ハリー・ディーン・スタントンの遺作。海軍のコックとして沖縄戦にも従軍したという経歴は、スタントンの実際の経験に基づく。
ゆっくりと画面を横切って歩くカメを映すオープニングから、下着姿でのヨガ、コーヒ>>続きを読む
ヘンリー・フォンダのくりくりお目めがオドオド、ビクビク。戸惑い、不安、恐怖、心細さ。画面から溢れんばかり。
『サイコ』はじめ他のヒッチ作品と同様、淡々と撮っているだけのシーンでも恐怖感が伝わってくる>>続きを読む
まさにノワール、モノクロの画面に映える男たちの個性的な顔、顔、顔。一番役者らしい印象深い面構えのジャン・ケロディが本職の俳優ではなく、映画の元になった事件の実際の脱獄囚であることを知って驚く。
監房>>続きを読む
時計の動きを使ったオープニングクレジットの見せ方が洒落ている。
アラン・ベイツが街に入ってからの展開はドリフのコントみたいなテイストを感じたけど、両軍が街に入って全てが終わると急にブラックさを帯びる>>続きを読む
直截的な言葉が無い分、心情に思いを馳せるとじんわりと胸が痛む。染みた。
最後まで二人の間に愛の言葉は語られない。笑顔で交される何気ない会話。そして相手に気づかれないところで見せる表情や行動、例えばす>>続きを読む
ブルース・リーの全ての所作に神が宿る。”Don’t think. Feel!” 考え抜き、鍛錬し抜いた者にのみ神は降臨するのだ。
前夜祭パーティの趣味の悪さなど、失笑気味の部分もなくはないが、耳をつ>>続きを読む
ちょっと斜に構えた、ヴェンダース流人間賛歌。
正直、序盤は眠気と格闘してたし、バーでの長台詞は字幕斜め読みしたし、この映画のメッセージを正確に受け止めることができた自信は全然ない。
だけど見終わっ>>続きを読む
決して、オチを知ってしまったら二度と楽しめないという映画ではないと思う。細かいところまで演出が行き届いていて、きっと何度でも楽しめるはず。
だけどやっぱり、あのガツーンときて、すかさずドカーンとくる>>続きを読む
1981年の全米ツアーを編集。
ビル・ワイマンが「永遠の39歳!」と紹介されていたが、彼だけが40代で、他のメンバーはまた30代。当時だってキャリア20年の大御所だったが、まさか40年経った今202>>続きを読む
たまたま日経新聞の日曜版で紹介されていなかったら、たまたまU-NEXTのお試し無料期間でなかったら、この映画を観ることは一生なかったかもしれない。映画史の片隅に埋もれてしまいそうな、この秀作に出会えた>>続きを読む
実話ベースでありながら、コーエン兄弟やタランティーノの与太話系みたいなテイスト。その分、映画としては少し新味に欠けるかな。
特筆すべきは、フィギュア競技シーンも含めたマーゴット・ロビーの熱演と、母親>>続きを読む
ものすごくリアルな映画だと思う。もちろん当時のワルシャワが実際この映画に描かれた通りの状況だったかどうかは知らない。けれども、ここで描かれる光景には恐ろしいほどの現実味を感じる。
車椅子の老人をバル>>続きを読む
映像作家として、そして演出家としてのスピルバーグの力量が十二分に発揮されている。
サメ退治に出かけてからの、3人のキャラの噛み合わなさに何とも言えぬ不安感・不快感を掻き立てられる。まるでヒッチコック>>続きを読む
クラピッシュの映画を観たのはかなり久しぶりのような気がするけど、ずいぶん洗練されたなあ。
二人の部屋のベランダから見える、線路の向こうに広がる街とモンマルトルの構図。駅まで歩く間のごく普通の街の風景>>続きを読む
わがままで直情的で気が強いお嬢様。
得体の知れない、おせっかいな皮肉屋の新聞記者。
わからずやの堅物親父。
映画の観客である我々が受ける第一印象が、登場人物がお互いに抱く印象とオーバーラップし、>>続きを読む
ガチョウの群れが浴槽で血浴びして大量の蝿が集る、クリアな画面で見せるこの狂気の映像にいきなり心掴まれる。
その後も、ハヤブサの鳥瞰視点とバードストライク、人を噛む巨大時計、耳削ぎと縫合、ミルクを啜る>>続きを読む
娯楽作品としてもじゅうぶん楽しめるが、当時の時代感覚を反映しているという点からも興味深い。銃でも刃物でもなく、殺戮の道具はあくまで棍棒。およそ人が人を殺す手段として、棍棒による撲殺ほど惨たらしいものは>>続きを読む
