イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 25ページ目

イワシ

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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

4.5

再見。煙草に火をつける瞬間のアクションつなぎがカッコよければ映画はそれだけで良い、あるいはオリヴィエ・アサイヤスが『カルロス』で主題にしたような事件をジョセフ・H・ルイスのように演出すればそれだけで良>>続きを読む

草の響き(2021年製作の映画)

3.9

泣いた。今年のベスト入り。ラストがリモザンの『NOVO/ノボ』じゃん(追記:後から思い出したが、ベロッキオ『虚空への跳躍』にもよく似たラスト。この映画の東出昌大はリモザンとベロッキオのあいだで宙吊りに>>続きを読む

学校の怪談 呪いの言霊(2014年製作の映画)

3.5

中江友梨が体育館倉庫の扉が勝手に閉まり閉じ込められ、足首だけの怪異に遭遇したあと、保健室で休息をとる場面。カーテン=扉が閉じられるという反復の後の俯瞰ショットに映り込む脱ぎ揃えられた運動シューズに戦慄>>続きを読む

ブロブ/宇宙からの不明物体(1988年製作の映画)

3.5

再見。この事態の黒幕と設定されている科学者の喋り方とラストの牧師の演説の声が驚くほど似ているのは、彼らが幻視する風景が政治的か宗教的かの違いこそあれよく似ているからか。脚本に参加したフランク・ダラボン>>続きを読む

ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

3.5

再見。イーサンとジュリアの夫婦生活のあれこれが死ぬほどつまらない。林立する風車のあいだを縫うヘリチェイスとドローンに襲撃される橋のシーンは好き。

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.0

古今東西のホラー映画からの引用抽出と自らのフィルモグラフィーの「アップグレード」(リー・ワネルの同名映画の奇形的アクション、『透明人間におけるテーマなどを想起)の同時的達成。血縁を求めるアナベル・ウォ>>続きを読む

愛のまなざしを(2020年製作の映画)

4.3

傑作。万田邦敏のフィルモグラフィーで比較すらなら『UNloved』『接吻』よりも『あのトンネル』だと思う。

嘘をつく女の話だと思っていたら実は嘘を信じる男のほうが狂っていた、嘘をつく女の才能より嘘を
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アイス・ロード(2021年製作の映画)

3.5

ほど良く面白く満足感の高いスリラー。事前の予想より手数の多い描写で氷上の往来や雪山の疾走を盛り上げてくれる。ホルト・マッキャラニーらが閉じ込められる鉱山のパートもきちんとメインストーリーに絡み、リーア>>続きを読む

Our Friend/アワー・フレンド(2019年製作の映画)

3.3

死を間に挟んだ男同士の関係性はやはりブラッド・イングルスビー脚本。これまではアクションによって互いの肉体に傷を負わせてきたが、今作ではダコタ・ジョンソンが肉体も精神も荒廃した痛ましい姿を見せる。静かな>>続きを読む

汚れたダイヤモンド(2016年製作の映画)

3.6

ダイヤモンド強奪がクライマックスに設定されているものの、基本は家族に纏わる古典的な愛憎劇。ドラマがそこそこ長いけど、ショット/切り返しショットからの発砲、縺れ合い、逃走、警備員との撃ち合いのワンショッ>>続きを読む

大幹部 無頼(1968年製作の映画)

4.0

いづみ!スカーフ巻くとこ超可愛い!その後でルンルン気分でハンドバッグを肩にかける仕草も最高!田中邦衛との関係も泣かせる。

芦川いづみは窓の外を向き、田中邦衛はドアの側という画面の両端に両者を配置する
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「無頼」より 大幹部(1968年製作の映画)

4.5

夜の歓楽街のネオンの灯り、朝焼け前のさびしい街、ひとり線路を歩く流れ者、通勤するサラリーマン、団地の奥さん方、やくざ者の死、大雨と泥だらけの立ち回り、再会と離別、接吻、兄が死に、弟が死に、兄貴分が死ぬ>>続きを読む

バレン(1960年製作の映画)

4.5

先住民との相互不理解という結末ながらピーター・オトゥールの敬意と慈愛に満ちた瞳と微笑みに爽やかな感動を覚える。しかし『ワイルド・アパッチ』に比べても軟弱なところはなく「生の掟」(ロンドン)の厳しさも十>>続きを読む

