sasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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the Future ザ・フューチャー(2011年製作の映画)

3.5

交際4年、35歳になるカップルに訪れた転機。人生の最後の分岐点で焦るカップルの姿を、ファンタジックな事象を断片的に挿入しながら描く。
抽象的かつ感覚的で、分かるような分からないような絶妙な深度。

あなただけ今晩は(1963年製作の映画)

4.0

ビリー・ワイルダーとI.A.L.ダイヤモンドのゴールデンコンビが生み出した傑作のひとつ。陣容は『アパートの鍵貸します』とほぼ同じだが、コメディとして一定の心拍を保ちながら小人物の主人公に感情移入させて>>続きを読む

東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

3.8

三谷幸喜っぽさが凄い。
演劇的な舞台展開と耳心地のよいジャズで、どことなくブロードウェイ風。ローファンタジー的な脚本と、牧瀬里穂、中井貴一、笑福亭鶴瓶のチャーミングな演技で、まとまり良くクオリティの高
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マインズ・アイ(2015年製作の映画)

3.1

低予算の超能力バトルSF。超能力といってもサイコキネシスで机を吹っ飛ばしたり、銃を持った腕を操ったり、頭部を爆発させたりする地味目のスケール感。そこそこシリアスだし、狭い家の中で戦っていることが多いの>>続きを読む

オーケストラ・クラス(2017年製作の映画)

3.7

気難しいバイオリニストと、音楽を知らない子どもたちが少しずつ心を通わせ、音楽のある人生の美しさを知っていく。シンプルなプロットながら、決して裕福でない移民系の子どもたちが音楽によって表情豊かになってい>>続きを読む

追憶の森(2015年製作の映画)

3.8

グレーのフィルターがかかったようなエフェクト、日本人的思想の尊重、生と死の境界に佇む人々の描き方はガス・ヴァン・サントらしい。
現在と回想の見せ方が巧く、物語にメリハリが生まれるし、ささやかな伏線回収
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his(2020年製作の映画)

4.0

今泉監督流、『クレイマー、クレイマー』のジェンダーフリー的再解釈。原作を観たときに感じた「女性視点ではどう映るのか?」「当時と現代では解釈は変わるのか?」という疑問への回答と、新たな疑問を提示してくれ>>続きを読む

緑はよみがえる(2014年製作の映画)

3.8

極寒の雪山と戦争。死への恐怖にまとわりつかれながら、兵士たちは自らの命の価値、人としての尊厳がどこにあるのかを訴えかける。

『一番難しいのは人を赦すことだが、人が人を赦せなければ、人とは何なのだろう
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

3.3

精密に計算されたショットと、全編を通して漂う厭世観。環境破壊に心を痛め、人との交流も宗教も彼の救済にはならず、遂には死を選ぶ。
主題以外のものを極限まで削ぎ落とす手法はブレッソン監督らしいが、本作はや
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ウルトラミラクルラブストーリー(2009年製作の映画)

3.9

"純粋なる者"だからこそ生老病死を超越することができる、というのは『幸福なペテロ』を思わせる。町子先生に好かれる自分でいるために農薬を浴びる、という陽人の行動には胸を打たれる。

「脳のつくりが人と違
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マネキン(1987年製作の映画)

3.5

リアルピグマリオン。終始ハッピーで、音楽の使い方といい、古き良きアメリカンロムコム。へっぽこ主人公の好感度だけで押し切っちゃう感じは嫌いじゃない。

ドリームランド(2019年製作の映画)

3.3

設定こそ違えど、明らかに『俺たちに明日はない』にインスパイアされている作品。オマージュ元を知っていると、どうしても比較して見劣りする感は否めない……別段悪いわけではないものの、肝心の逃避行は随分短いし>>続きを読む

コヤニスカッツィ(1982年製作の映画)

4.3

近代化と戦争に警鐘を鳴らす映像詩であると同時に、目まぐるしく発展し地球を蹂躙してきた人類のドキュメンタリー。

ナレーションや台詞は一切なく、ミニマルな音楽と美しい映像の数々によってのみ構成されるが、
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ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男(2018年製作の映画)

3.2

映画史上類を見ないほど「タイトルそのまま」の映画。ヒトラーとビッグフットを同列に扱ってる時点でどう考えてもC級バカ映画っぽいのに、映画の中の彼らだけがずっと神妙な顔で真面目な話をしているのが逆に面白い>>続きを読む

何かいいことないか子猫チャン(1965年製作の映画)

3.3

色情狂の女たらしと女好きの精神分析医が繰り広げるお色気ドタバタコメディ。見境なくドタバタするのでメリハリもへったくれもなく、カオスなゴーカート爆走で無理やり大団円。美女が次々出てくるがほとんど人間扱い>>続きを読む

スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

3.5

童貞を捨てたい高校生たちの奮闘記。
清々しいほどに全員ロクデナシ、しかし全員根はいいやつばかり登場するアメリカンコメディ。サイモン・ペッグ的ノリ。

大脱走(1963年製作の映画)

4.2

170分という長尺ながら、テンポの良さと場面場面の面白さで全く飽きさせない。登場人物も多いがキャラの書き分けがしっかりされており、パーソナリティを小出しにしていくので混乱せず、1人1人に愛着が湧く。>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.3

天才で猟奇的、凶悪な純粋悪である殺人犯と、若く優秀な捜査官という正義の象徴との間に結ばれる奇妙な信頼感。サイコパスらしい強烈な魅力と残虐性を巧みに描写し、終盤のスリル&サスペンスは格別。

