stさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

st

st

映画(234)
ドラマ(0)
アニメ(0)

新聞記者(2019年製作の映画)

-

一歩間違うと池井戸潤的な痛快お茶の間作品に落ちてしまいそうなところ、今村圭佑のシネマトグラフィーが一段違った作品としての矜持を感じさせる。藤井道人×今村圭佑の画は面白い。が、何とも脚本が薄いというか、>>続きを読む

FAKE(2016年製作の映画)

-

ドキュメンタリーの形式を用いて一定の中立性を保持しながら、虚実の揺らぎを突きつけられる。森達也の作品を観ると、正しさと効率の良さと確からしさをモットーとする我々の社会がいかに脆いものかと考えさせられる>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

-

公開当初ぶりに観たけど、だいぶ印象が違った。前半は成就と構築、後半は逆転と崩壊。立場や関係・身なりや健康状態まで、あらゆるステータスが反転する。こんな緻密に作られた作品だったのか、と。
「地下」の画廊
>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

-

ゆっくりと進む時間。速度(運動エネルギー)はないのだけど、4人それぞれの価値観の変化と共に大きな位置エネルギーが蓄積されていく感じ。神戸という街の高低差によってもそれをさらに意識させられる。冒頭の高台>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

-

冒頭からウェスアンダーソン全開。画作りとデザインの教本すぎて定期的に観返したくなる。てか観返してる。このエッセンスにジャパナイズドサブカル臭を加えると長久允になるな。

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

-

良くできた映画… 用意されたフィクション(=シーヘブン)とその鑑賞者(=番組『トゥルーマン・ショー』の視聴者)とそのまた鑑賞者(=映画『トゥルーマン・ショー』の視聴者)。フィリップ・K・ディックを下敷>>続きを読む

夜が終わる場所(2011年製作の映画)

-

『VIDEO PHOBIA』→『TOURISM』→『大和(カリフォルニア)→本作と、宮崎作品の長編を遡って観たけど、元々はこういうのが撮りたかったのかー、と。一番黒澤清っぽいかもしれない。塩野谷正幸っ>>続きを読む

少女ムシェット(1967年製作の映画)

-

バルタザールどこへ行くと一緒に観たからかなんかごっちゃになる。ナディーヌノルティエの空気感好きだなあ。ラストシーンの持って行き方も美しい。ブレッソン作品まとめて観てみたい。

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

-

新文芸坐のブレッソン特集にて。ロベールブレッソンの塩味演出に目と頭が慣れた頃にはすでに終盤戦。バルタザールの慈愛に満ちた眼のクローズアップが印象深い。アンヌ・ヴィアゼムスキーはこれがデビュー作なんです>>続きを読む

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

-

フォレストガンプ同様、いかにもハリウッドっぽいなあと思った。予算の掛け方とか脚本の隙のなさとか。フォレストガンプとパルプフィクションに挟まれて興行的にはそこまでだったみたいだけど。。普通に良い作品だな>>続きを読む

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)

-

こんなの当時ミニシアターとかで観てたら絶対ハマりますよね。。トムウェイツのちょいキザだけどどこか頼りない感じとかロベルトベニーニの憎めないスンとした感じとかジョンルーニーの天然で憎めない感じとか。脱獄>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

-

回想シーンへの大胆な移行が観ていて「ん?」って思ったけど、原作ではカルテ形式だったっぽくて納得。あと最近の韓国映画のカラーグレーディングの安心感が半端なくて、陰湿な空気感とか鬱屈な感じがすごくビジュア>>続きを読む

少年(1969年製作の映画)

-

大島渚の60年代最後の作品。低予算ながら全国をロードムービー的に行脚していく様はさながら60年代の松竹ヌーベルヴァーグを駆けていく大島渚そのもののメタファーであるかのよう。母親の赤い服に対して子供の白>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

-

面白い、、『2001年〜』以上かもしれない。けどやっぱ難しい。。異化効果的に使われる首都高が斬新だった。(山本耀司を通して見る)ヴェンダースしかり、この頃の東京の景色ってこの時代特有の意味合い(憧憬?>>続きを読む

僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)

-

イワンを演じるニコライ・ブルリャーエフの演技力に驚いた。彼の演技力で全てが成り立っているんじゃないかと思えるほど。水とか川辺とか雨とか、タルコフスキー好きだなあ。

ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)

-

短編を観終わったとは思えないような後味。サーシャや他の子どもたちの1つ1つの動きがかわいくて、いじめられっ子を救い出すところなどは微笑ましい。ウラジーミル・ザマンスキーの「良いお兄ちゃん感」に救われる>>続きを読む

(1974年製作の映画)

-

めっちゃ面白い・・・けど難しい。要再鑑賞。世界的には享楽的なヌーベルヴァーグやニューシネマが終わり行く中で、共産主義による疲弊が進む時代のソ連で内省を試みたタルコフスキー、という位置付けになるのだろう>>続きを読む

大和(カリフォルニア)(2016年製作の映画)

-

VIDEOPHOBIAやTOURISMでも感じたけど宮崎大祐監督、映像的なボキャブラリーが多いな… iPhoneっぽい手撮りに始まりハッとするような監視カメラの視点や終盤の森のシーンなど。インタビュー>>続きを読む

リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

-

シンプルに面白いし好き。途中から安室が何しでかすんだろうとか思いながら観てた。固有名詞をアメリカの寓話とか宮沢賢治とかガンダムとかから持ってくる岩井スタイル良い。本線とは関係ないけど森下くるみとか希崎>>続きを読む

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

-

オマージュと引用のオンパレード。このカット数とクオリティ(冒頭の羽根のシーンどうやって繋いでるんだ…)だとそりゃ製作費60億かかるわ。。。アメリカ現代史の整理に良いですね。

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

-

出会った頃とその後。10年という時間軸の間に醸成されては変質されゆく恋人への思い。佐藤なる「ごく一般」を代表したかのような人物の、パッとしないのにどこか惹かれてしまうような三浦春馬の演技と、同じく「ご>>続きを読む

undo(1994年製作の映画)

-

縛ること(により得られる不自由それ自体)へのフェチズム。矯正器具。編み物。「亀」。束縛のモチーフが紡がれていく。低音の冷めた詩的な問答と微熱感ある映像とのコントラストが、ポエティックな絵画を観賞してい>>続きを読む

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

-

パラサイトっぽさもあってめっちゃ面白かった。香川照之の表現力は本当に化け物級すぎるなと思う一方、藤野涼子の両極端なキャラも良い味出しててすごく良かった。窓が開いててカーテンが終始揺れてる常に不穏な高倉>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

-

「つかまっている犯人」が1番コワイという『CURE』でも参照されたモチーフ。ジョディフォスター若いなあというのとアンソニーホプキンスがハマり役すぎてすごい。キービジュアルの蛾はダリが元ネタなんですねー>>続きを読む

回路(2000年製作の映画)

-

黒沢清は「(画面の隅に映る)閉まっているドアの向こうにまで世界が広がっている」と観客に思わせしめるような映画が理想であるという旨のことを著作で書いていたけれど、まさに終盤海沿いの車越しの長回しのシーン>>続きを読む

「A」(1998年製作の映画)

-

マスメディア・警察・世論それぞれの立場に対してニュートラルに誠実に作品を撮ろうとする森達也の姿勢、日本のあらゆるジャーナリズムに見習って欲しいなと思った。組織で生きるのが当然だった時代、取り囲まれて所>>続きを読む

空に住む(2020年製作の映画)

-

エンターテイメント作品としては理解できる。パッとしない女性が芸能人と関係を持てて、深い悲しみに向き合った結果仕事も成就するという。ただそういう商業主義的な感じと言い、「広告代理店」的な感じと言い、終始>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

-

めちゃくちゃ期待していただけにNHKっぽさが全面に出ていてちょっと残念だったかも。。たしかにサスペンスだけど、黒沢清が撮る必要なかったんじゃないかなという気が。映画芸術のランキングでも2020年ワース>>続きを読む

生きちゃった(2020年製作の映画)

-

ストーリーがシンプルに面白い。キャストと言い演出と言いすごく今泉力哉を彷彿とさせる... 仲野太賀一家が入った中華屋も『mellow』と同じとこですよね多分。大島優子も良かったけど仲野太賀が怪演だった>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

-

抑圧→解放。ちょっと前まで門脇麦の演技はどこか青臭すぎて受け入れられなかったのだけど今回の役はハマってた気がする。水原希子は何をやらせてもちゃんとこなしてくるのマジですごい。八重洲をニケツで走ってるシ>>続きを読む

TOURISM(2018年製作の映画)

-

接続と非接続。グローバル化した世界はすべてが互いに接続しているように見えて、そうでない部分ももちろんある。資本主義とジェントリフィケーションの行き着く果てにある格差や分断。SNSというツールが「非接続>>続きを読む

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)

-

上映時間を感じさせない(退屈させない)ほどにエクダール家の物語が華やかに細やかに描かれる。制作費とんでもないのだろうなと思って調べてみたけど意外と600万ドルほど。(確かに特殊な撮影を多用している訳で>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

-

閉ざされた関わりの中に生きる女性達の生き/死に様。ブルジョワ階級の驕りや憤り、強さと弱さが華やかな舞台の中に散りばめられる。赤い壁・赤いベッド・赤いドレス。様々な感情が沸沸と込み上げる三姉妹の内面のよ>>続きを読む

超擬態人間(2018年製作の映画)

-

とにかく音がヤバい。ライブハウスか?と思うほどに新文芸坐のスピーカーが唸っていた。映画館で観てよかった。社会派か?と思わせる入り方だったけどあんまりそんなことなかった。

恋するけだもの(2020年製作の映画)

-

新文芸坐の過激な日本映画オールナイトにて。どういうジャンルなのか最初わからなかったけどバイオレンスラブコメディーと聞いてなるほどとなった。上のしおり、『街の上で。』と全然印象違って気づかなかった。宇野>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

-

本作目当てでキネカ大森の2本立てに行ったけど同時上映のWAVESが圧倒的すぎて薄らいでしまった。ルーカスヘッジズが本作とWAVESとである種正反対の役を演じていて面白いし、いかにも少年然としているサニ>>続きを読む