チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 38ページ目

チッコーネ

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スノーデン(2016年製作の映画)

3.5

映画で事実をざっと学ぶという感じ。監督に合った題材で、過去と現在が入れ子状の構成。緊張感はある。
こんな内情が告発されても、まだ米国民は愛国主義の奴隷なんだろうか、恐ろしい…。

不死鳥(1947年製作の映画)

3.0

撮影当時、絹代が38歳で佐田啓二が21歳。20歳近い年齢差のあるふたりをカップルとして配置することに、かなり無理がある。
ダブつきかけた顎におさげ髪を提げ、小首を傾げながら可憐に微笑もうとする絹代の目
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ダーク・シャドウ(2012年製作の映画)

2.7

ドラマの方は知らないが、大人の暇つぶしとして機能するよう、監督が設けたフックが多数。
ここまで画面を加工する映画を観たのは久々なので、全体の色調とか舞台美術がどこまで本物なのか、全然わからなかった。
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絶対の愛(2006年製作の映画)

5.0

異常と呼んで差し支えない性格を持つ女性が引き起こす、ドロドロの恋愛劇を描く。

男性監督がこうしたテーマを選ぶと、自身の理想を投影するあまり、ナンセンスな内容へ流れやすい。
しかし本作は展開がかなり極
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ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.0

団地という閉ざされた空間を舞台に、日常に潜む狂気をコメディタッチで炙り出そうとしている。
男女それぞれのメインキャラにフォーカシングし過ぎたためか、群像劇ならではの楽しさが薄れ気味で、ちょっと残念。
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.5

かなり話題になっていたので、却って懐疑的だったのだが、面白かった。
はじめは「ワンカットのゾンビホラーだけで充分だったのに…」と思ったが、その後の部分も良く出来ている。
後半の脚本を想定したうえで、実
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私を野球につれてって(1949年製作の映画)

2.7

「バスビー・バークレイの監督作品なのに、よりによって極保守の野球が題材なんて…」と、観る前からガッカリしていた。

予想通りの内容で、地味な背景のミュージカルシーンは凡庸。エキストラも最小限で、ジーン
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水着の女王(1949年製作の映画)

3.5

本作ではエスター・ウィリアムズよりも、ザビア・クガート楽団の見せ場の方が、断然印象に残る。
アメリカでラテンミュージックが(欧州から逆輸入され)流行り始めた時期と、マーティン・デニーらのエキゾミュージ
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悪の法則(2013年製作の映画)

3.7

舞台美術や美粧にお金がかけられており、画面のクオリティは高い作品。キャストも豪華で、スターの魅力がほとばしる。しかしそれぞれ救われず、悲惨な目に遭うという展開、アメリカ映画にしては斬新。まぁ監督がイギ>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

3.0

イギリスバンドの伝記映画がアメリカ製作で大当たりを取ったが、
こちらはアメリカン・ミュージカルスターの伝記映画で、イギリス製作。

もともと英国映画の作風は至極オーソドックスだが、伝記映画ならではの美
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Long time no see(2017年製作の映画)

1.0

あまりの酷さに驚いた。
脚本も編集も支離滅裂で、呆れるほどご都合主義。
アジア映画の悪いところが凝縮されたような演出や音楽は、とことん陳腐。

ゲイの抱えているストラグルが、こんな駄作に利用されている
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プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角(1986年製作の映画)

3.5

『キャンディキャンディ』みたいな学園ものだが、古びてはおらず、現代でも充分通じる内容。
監督作品に比べると濃度は薄めだが、ジョン・ヒューズのタッチは残されており、キャラクターへの愛情が強く伝わってくる
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

開始30分ぐらいから『冴えている、しかも勢いと余裕がある作品』だとわかり、映画的な視座などすっかり忘れて物語にのめり込んだ。

「受験に失敗したら、その後の人生も浮上できない」など、小耳に挟んだことが
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ある愛のすべて(1972年製作の映画)

3.2

峠を過ぎスタジオに解雇されたハリウッド黄金期の大女優が、イギリスに招かれ作品を撮るケースは多いが、本作に関しては「さすがリズ」という感じ。
殺人鬼でもコメディエンヌでもないが『ヴァージニアウルフなんか
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フェリスはある朝突然に(1986年製作の映画)

3.7

監督の後年の脚本仕事に繋がる『調子づいた子供の反逆コメディ』なのは共感しにくいものの、
シニカルな客観性がエンタメに繋がっており、予想の先を行くトリッキーな展開は軽妙。

ハッとするような構図のカット
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ラスベガスをやっつけろ(1998年製作の映画)

