rhumさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

4.1

1930年代イタリア。綿毛舞う春の訪れから翌年の春までの1年を描いた、フェリーニの個人的なノスタルジーを辿るエッセイ。
脳裏に残る些細な出来事の数々をフィルムに定着させただけなんだろうけど、なんとも美
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ビースティ・ボーイズ・ストーリー(2020年製作の映画)

3.6

Apple TV+で初視聴。4K映像きれい。
アドロックとマイクDが、Appleの新製品発表会みたいなプレゼン形式で自分たちの足跡を振り返る。今は亡きMCAがいかに創造性や行動力豊かな人物だったか、改
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.7

Kanye WestとFrank Oceanとの間をふらついていたのが2010年代の音楽もとい米国社会もとい世界だったわけだけど(暴論)、そんな過去10年を凝縮したよな作品に見えた。「社会変化の中で顕>>続きを読む

ジャックは一体何をした?(2017年製作の映画)

3.0

おかしな映画だが、そもそも刑事とサルとのやりとりが噛み合うことを観客が勝手に期待している状況こそ、冷静に見りゃおかしな話なのである。とは言え、仕方ないじゃないか。テレパシー能力を持たない我々にとって対>>続きを読む

ミッドサマー ディレクターズカット版(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

100万年ぶりくらいに向かった映画館。復帰第一弾は「タイトルからして夏至の季節にピッタリの筈、久々の映画にはベストな作品だろう🙂」との考えで見逃してたコレ(ディレクターズカット版)をチョイス。ドキドキ>>続きを読む

時をかける少女(1983年製作の映画)

3.5

内容はだいぶヘンテコ。演劇的もとい学芸会的な演技がもたらす不自然さとトンデモな演出や話運びが伝える奇妙な心象。その輪郭は、不安定な思春期。未来に対する恐れ。
何もかもが不明瞭であることを表すかのように
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.0

これもまた夫婦のあり方、なコメディ。
所詮、異なる人生同士の交差。その交差"点"を"線"の形に調えるための最適解は人それぞれ。婚姻制度その他諸々で縛った所で本質はそこじゃねーだろバカ!ってのは声を大に
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ロマンスドール(2019年製作の映画)

3.9

エロというよりエロスの話。
日々の中で、自分の思い通りにならぬ事として真っ先に思い浮かぶのは"他者"と"時間"であるけれど(故にどちらも尊い)、その両方に誠実に向き合うとても優しい話に思えた。
独り善
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大脱走(1963年製作の映画)

3.9

昨今では血圧130超えたら飲む胡麻麦茶で有名なやつを午前10時にて。脚色多めの実話。
捕虜収容所でワイワイと工夫を凝らし、リアル脱出ナントカに取り組む軽やかな前半。収容所脱出後、改めて舞台は第二次大戦
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ハスラーズ(2019年製作の映画)

3.9

J.Lo様がポールダンスをされると聞いて、ぐへへぐへへと薄気味悪い呻き声を上げ、口から涎をだらしなく垂らしながら下劣極まりない表情を浮かべて映画館に馳せ参じたのだが、全然そういう作品ではなかった。寧ろ>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.6

単なるWhodunitでなく、アナデアルマスかわいいという意味で良いミステリーだった。(代表作のせいで)奇人変人超人な印象が強過ぎる面々がドカドカと出てきて割と普通の人間の演技をしてるのは観ていて楽し>>続きを読む

この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.7

追加された絵の数々によってオリジナル版から物語の軸足は大きく変化。個々人の人生模様が、物語のどどど真ん中を貫く。甘み苦みその他が混じり合った深い味わいなので、前作と比べてだいぶ大人向けの仕上がりかも。>>続きを読む

監督・出演陣が語るアイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.0

おっちゃん4人のお茶会。スコセッシがだいぶおしゃべりさんだった。
時代時代の革新を吸収した結果生まれてきた物こそが後世に何かを残す。映画の作り方、届け方だって常に変わっていく。それは進歩であり、進歩に
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.2

3時間強集中して観るには缶詰めが一番だ!ってことで映画館で鑑賞。
公開方式、上映時間、マフィア物の系譜、大物俳優の共演、若返らせなどの特殊効果…様々な古さと今っぽさとがごちゃごちゃに混ざりまくった映画
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エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

3.7

特殊な才能を持ちながらもこれまでチャンスに恵まれなかった者たち5人。彼らがひょんなことから一緒にチキン専門店を始めることとなり、メディアによる攻撃、大資本の陰謀との戦い等の様々な困難を乗り越えながら、>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.6

御大の「シリーズ:史実から読み解く現代アメリカ英雄譚」(?)の最新作。メディアリンチに遭われた"英雄"ジュエルさんのお話。
実際の人となりはわからないが、劇中では("アイトーニャのあいつ"ことPWハウ
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親愛なるバスケットボール(2018年製作の映画)

-

ファンだったことなど一度もなかった。なんなら嫌いな時期だってあった。けれども、ルーキー時代から引退のその日まで、自分がどの選手よりも長い間、熱心に見てきたのは他でもない彼のプレーだったことに今日気づい>>続きを読む

ポゼッション(1981年製作の映画)

4.3

男女間の、互いへの幻想やら支配関係に係る物語の一種ではあるん…だ、が!とにかく観てるとギョッ!とかウゲー!とかアワワ!とかグオオ!とかいう反応しか出てこなくなってしまう、とにかくヤバすぎる劇薬映画。>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

