チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 35ページ目

チッコーネ

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ラストムービー(1971年製作の映画)

2.0

中盤から始まるドラマはシニカルで、それなりに見応えがある。
映画業界への揶揄や安易な植民地主義へのしっぺ返しも、多分に盛り込まれていた。
しかし監督はそれだけに飽き足らず、当時流行の脱構築に走った様子
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生れながらの殺し屋(1947年製作の映画)

3.7

悪い男・サムの魅力に溺れ、プライドを少しずつ切り崩していくヒロインは不安定で、SMの両極に振れがち。
女優であれば、非常に演じ甲斐のある役だと思う。
肩と一体型になったスタッズ付きのバッグというスタイ
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三人の夫(2018年製作の映画)

3.5

近年はホラーなど企画ものが多かった監督が、久々に本気を出していそうな作品だったので、早く観たかった。

『ドリアンドリアン』と名作『ハリウッド★ホンコン』に連なる『娼婦三部作』のトリを飾る作品だが、前
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.0

シリアル・キラーを偶像化しようとする姿勢にはそれほど共感できないが(BLみたいな邦題もウザい)、冒頭では不遜で『犯罪の天才』と讃えられた主人公が、密かに思いを寄せる相棒のため、常に一歩退いた行動を選ん>>続きを読む

デッド・オブ・ナイト/夢の中の恐怖(1945年製作の映画)

3.7

登場人物たちの恐怖体験をオムニバス的に展開していく手法が、飽きさせない。
中にはそれほど笑えないコメディタッチのエピソードもあり、集中力が失われそうになったのだが、クライマックスでは突然編集がスピーデ
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突然の恐怖(1952年製作の映画)

3.2

ジョーン・クロフォードのキャリア転換期に撮影された作品だが、やはり彼女ありきの内容で、ほぼ出ずっぱり。
それゆえサスペンスだが、メロドラマ色がどうしても濃くなっている。

登場人物たちの行動が無意識的
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恐怖のまわり道(1945年製作の映画)

3.7

ナイト・フォー・ナイト・ショットの真暗闇を歩く主人公の姿からスタートする、正調ノワール。
巻き込まれ型主人公の転落が回想形式で描かれる物語だが、彼が終始一貫して信条を曲げず、どこか自由にさえ観えるのが
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醜聞(スキャンダル)殺人事件(1952年製作の映画)

3.5

ノワール期のアメリカン・カップル、リタ×グレンの共演作。
リタの見事なラテンショウが序盤から楽しめる。
またドライブ中にやさしくリタへ視線を向けるグレン・フォードの表情が忘れ難い。

妖婆 死棺の呪い(1967年製作の映画)

3.7

祈祷3日目のシーンが素晴らしい。
ドワーフを含むエキストラたちの不気味な動きもさることながら、原題ともなっている『ヴィイ』の特殊メイクが素晴らしい出来で、目が丸くなった。
前半は登場人物の背丈に合わせ
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ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)

2.7

中盤までのファンタジー/サスペンスタッチを後半に引き継がせず、ジワジワと凡庸な展開へ流れていく。

・「映像をノスタルジック装置として機能させる」という得意技を『動画』に転用
・『ただ泣くだけの女』で
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マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴(1990年製作の映画)

3.5

両監督の作風を比べると、カメラに動きがあり細部が華やかなアルジェントの方が、個人的に好み。
黒猫も魅力的で点が甘くなる。
ハーヴェイ・カイテルの起用は意外だったが、裡に燃え尽きぬ怒りを秘めた演技とタフ
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バスビー・バークリーの集まれ!仲間たち(1943年製作の映画)

2.7

バスビー・バークリーの全盛期は30年代。
40年代半ばの本作は、私生活における惨事の発生後に制作されており、キャリア下落直前の監督作でもある。
本領発揮のレビューは1本(カルメン・ミランダ×大量バナナ
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猛吹雪の死闘(1959年製作の映画)

3.0

全編雪山ロケの努力作。
誰が撮っても、このテの企画が似たり寄ったりになってしまうのは致し方なく、目新しさが感じられなかった。
犯罪劇だが、メインキャラの爽やかな正義がすべてを凌駕しており、監督作品の中
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悪魔の性キャサリン(1976年製作の映画)

3.7

ハンマーホラー(ケイト・ブッシュファンなので敢えてこう呼びたいw)はこれまでほとんど観てこなかったけど、本作は安っぽいところがなくて非常に良い!