3.5

男目線の暴走バディ映画を久々に観た感じ。全体がドラッグのナンセンスな酩酊で覆われ、シュールなコメディタッチが付き纏う。
演出が極端なせいで、時折役者たちの素顔が覗いてしまいそうな瞬間もあり、ハラハラ。
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フェリーニに恋して(2016年製作の映画)

1.5

フェリーニ、イタリア、そしてアメリカのはずなのに、演出はタレント主演のアジア映画のように大甘で、むず痒さ横溢。監督はフェリーニの世界観の本質を、きちんと掴んでいない。
ジャン=ピエール・ジュネの方が好
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裸の告白 ~彼女たちの場合~(2013年製作の映画)

1.5

女流監督で、フェミニズム視点が全編を覆っている。
このため、あらかじめ「業界で大成功を収めた女優限定」というバイアスを張っているのが鼻白むところ。
どんな業界であれ、首席にいる者と末席にいる者の間で、
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バブルと寝た女たち(1998年製作の映画)

2.7

脚本/演出/照明/撮影ともに火サスかVシネレベルだが、演者はそれほど悪くはなく、生活感のない舞台美術も空虚な設定と奇妙に合致している。場面を自然に転換させようと努める、撮影/編集も数ヶ所。
自国の近代
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キッズ・オールライト(2010年製作の映画)

3.5

「新しい家族の在り方」の模索は、2000年代ゲイ映画の主要テーマのひとつであった。
そこでは主に「前例のない中で、これからどうやって家族を作っていくか」が語られていたが、
本作ではあらかじめ、主人公の
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伝説のディヴァイン(2013年製作の映画)

3.5

今年の東京レズビアン&ゲイ映画祭で、何か観ておくべき作品はあるかなと、ラインナップをチェック。
イスラエルの作品2本、『F to Mのポルノ男優/インターセクシャルの人々を追うドキュメンタリー』など、
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ミュンヘン(2005年製作の映画)

3.2

史実確認の目的で鑑賞したのだが、描かれているのはその後。
それなりに見せ場が多く、展開もオーソドックス。
イスラム原理主義者の過激な破壊工作は綿々と受け継がれていること、さらにイスラエルとの骨肉の争い
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.7

公開時に映画館で鑑賞した際には「なぜ今、こんなゲイ映画が受けるのか」首を傾げたものだった。
改めて観ると、20年を駆け足で描くテンポの良さで、登場人物の本格的な受難も直接的に描かれることはないため「非
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淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

3.0

似たようなテーマを執拗に撮る監督だが、『お茶漬けの味』のプロトタイプがあるとは知らなんだ。
もちろん全体的に内容は劣るが、こちらは全編の背後に、セックスの存在があけすけに漂う艶笑もの。主演がお世辞にも
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天安門、恋人たち(2006年製作の映画)

3.5

たくさんの若さや才能を無駄にしてしまうのが、政情不安やその先にある戦争の怖さ。
日本の安保闘争も然りだが、理想実現への行動が挫かれた後には、”シラケの時代”が待っている。

天安門事件の混乱の中、恋人
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フューリー(1978年製作の映画)

2.7

監督がSFに手を出し「盛りだくさんの見せ場を織り込んでみた」というサービス精神を感じたが、じらして引っ張った挙句、何も解決しない結末(カタルシスはあるが)。
人種差別的な場面が織り込まれているのも、感
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ブロークン・ハーツ・クラブ(2000年製作の映画)

3.5

VODで久々に鑑賞。日本でDVD化されなかったゲイ映画のひとつだ(VHSはあり)。
ゲイコミニュティの内幕もののひとつでもあるが『真夜中のパーティ』より穏やかで、醒めた自己嫌悪が根底に流れる。

いま
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今日もまたかくてありなん(1959年製作の映画)

3.5

「あんな小さな家で…」と久我様はボヤいているが、辻堂の海岸脇で、周囲には家が点在しているロケーションなんて、今観ると死ぬほど贅沢という感じ。また軽井沢ロケのシーンも多く、自然の息吹に満ちた背景の美しさ>>続きを読む

オペラ座 血の喝采(1988年製作の映画)

3.7

80年代末期の作品だが、ますます円熟味が増している感じ。
カラスの視点に始まり、犯人など複数人の一人称カメラを多用。常に動きがある撮影で、流麗なリズムに満ちている。
また「室内にわざわざクレーンを持ち
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ふたりの人魚(2000年製作の映画)

5.0

VODで久々に見直したのだが、何と愛すべき、そしてスタイリッシュな作品。
上海の裏町と蘇州河、そして大陸の若者たちを背景に、ふたりの美しい役者がロマンティックな恋物語を展開する。一人称カメラの『第三の
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