陥落前後のベルリンが舞台の『ムーンライズ・キングダム』な趣。舞台以外は監督初期の超絶大傑作『Boy』ともかなり似ていた。
参考にすべき父性が身近に存在しないガキンチョが、幼稚な幻想妄想から"有害な男性
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.7

止まった時間を動かす話。「岩井俊二ほどロマンティックな作家を、僕は知らない」人こと新海さんで言えば『君の名は。』みたく作家のベスト版っぽい作り。
そんな中、夜のプールで夏休みの終わりを告げるヒロインと
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テッド・バンディ(2019年製作の映画)

3.7

テッドバンディのトリックスター的側面を掘り下げた作品。犯行に関する直接的描写はほぼ無く、一方善人に見える側面はたっぷり描かれるので、何も知らずに観た人が「彼は本当に冤罪の被害者なのでは?」と思ってしま>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.6

気付けば一瞬のような2時間半。素晴らしき画、素晴らしき音で埋め尽くされた映画。企業の対立構造云々よりごくごく個人の人生哲学を語る話に見えた。「7000回転超の世界を知ってるか否か」が重要であって、それ>>続きを読む

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

4.3

希望。この作品の挑戦はlong shot(一か八かの賭け)じゃない。崇高な意志は"確実に"伝わる。徹底した楽観主義と理想への想像力。その伝播こそが明るい未来を創る。

この間を行ったり来たり揺れ動く
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屍人荘の殺人(2019年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

「浜辺美波、どちゃくそかわいい!」を核に据えた、エンドルフィン分泌過多ラブコメディ。

大胆にも、ミステリーとゾンビを無理矢理ガッチャンコした結果、立ち現れたのはジャンル映画の快楽などではなく、テンプ
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ダウントン・アビー(2019年製作の映画)

3.5

ドラマ未視聴の完全なる門外漢なんだけど、TOHOのフリーパスを握り締めながら遂に入門!映画始まる前に概要説明動画が付いてたので物語にすんなり入れた。楽しかった。
とにかくお喋りでそれなりにゲスなキャラ
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

4.1

大変退廃的で露悪的な密室集団パニック。大変面白い。大変ご丁寧な事にラストショット〜エンドロールから始まり、続いて登場人物紹介とインスパイア元と思しき作品群のさりげない提示もしてくださるので、どんなノリ>>続きを読む

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

3.6

1940〜1960年代の欧州。冷戦と情熱の間で運命に翻弄される男女の、やたらスケールのでかいメロドラマ。スタンダードサイズの画面が時代の閉塞感を感じさせ、障害多き恋愛のやるせなさを際立たせてる。
場面
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

凄。ジャンルが目まぐるしく変わるジェットコースター的展開の意味でも、あるいは劇中の物理的な描写の意味でも、とにかく高低差あり過ぎて何かがどうかなる系映画だった。
感想を綴り始めると無限に続きそうなので
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ドッグマン(2018年製作の映画)

3.5

奇妙な共依存関係にある2人のおっさんを描いた、一種のジャイのび物。
まぁジャイがめちゃくちゃやることで地域社会の皆様が迷惑するというひでえ話だが、犬がたくさん出てきて和む。…と思ったら、重要な場面には
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

開始直後、「パルパティーンの爺ちゃん、実はまだまだ元気やでぇー!」の文字見て桂三枝ばりにズコーッと椅子から派手に転げ落ちた(比喩)。まぁそれは俺が単に今作の副題が『パルパティーンの夜明け』だったと知ら>>続きを読む

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

4.3

超久々に観賞。しっかりサスペンスだし容赦ない描写もあるしで、やっぱその辺のヒューマンドラマ(どの辺?)とは全然違う。
何度も出てくる刑務所上空からの俯瞰ショット。マクロ視点、数字の観点でしか扱われない
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ジュマンジ/ネクスト・レベル(2019年製作の映画)

3.4

前作ウェルカムトゥジャングルの続編、というか、"おかわり"。プレイヤーにじいちゃん×2が増えただけで、やってることはほぼ前作と変わらない。内容は映画館を出た直後に一瞬でほぼ忘れたが、大暴れするカレンギ>>続きを読む

ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

4.3

前作から約10年経って皆様いかがお過ごしでしょう?な続編。幸い、彼らはみんな元気に生きていた!やったー、メデタイ!
前作と同じノリでささやかに楽しくわちゃわちゃやってくれれば、もうそれだけで十分なんだ
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ゾンビランド(2009年製作の映画)

4.0

おバカで軽薄なゾンビ型ロードムービー😃
超超超野暮を承知で言えば、この映画、どんなに明るく振る舞ってても、所詮それは「人間がほぼ絶滅した世界」に生きているという諦念の上でのこと、というのがミソかと。既
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.4

原作未読。ZARAで買ったシャイニングTシャツ着て張り切って出かけたが、劇場でそんなテンションの人は自分だけだった…。
蓋を開ければ「え?シャイニングってそういうことなの?」と戸惑うこちらの心の声まで
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サバイビング・デザイアー(1991年製作の映画)

3.7

授業で『カラマーゾフの兄弟』の一節しか教えないヘンクツ教師が、大好きな教え子と恋に落ち、歓喜の舞を披露するも…😱な話。空想でなく実践の愛をと語る主人公に、そもそもそんな二項対立的な考え方が既に観念的だ>>続きを読む