序盤は上方から撮影したカットが多く、修道院のロケーシ
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レスリー・チャン 嵐の青春(1982年製作の映画)

4.0

あまりにも自由で、異色な作風の香港映画に驚き。
ドタバタ性典ものかと思いきや、中盤からサスペンス要素が加わり始め、終盤では『太陽がいっぱい』かロメールか、と呼びたくなるモラトリアムなリゾート要素まで加
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ハイ・シエラ(1941年製作の映画)

3.5

主に観光地や田舎町を舞台とする犯罪劇で、終盤は、タイトルにも冠せられたシエラネバダ山脈での大捕り物が展開される。
高所の曲がりくねった道をハイスピードでぶっ飛ばすカーチェイスは、目を覆いたくなるような
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ムカデ人間(2009年製作の映画)

2.5

2が面白いと聞いたので、まず1を観てみた。
ムカデ人間というアイディアは面白いが、各個体の精神が残ってしまうようでは、破綻も目に見えている。
それゆえ映画としての見どころは、他の監禁系ホラーと大差はな
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ジェラシー(1991年製作の映画)

3.0

脚本は凡庸だが、南仏を舞台に自然豊かな郊外から職人の集うアトリエ、そして都市部のアパルトマンからマルセイユのオペラ座までと、背景を猫の目のように変えていく展開が飽きさせない。

嫉妬深いヒロインの性格
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夜歩く男(1948年製作の映画)

4.0

犯罪サスペンスの古典で、見応えあり。
知能犯と警察の息詰まる勝負が描かれており、ピカレスクな雰囲気も若干漂う。

警察の捜査法を描いてみせたという意味で、先駆的な価値もある作品のようだが、確かにモンタ
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好男好女(1995年製作の映画)

4.0

劇中劇と登場人物をシンクロさせたいという意図は見えたが、監督が描きたかったのは、やはり建国期に生じた悲劇(劇中劇)であったのではないかと思う。

しかし本作の制作当時は、かつて監督が起用したトニー・レ
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女囚の掟(1950年製作の映画)

3.5

真っ暗な護送車内部からスタートする女囚物の古典。
冒頭10分程度でヒロインの置かれた状況はすべてわかる、優れた展開。
しかし政治的な思惑と看守の腐敗、そして外部から女囚たちを操る犯罪組織の暗躍が相俟っ
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37セカンズ(2019年製作の映画)

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実は私、この映画にエキストラとしてチラッと出ていまして、いわば身内なので客観的なレビューは控えます。
代わりに撮影日のエピソードを書こうかしら、どこも聞きに来てくれないから(笑)。

私たち3人の派手
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4匹の蝿(1971年製作の映画)

3.7

初期監督作品の音楽はモリコーネが多く、おしゃれな雰囲気。
しかし本作はメインキャラがミュージシャンで、ブルージィなロックの躍動感も盛り込まれている。

犯人候補が何人もいたり、犯人征伐の方法が最後まで
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ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

3.5

VODで久々に鑑賞。
リンチが執拗にこだわるモチーフが、本作にもびっちりと詰まっている感じ。
ただ優雅な雰囲気はあまりなく、終始殺伐とした焦燥感に溢れ、舞台美術にも色気がない。
また観衆を震え上がらせ
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クレイジー・キラー/悪魔の焼却炉(1969年製作の映画)

3.7

犯人の動機を幼少期に遡っていくジャーロはほかにもあるが、本作は全く別の角度からオカルト要素まで加わるという、混沌とした脚本。
全体を夢幻的な雰囲気が覆っている。

撮影も兼ねる監督は撮りたい絵がしっか
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フットライト・パレード(1933年製作の映画)

3.5

犯罪映画にもミュージカルにも対応できるのはリタ・ヘイワースぐらいかと思っていたのだが、キャグニーのタップもすごくて驚き。
今回ばかりはディック・パウエルも、一曲だけルビーを譲っているし…、潰しの利く俳
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