ゾンビホラーの中にさまざまな要素が込められている。
「ショッピングモールを独り占めできたら…」という『消費ゾンビ』の夢を、スリリングに描いた映画のようにさえ観えた。
アクションやコメディ要素も強く、>>続きを読む
新東宝の映画で時々見かける芸達者そうなおばあちゃん女優が、入江たか子の向こうを張った一本。
これで五月藤江という名前はインプットされた。
ただ本作の演出で、本領を発揮しているとは言い難いが…。
また時>>続きを読む
この頃の増村作品に、もはやスピーディさは失われていた。回想場面もやたらに多く、中盤で犯人がわかる脚本も退屈で「これが第一回横溝正史賞受賞作…?」とがっかり。
脇役の辺見マリは姿勢がよく大柄で、非常にス>>続きを読む
史実を基にした物語だが、感情の昂ぶりを生む場面の多くがフィクションで構成され、エンタメ寄りにまとめられているので、上品とまでは言えない。
民衆×軍部の衝突場面には大量のエキストラが動員され、臨場感たっ>>続きを読む
マイナスの地点から、身体的なエクスタシーを取り戻そうと模索する部分が創造的で、なおかつ滑稽。さらに仲間を増やそうとするところはヴァンパイア的。その発想だけ抜群に独創的なのだが、分身フックを取り入れたり>>続きを読む
SFホラーだが、このジャンルには精通していないので「他と比べてここがすごい」とか言いようはない。とりあえず娯楽作、それ以上でもそれ以下でもなかった。
クローネンバーグに似た感触はあり。荒涼としたロケ地>>続きを読む
「千葉真一主演の東映アクション映画を一本観ておこうか」というのが、鑑賞の理由。
長い手足を駆使してアクションへ臨む身体能力はさすが。プロテインのない時代に鍛え上げられた肉体も眩しいが、漫画調の山猿演技>>続きを読む
タイトルこそしっくりこないが、欧州怪奇譚の翻案ものにしては、割と良い出来。隠れキリシタン伝説を絡めた脚本が意表を突く。
小人がいきなりバーで暴れだす理由がよくわからないし、月光が引き金になるところな>>続きを読む
こんな大映映画あるんだと思ったら配給のみで、武智プロの制作らしい。
溝口の『夜の女たち』や今村の『にっぽん昆虫記』と同様のテーマだが、内容はよりエグめ。告発力が高く、洋画的な映法の画面には迫力もある>>続きを読む
本土から離れた列島というロケーションには力があり、映像的な迫力はあるものの、脚本(原作)が凡庸。
篠田正浩×石原慎太郎に関しては『乾いた花』という傑作があるので期待したのだが、本作の核は人情味に尽きる>>続きを読む
座っているだけで殺人的にエロいファスビンダーの下腹部に顔をうずめ、5時間ぐらいフェラしたくなった。
主人公に付きまとう謎の悪友が、実は「ひとりの人間が内包する二面性を、表している」と捉えると、凄みが増す作品のような気がする。
そう考えると辻褄の合わない場面もいくつかあったし、観衆に意図が伝わるような>>続きを読む
ラインシリーズの記念すべき第一作だが、タイトルロールの音楽からブツブツと切られており、本編にも随分ハサミが入っている…、新東宝による併映用作品への冷酷な措置なのかしら…と思っていたら、鑑賞したのは公開>>続きを読む
戦中に暴利を貪った旧家の家長の悪行が、戦後を生きる子孫たちを蝕んでいく…、という設定は横溝正史的だが、本作はエンタメホラーに非ず。
帝国主義からその反対勢力までを広く対象にした失望と、罪なき世代が背負>>続きを読む
コミカルな人情ものかと思わせ、覚醒剤絡みのサスペンスに雪崩れ込んでいく展開に意外性あり。
森繁久彌のナレーションが、映画に醒めた客観性を付け加えている。
終盤の捕り物場面は夜の銀座ビル屋上を舞台として>>続きを読む
青春映画にやや強めのクライムスパイスを効かせた新東宝の娯楽作(扇情的なタイトルは主に客寄せ用かと)。
スリラージャズで皮切られ、短時間にまとめたいがゆえのスピーディな編集は、当然キビキビとしている。>>続きを読む
実在人物をモデルにしてはいるが、脚本は事実とかけ離れたアンチヒロインもの。
女優を気遣ってか、「こんな女に誰がした」と言わんばかりの伏線が常に用意されているのはご愛敬だが、短い上映時間に盛りだくさん>>続きを読む
1960年のアジア映画とは思えないほど執拗かつ不穏な、サイコホラー。
終盤に主演男優が「すべて男の弱さが悪いのです」というような挨拶で体裁を整えているが、本編は全く正反対で、むしろミソジニーの香りすら>>続きを読む
戦争に翻弄された人々の姿、そして執念に満ちた戦後の闘争を描く。
ヒロインが活躍する場面に『アメリ』の語り口を濃厚に残しているため、どうしても新鮮味に欠ける。
その分、ダイナミックにドンパチする戦場シー>>続きを読む
市川崑の同シリーズでは第一作目ということもあり、集中力が高め。不気味な仮面だけでも仕掛けは充分だが、亡霊まで持ち込んで恐怖を煽る。そこへ高峰三枝子による年増のヒステリー演技(褒めています)がプラスされ>>続きを読む
自由恋愛が推進されてきた欧米では、もはや「余命何年」でも持ち出さないと異性愛の純愛ドラマは描けないのかと思っていたが、戦後数十年続く『ナチの呪縛』もありましたか。
キャラクターの性格が複雑で、やや欲張>>続きを読む
戦後の邦画とは異なる、白塗りの濃いメイクアップが魅力的。和装はレトロモダン、洋装はハイカラに観える。
内容にも古臭さはなく、人物描写はイキイキとしたもの。特に『男から愛されない女』の姿には、残酷なほど>>続きを読む
冒頭10分は八幡製鉄所のプロモ映像で、撮影にも大いに協力している様子。知的好奇心がそそられる舞台設定だ。
キャストは非常に豪華だが、硬派なプロレタリア/ヒューマニズム脚本の中に、シニカルなよろめき傍流>>続きを読む
ロケーションの美しさとおどろおどろしさが印象的で、その魅力を最大限に引き出す超ロングショットも。「70年代末の日本には、こんな風景が残っていたのだなぁ…」と驚いてしまうが、もしかして、まだあるのかしら>>続きを読む
子供の頃から何度となく観てきた所謂娯楽ホラーだが、今回改めて鑑賞し、脚本(原作)のおどろおどろしさに慄いた。
乾板を割る場面は頭にこびりついていたのだが…。
横溝ホラーに幻想的なゾンビやヴァンパイアは>>続きを読む
幻想的なロケーション、意表を突き痛みを伴う演出には個性がある。
浮世離れしたメインキャラに、現実的なサブキャラが絡むさまはシュールで、ユーモア感覚も悪くない。
「やってみようと思ったことを、全部入れま>>続きを読む
メロドラマだし、著名な女優も出ていないが、三人の妻各々のエピソードはキッチリ作り込まれており、重厚。
ボコーダーのような音色を用いた音響が、実験的だった。
アメリカの浪花千栄子、セルマ・リッターの見せ>>続きを読む