チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 36ページ目

チッコーネ

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好男好女(1995年製作の映画)

4.0

劇中劇と登場人物をシンクロさせたいという意図は見えたが、監督が描きたかったのは、やはり建国期に生じた悲劇(劇中劇)であったのではないかと思う。

しかし本作の制作当時は、かつて監督が起用したトニー・レ
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女囚の掟(1950年製作の映画)

3.5

真っ暗な護送車内部からスタートする女囚物の古典。
冒頭10分程度でヒロインの置かれた状況はすべてわかる、優れた展開。
しかし政治的な思惑と看守の腐敗、そして外部から女囚たちを操る犯罪組織の暗躍が相俟っ
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37セカンズ(2019年製作の映画)

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実は私、この映画にエキストラとしてチラッと出ていまして、いわば身内なので客観的なレビューは控えます。
代わりに撮影日のエピソードを書こうかしら、どこも聞きに来てくれないから(笑)。

私たち3人の派手
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4匹の蝿(1971年製作の映画)

3.7

初期監督作品の音楽はモリコーネが多く、おしゃれな雰囲気。
しかし本作はメインキャラがミュージシャンで、ブルージィなロックの躍動感も盛り込まれている。

犯人候補が何人もいたり、犯人征伐の方法が最後まで
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ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

3.5

VODで久々に鑑賞。
リンチが執拗にこだわるモチーフが、本作にもびっちりと詰まっている感じ。
ただ優雅な雰囲気はあまりなく、終始殺伐とした焦燥感に溢れ、舞台美術にも色気がない。
また観衆を震え上がらせ
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クレイジー・キラー/悪魔の焼却炉(1969年製作の映画)

3.7

犯人の動機を幼少期に遡っていくジャーロはほかにもあるが、本作は全く別の角度からオカルト要素まで加わるという、混沌とした脚本。
全体を夢幻的な雰囲気が覆っている。

撮影も兼ねる監督は撮りたい絵がしっか
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フットライト・パレード(1933年製作の映画)

3.5

犯罪映画にもミュージカルにも対応できるのはリタ・ヘイワースぐらいかと思っていたのだが、キャグニーのタップもすごくて驚き。
今回ばかりはディック・パウエルも、一曲だけルビーを譲っているし…、潰しの利く俳
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ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.5

これまでにも監督の自伝的な作品はあったが、今回は懐古や死の香りが濃厚に漂い「監督、病気なの?大丈夫かなぁ」と思わず心配に。
舞台美術は相変わらずカラフルなのだが、色調は抑え目で、闇や影が付きまとってい
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血と砂(1965年製作の映画)

3.5

戦場を舞台にした東宝のヒューマニズム劇。
役者がかぶっているのはもちろん、頭脳戦を軸にした展開のため、いやがうえにも黒澤映画が想起される。
しかしジャズ好きな監督の嗜好は充分に反映されており、常に音楽
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女体渦巻島(1960年製作の映画)

4.0

タイトルがナンセンスなのはいつものことなので、あまり気にしなくて良い。
せいぜい舞台が離島というだけで、あとは適度にリアルでスリリングな娯楽サスペンス。
監督のこのテの佳作にはモノクロが多いが、本作は
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告白小説、その結末(2017年製作の映画)

1.5

すでにどこかで観たような脚本で、意外性ゼロ。
中盤で一瞬、攻守逆転しそうになってワクワクしたのだが、その勢いも尻すぼみに。
実際にデルフィーヌという作家の原作があるようだが、ポランスキーのサイコホラー
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終着駅(1953年製作の映画)

3.5

モンティが出演したデ・シーカの映画があるとは知らなんだ。
主演女優は「誰よこれ」って感じだったのだが、カメラや照明も、彼女よりモンティの美しさを際立たせているのが面白い。
またアメリカ映画が欧州を舞台
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透明人間(1933年製作の映画)

3.7

監督のフランケンシュタインシリーズの合間に制作された一本。
透明人間となった主人公を、冷酷な悪漢として容赦なく描いているのが、潔い。
またフィルムをいじる技術は、1930年代から存在していたのだと確認
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フランケンシュタインの花嫁(1935年製作の映画)

3.5

一部のキャスト以外が再登場する、続編。
「結末が微妙」という第一作の欠点が、脚本にもしっかり反映されているのが面白い。

花嫁の出番はわずかだが、突飛なスタイリングはいま観ても秀逸で、惚れ惚れ。
また
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フランケンシュタイン(1931年製作の映画)

3.5

古典だが冷静にコントロールされた、秀作。
特に天井の高い実験室のセットが素晴らしく、天窓から手術台を引き上げていく工程など、いま観ても斬新な場面が多い。

原作の舞台はスイスなので、花婿の結婚衣装がド
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フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