爛熟ボディでせまるソフィア・ローレンのごっつい存在感。それをソフトにくるみこむマストロヤンニの伊達ぶり。全然趣きの違う3つのお話を通じて、2人の役者の魅力を存分に楽しめる。
ガス欠トラックのシークェンスが途轍もなく面白い。サイドミラー凝視して神操縦するアラナの表情と助手席で何もできないポンコツ野郎の対比。この緊迫感の醸成にブラッドリー・クーパーのぶっ飛んだキャラが効いてい>>続きを読む
それまで戦争のことなど遠い世界のようにしか思っていなかったであろうサリー(ジェーン・フォンダ)が、ふとしたことで病院で働く気になり患者たちと接する中で、戦争の本当の姿について知っていき気持ちに変化が出>>続きを読む
夏休みの登校日、学校のプール、友達と出かけた夏祭り、家でのファミコン…ああ、自分もこんなだった・・・。クラクラくる。こんなにも小学生時代の雰囲気を完璧に再現されるとは。郷愁を刺激されまくる。
ただ、>>続きを読む
かつて「男子」だったすべての者に捧ぐ、
って感じかな。
佐々木を中心に馬鹿騒ぎで盛り上がる野郎ども、周りで冷ややかに迷惑そうにする女子、4人組の悪友たちが連んでいる生態、これまでみてきたどんな学園>>続きを読む
人に銃口を向けて引き金をひく。そのことの意味とそれがもたらす事実を、誤魔化さずに真面目に描いた秀作。
すごい完成度。19世紀のデンマークなんて遥か遠い世界だけど、この映画観てる間は完全にその世界に生きてるような錯覚に陥った。厳しい生活が淡々と描かれるのがまた痛々しい。
年老いたペレの父親(マックス・>>続きを読む
オマージュなんて言葉では表現しきれないほどの、『サイコ』への、ヒッチコックへの強い思い入れを感じる。その一方で、美術館のシーンでのねっちりしたカメラワークや官能表現など、オリジナリティも十分発揮されて>>続きを読む
たまたま『ブリジット・ジョーンズの日記』を再見した直後に観たのだが、レネー・ゼルヴィガーの変幻自在な多彩さには改めて驚かされる。ジュディ・ガーランドへの憑依というよりはオリジナリティが強い印象。表情な>>続きを読む
クラクラしそうな極彩色。影と踊るジーン・ケリー。紅白歌合戦の出し物を彷彿とさせるブロードウェイのバカでかいセット。映像的面白さ満載。観ていてホント楽しい。
ナチスドイツに蹂躙され、戦後は共産体制の虚構に閉じ込められ、壮絶な内戦によって崩壊した国家と民族の歴史を、直接的・寓話的・風刺的手法を織り交ぜながら描き切った怪作。
そのような大河ドラマばりの壮大な>>続きを読む
お婆さんは孫に年を分け、背を分け、知恵を分ける。そして自分は小さくなり、子供に還る。すべてを分け終わったとき、魂は消え、家を去る。「老い」に対する、なんと暖かいまなざし。心にじわっと広がるような寓話。>>続きを読む
現代パートのベタさは思わず目を覆いたくなるくらい酷いが、回想パートの往時の撮影所風景、その生き生きとした幸福感に一気に惹き込まれる。
北川景子の圧倒的説得力と、永野芽郁の清廉な可憐さ。この幸せな回想>>続きを読む
約20年ぶりの再鑑賞。
要するにスラップスティックなラブコメで、「結婚できない」女が煩悶する物語を想像するとアテが外れる。かと言って「自分探し」の物語として成立しているかというと、そうでもなく、むし>>続きを読む
少し「子供」を見くびりすぎなような。子供の世界にも「社会性」があるはず。本能的な残虐性と社会性が衝突したとき何が起こるのか。「その先」が描かれていないのでこの映画はどこか物足りない
'70年代の日本はまだまだ「戦後」だった。太平洋戦争がすっかり「歴史」となってしまった今、そのことを思わされると、'70年代生まれの自分はハッとさせられる。
オープニングに高揚する!空母スタッフたちの手をひらひらさせるジェスチャーがなんだかかっこいいのだ。
マッチョなナイスガイたちの葛藤はユルいし、作戦はとってもわかりやすい(ならず者国家ってどこのことだ>>続きを読む
こじれにこじれた彼らの関係。でも、けっして崩壊することなく絆は続く。だって家族だから。来週の金曜日にはまた集まって、同じような諍いを繰り返すのだろう。
オープニングが印象深い。全裸でベッドのパイプをこつこつ叩くボニー。その気怠い仕草に閉塞感が表現される。突如彼女のもとに現れたクライド。彼と一緒に飛び立つことで道が開ける期待を一瞬で運命的に感じ取った彼>>続きを読む