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魅せられて(1949年製作の映画)

4.2

愛情に飢えたままミリオンドラーになってしまった男が引き起こすSM型愛憎劇で、個人的にはゾクゾクするほど好み!
偏屈ぶりの描写が特に興味深く『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のプロトタイプ的作品とも呼べそ
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マイ ビューティフル ガーデン(2016年製作の映画)

1.7

冒頭10分で「これもアメリ・シンドローム映画かしら」と訝しんだが、キャラクターづくりが徹底しておらず、フォロワーと呼ぶのさえ微妙。
強迫神経的な女が、初対面の男を家政夫として雇い、その子供たちまで自室
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緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

3.5

照明は明るめで、優雅かつ楽しげな音楽が全体を覆う。
しかし登場人物たちの軽佻浮薄な邪悪さは、不快感を徹底的に煽る。
特にサテンのワンピース姿が鮮烈なジョーン・ベネットの、神秘性のかけらもないビッチぶり
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セックスで繋がる3つの世界/ZOOM ズーム(2015年製作の映画)

2.5

アニメーションまで駆使してメタメタな世界を構築している。
特に映画内映画の場面は映法が凝っており、編集も目まぐるしい。
しかし思想はなく、全体的にペラペラ、登場人物たちへ注ぐ愛情も薄い。
せいぜい「お
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ブロンドの殺人者(1943年製作の映画)

3.5

ワーナーのミュージカルで陽気な若熊ぶりを発揮し「暗闇でイケないことしよう、悪い娘チャン」などと歌っていたディック・パウエルが、ノワールに挑戦してどう変わっているのか、ワクワクしながら鑑賞した。

レイ
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赤い靴(1948年製作の映画)

4.5

天職と家庭に引き裂かれる女性を描いており、本作を観た女性アーティストたちからは「幼い時に観て、結末に失望した」という声も寄せられている作品。
確かに「女が多くを望めば、こうなる」という意図が働いた脚本
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紅の拳銃(1961年製作の映画)

4.0

日活といえば裕次郎、小林旭などが想起され、どうしても古臭いイメージが先に来るが、偏見を捨て実際に観てみれば、毎度驚かされることばかり。
赤木圭一郎の出演作を観たのは今回が初めてだったが、一発で目がハー
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ジャーロ(2009年製作の映画)

3.7

人が寄り付きたがらないはずの地下オフィスや犯行現場の照明が明るすぎてイマイチ、日本語が登場するのにイタリア語は全然登場しない、そして日本語はかなり適当などなど、突っ込みどころが満載。
そもそもタイトル
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ヘンリー(1986年製作の映画)

3.7

事実とはだいぶ違うようなので、あくまで同名の殺人鬼を描いたフィクションとみるのが妥当(なお劇中のヘンリーにはインポテンツ、オーティスにはバイセクシュアルの傾向が見られる)。

低予算が却って功を奏して
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都会の牙(1949年製作の映画)

3.5

悪意に巻き込まれた主人公の辿る狂騒を回想形式で描く、ノワールらしい作品。
遅効性の毒やらサイコパスの用心棒やらの蠢く異常な物語は、今観てもかなり病的。
前半は会話さえ遮る大音量の音楽に満ち、中盤以降は
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ブレス(2007年製作の映画)

3.5

暴力的な場面はあるものの、ほとんどが登場人物の内側へと向かうもので、監督作の中では平穏な雰囲気。
奇跡を待つ停滞、その中に潜むシニカルなユーモアが特徴的で、突飛な歌唱場面(ミュージカルと呼ぶほど作り込
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Tメン(1947年製作の映画)

3.5

役人が出てきて美談を語る冒頭から一変、背後の強い光で影法師と化した男が、漆黒の闇から浮かび上がった男にズドンと撃たれるハードな本編へ雪崩れ込む。
潜入捜査を描いており、後年のアイディア継承作を見慣れた
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バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所(2012年製作の映画)

3.0

ブラックアウトする場面が多々あり、夢と現実をない交ぜにしたがる編集も目立つ。
あまり重要でない場面の照明でカラヴァッジオ光線が再現されていたりもするが、特徴的なのは救いのない脚本。
カタルシスはおろか
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バイバイ・モンキー/コーネリアスの夢(1978年製作の映画)

3.7

ニューヨークでジワジワと腐っていくヨーロッパ人の姿が、やるせなく描かれていく。
先延ばしにしていた問題が雪崩のように襲い掛かってくる終盤までは、モラトリアムな登場人物たちの生活描写が延々と続くものの、
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いつだってやめられる 7人の危ない教授たち(2014年製作の映画)

3.7

ドタバタコメディだが、シニカルな脚本は確かに面白い。
面接で大卒を隠す場面が、特に笑えた。
メインキャラの確固たる強みが人気へと繋がり、以降続編が2作も作られていくという流れは、まるで『Mr.レディM
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夜の第三部分(1972年製作の映画)

3.5

すでに脚本が難解で分身好みの傾向も表れているが、デビュー作とあり、カメラの冴えた躍動感に若さが漲る。
どんよりとした曇り空、セピア調の色彩の中に、黒が力強く浮かび上がってくる画面も美しい。
そして役者
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(1949年製作の映画)

3.5

ディズニー子役が活躍する異色のサスペンス。
廃屋ビルのセットを活用したクライマックスが迫力満点で、3階に役者目線で据えられたカメラが地上へ向けられた時、想像以上の高さがリアルに迫り来る。
戦後のニュー
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恋しくて(1987年製作の映画)

3.0

「これでワッツが男だったら、立派なゲイ映画になる」と思うぐらい、脚本がマイノリティ支持に傾いたドリーミィな映画。
米国ハイスクール内に厳然と存在するカーストの過酷さが、偲ばれる。

王女テラの棺(1971年製作の映画)

2.7

撮影や編集には一定のクオリティあり。
しかしセットがモノクロの前提をズルズルと引き摺っているので、仕方なく脳内変換しながら観ていた。
だが1箇所だけ、背後の強いライトが髪をなびかせるヒロインの神秘的な
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裸のキッス(1964年製作の映画)

3.7

「編集に粗さが残る」、「セットは安っぽくないのに、照明が平坦なのか、妙に書割ぽく観える」など、インディ臭はそこかしこに漂うが、決してつまらない映画ではない。

本作は数ある娼婦映画の中でも、正直なヒロ
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ストライク・アップ・ザ・バンド(1940年製作の映画)

3.5

開始1時間後までは学園ものなのだが、次に来る舞台場面がわりと長いため、気分が一新されるというもりだくさんな構成。
そして終盤にはドラマが詰め込まれ、大団円を迎える。

バークレイはスターを迎えた監督作
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ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密(2017年製作の映画)

3.5

メインキャラ3人の描写はどこまで事実なのかわからないが、遺族が公開を止めなかったのだから「ある程度、こんな感じだったのか」と受け止めて良いのかもしれない。

女性監督だけに、女性キャラの性格描写はしっ
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