3.7

マイノリティによる痛快な勧善懲悪物語だが、彼らを嗤うブラックユーモアも鷹揚に盛り込まれている。
嵐の夜、仇敵へ突進する彼らの姿には異様な迫力あり!
本作のように隠れず、尻ごまず、自らのポテンシャルをフ
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彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)

3.7

イスラエルの街並みと人々の生活を垣間見れる貴重な作品。
外国人への警戒心や猜疑心が頑なに渦巻く排他的な社会と、そこへさ迷い込んだドイツ人とが絡み合い、サスペンスのような緊張感が生み出されている。

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ゴールド・ディガース(1933年製作の映画)

3.5

映画自体は低俗なキャラクターが幅を利かす、悪ノリコメディ。

バークレイのミュージカルは定番のカレイドスコープ・レビューから、ピープショウの要素を巧みに取り入れた内容までと多彩。
また大恐慌時代の世相
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青春群像(1953年製作の映画)

3.7

20年位前に一度観たきりだったフェリーニの初期作を、VODで再鑑賞。
改めてこの頃から魅力のある作品を撮っていたんだなと、再認識。

高度成長期直前のイタリア田舎町が舞台で、一見ネオレアリズモ風の作品
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処女の生血(1974年製作の映画)

3.5

明らかに笑わせることを意図した演出で、渾身の痙攣演技で応えるウド・キアに感心。三女の悲鳴も素晴らしかった。
醜いわけではないのに、カサカサに乾いた女優陣の棒読み台詞はポルノ映画を彷彿とさせる。
アング
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フェノミナ(1985年製作の映画)

3.7

畳みかけるようなラストがサービスたっぷりで、満足。
恐怖の対比に無垢な少女を置く手法はそれほど目新しくないけど、ジェニファー・コネリーは過酷な演出にきっちり応えている。
彼女が学園の庭で立ち止まり、ゆ
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天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

3.7

ジャン=ルイ・バローの素晴らしいパントマイムが、作品に非凡な力を与えている。
それに比べると脚本は、さほど面白くない。
舞台場面が脚本の進行のために何度もスポイルされるので、がっかりすることが多かった
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四十二番街(1933年製作の映画)

3.7

国内ソフトでバスビー・バークレイによるミュージカルシーンが確認できるうれしい一作。
「上空からの撮影あり」を前提に構成された、万華鏡のような人海戦術がいま観ても本当に斬新。オリー=ケリーの衣装も素晴ら
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未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

3.5

学生運動を経たインテリが妙齢を迎え、子世代の潔癖や主張、そしてマーケティング論に翻弄されていく姿が、身につまされる。
さらに親世代が引き起こす面倒まで襲い掛かってくるのだから、たまらない。

ユペール
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現金と美女と三悪人(1950年製作の映画)

3.0

新東宝で本格的な監督業をスタートさせた市川崑のクラシック。
船内からスタートし、人里離れた北海道の山奥へ舞台を移すという展開はスケールが大きく、俳優陣も泥沼で派手に転んだり、乱闘したりと迫力満点。
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いぬ(1963年製作の映画)

3.5

良く練られた脚本がスリリングで、結末はハードボイルドな一本。
長い地下道を往く男を追い続けるオープニングや、360度回転していくカメラの前で展開される取り調べの長回しなど、工夫に富んだ撮影も目立つ。
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哀愁の湖(1945年製作の映画)

3.5

ジーン・ティアニーが性格異常な女を演じているのだが、演出を何とかしてあげれば良かったのに、という感じ。
「独占欲も度が過ぎる」という悲しさ、その原因などをもう少しうまく引き出せれば「可哀想な女」という
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実録三億円事件 時効成立(1975年製作の映画)

3.5

企画ものだからあまり期待していなかったのだが、面白かった。
そもそも事件自体が未解決なので、例えいま情報を探しても、出てくるのは憶測だけ。
どうせ誰にも真実がわからないのだから「想像をめぐらせる」とい
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叫びとささやき(1972年製作の映画)

3.5

体面重視なブルジョアに批判的な視線を投げかけている作品だが、演出は透徹。
時にファンタズマの力まで借りながら、彼らの倦怠や無関心、孤独、そして人生への後悔に充分な理解を示す。
それゆえか、内面を探るよ
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大統領の陰謀(1976年製作の映画)

3.0

ウォーターゲート事件の突破口を開いた、ワシントンポスト記者2名についての映画。
I.F.ストーンを師と仰ぐ米独立系ジャーナリストでさえ一目置いた仕事を描く作品なだけに、展開は地道。
ふたりの人気俳優を
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甘い抱擁(1968年製作の映画)

2.5

レズビアンものの古典なので観てみたのだが、とにかく不快感満載な作品。
仕事も恋愛も斜陽気味なあまり、周囲に当り散らすレズタチババァの主人公には、チャーミングさのかけらもない。

アルドリッチ監督といえ
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