エド・ウッド(1994年製作の映画)

4.0

"史上最低の映画監督" エド・ウッドが、彼の代表作『プラン9・フロム・アウター・スペース』を制作するまでの舞台裏をジョニー・デップ主演で再現。
まず目を瞠るのはキャストや映像の再現度!原作をそのまま使
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プラン9・フロム・アウター・スペース(1959年製作の映画)

2.0

"史上最低の映画監督"の代表作。
内容は……とにかく酷い。UFOは釣ってる糸が丸見え、銃撃シーンは明らかに毛色の違う映像を使うし無駄に長い。設定もめちゃくちゃだし演技もひどい。台詞がくどくてテンポも最
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アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)

3.5

スラップスティックからロマンスへのグラデーション。哀愁を湛えたジャック・レモンの優しい表情がいい味を出している。
ラケットでパスタの湯切りをしてみたくなる映画。

情婦(1957年製作の映画)

4.8

アガサ・クリスティ×ビリー・ワイルダー、面白くないわけがないのだけれど、予想を軽々と上回る面白さ!

ミステリものでありながら全体の1/3を占める冒頭の40分が弁護士事務所での会話なのだが、ビリー・ワ
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ベン(1972年製作の映画)

2.7

前作『ウィラード』に登場したベンが、今度は幼い少年との友情を育む、という物語。
しかし今作においては、ただ生存本能に従って人間社会を荒らすネズミに感情移入することはできないし、かといってホラー的な要素
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ウイラード(1971年製作の映画)

3.5

悪辣な上司に恨みを募らせた青年ウィラードは、可愛がっていたネズミたちを訓練し彼を襲わせる……ヒッチコックを思わせるパニックホラーのようでいて、主人公の青年の孤独と怒り、人間の身勝手さにフォーカスしたド>>続きを読む

円卓 こっこ、ひと夏のイマジン(2014年製作の映画)

4.0

新しい言葉、新しい概念……少女がそれをひとつずつ咀嚼し、模倣し、吸収することで、子供の世界はまたひとつ拡張される。
ともすれば大人がタブー視する「吃音」「在日韓国人」「変質者」「不登校」などに対して、
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カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

4.0

キャッチーな題材、メタ構造を丁寧に織り込んだ脚本を、軽妙洒脱なウディ・アレンのセンスで軽やかにまとめる。トム・バクスターが現実世界に飛び込んでくるシーンは実に鮮やか!

人は虚構には生きられず、現実を
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.6

突然の妻の死に悲しみも喪失感も感じないことに戸惑うデイヴィスは、自分の日常を構築していたあらゆるものを「分解」することで、自分自身を再び機能させようとする。
彼自身が"正しい"社会に馴染んではいなかっ
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ハーフネルソン(2006年製作の映画)

3.6

教師でありながらコカイン中毒に苦しむ男と、彼の秘密を知った教え子の不思議な友情。
彼の受け持つ公民権運動の講義において何度も繰り返される「転換点」「対立」がふたりの現実とクロスオーバーしていく。表面的
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シアノス(2018年製作の映画)

3.3

「私の作り方」なる動画を投稿していた少女の失踪事件。彼女の遺物を発見した少年。
彼女の刃物で掌を切ってみる、彼女の口紅を塗ってみる、「わたし」を飲み干す……単純な性癖の映像化というよりは、屈折した少年
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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

3.8

沈黙を貫く女優エリザベットと、住み込みで彼女を看護するアルマ。語る者と聴く者、あるいは母親であることへの憧れと嫌悪、両者の立場と意識が交差し、次第に人格が溶融していく。ユング哲学におけるペルソナの概念>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.3

『サムサッカー』『20 センチュリー・ウーマン』のマイク・ミルズ監督らしく、人と人との対話を繊細かつ克明に映し出し、老人も少年もひとりの人間として真っ直ぐに向き合う。
モノトーンの映像により聴覚的な情
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マイ・フレンド・フォーエバー(1995年製作の映画)

4.5

病や死という理不尽で絶対的なものに、子供らしく無邪気に笑い飛ばしながら立ち向かう少年たちの姿が眩しい。
ボロボロの靴や25セントのエピソード回収も粋で、いわゆる「難病モノ」ながらいやらしさのない美しい
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.7

"感染"すると、"それ"がついてくる……性病がモチーフと思われる、いわゆる悪魔的な西洋ホラーがベースにありつつ、他人へ転嫁できる理不尽さや気がつくと後ろにいる恐怖などはジャパニーズホラーのそれ。

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素敵なダイナマイトスキャンダル(2017年製作の映画)

3.7

"エロ雑誌とは、パンツの中の愛についての、永久予告編なのだ。"
幼少期に母親が浮気相手とダイナマイト心中をしたという経験から、自らの非凡さ、芸術と女に対する幻想を捨て切れない男の自伝的映画。いかにも昭
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アートスクール・コンフィデンシャル(2006年製作の映画)

3.6

スクールコメディ、ボーイミーツガール、サスペンスの要素をうまくコラージュしながら、アイデンティティの模索に苦しむ若者の姿を、現代アート業界への皮肉と偏見をたっぷり混ぜ込みながら描く。テンポの良い展開が>>続きを読む

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

4.5

スクリューボール不朽の名作。センス抜群の脚本とジョーク、そしてマリリン・モンローのキュートでコケティッシュな魅力が存分に詰まった傑作!