わが愛の譜 滝廉太郎物語(1993年製作の映画)

4.5

傑作。あまりにも聴き慣れ、聴き流していた「花」のピアノの旋律や「春のうらら隅田川」から始まる唱和に感動してしまう。そういうことをこの映画は起こす。

ワイルド・ストーム(2018年製作の映画)

3.8

ライフル型麻酔銃のみで警備を制圧する場面は他に見たことがなく新鮮。横並びの保安官や嵐によるゴーストタウン的な空間での銃撃戦、農場のショット、トラックからトレーラーへの飛び移る兄弟等、西部劇的記憶から成>>続きを読む

ツイスター(1996年製作の映画)

4.0

再見。スクリューボール・コメディめいた前半1時間がとにかく楽しい。家が飛んでくるあたりは『キートンの蒸気船』オマージュ?ビル・パクストンの役名ビルだし。

カリフォルニア・キッド(1973年製作の映画)

4.0

リチャード・T・ヘフロン版『デス・プルーフ』!ヴィック・モロー扮する保安官がパトカーで背後から追突し事故を装って殺人を繰り返しているのだが、マーティン・シーンとの最後の対決が完全に西部劇のそれなので両>>続きを読む

野性の少年(1969年製作の映画)

4.0

ロウリー『ピートと秘密の友達』を再見した流れでこれも再見。ジャン=ピエール・カルゴルへの教育風景とほとんど同時に描かれるフランソワ・トリュフォーの観察日誌の記述風景。少年の教育進展とこの映画の原作成立>>続きを読む

ゾンビの帰郷(2005年製作の映画)

3.9

真摯かつ正統なロメロへのオマージュ(アーリントン国立墓地でのシーンを見よ)。星条旗の下から蘇った戦死者たちは仲間を誤射した軍人を裁きも殺しもしない。胸に輝く星のような「私は投票した」のシールと、人種ど>>続きを読む

ベラ・ルゴシの 幽霊の館(1941年製作の映画)

3.8

窓=二重性(吉田広明)の演出は『夜よりも深い闇』にてさらに発展しているだろうが、それよりも物語の速さに気を取られる。普通なら最後まで生きていそうなジョン・マグガイアが逮捕即死刑、しかも双子の兄として再>>続きを読む

テキサスの死闘(1958年製作の映画)

4.0

スターリング・ヘイドンとネッド・ヤングの決闘に向けて映画は進行するが、この映画の実質的な対決はヤングとユージン・マーティンのそれであり、前者は後者に言葉と態度によってすでに撃ち抜かれている。ヘイドンの>>続きを読む

夢去りぬ(1955年製作の映画)

3.6

フライシャーの映画ではそこまで。ファーリー・グレンジャーが贈り物の拳銃を手にした途端、事件への予感を裏切る速さで外に向けて連射するのが最高。シネスコの画面が活きる牢屋のシーンも良いし、何と言ってもラス>>続きを読む

虎は新鮮な肉を好む(1964年製作の映画)

4.0

ラリー・コーエン『新・死霊伝説』のサミュエル・フラーの登場シーンをずっと観てるようなクロード・シャブロルのスパイ活劇。ノワールのような画面も時折見せつつ、基本はコミック調。犯罪映画のようなロケーション>>続きを読む

猛獣大脱走(1983年製作の映画)

3.7

夜とゴアの映画だが、都市の中を動物たちが駆け回る姿、とくに逃げる自動車を追うチーターをさらに追うパトカーという追跡劇には『ハタリ!』を逆転させた構図ではないかと思った。牛の群れが登場する終盤は完全に『>>続きを読む

インパルス(1990年製作の映画)

4.0

テレサ・ラッセルの光輝くようなブロンドの髪と衣装、艶やかな反射を見せる路面、それらと対比的な夜の黒さ。これらを満遍なく映し出す冒頭からディーン・セムラーのカメラがこの上なく素晴らしい。ブロンドと黒とい>>続きを読む

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

3.8

永山瑛太がたった一人で崩れた墓石を直す様子を捉えた引きの画の重要性。登場人物の複雑さと共に、この映画が批判している沈黙と孤立の主題も同時に現れている。冒頭のセリフで言及されたように無縁仏の墓だというの>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

3.3

意思を剥奪され他者に強制された殺人は『パララックス・ビュー』を、相貌の変貌による自我と来歴の混合はフランケンハイマー『セコンド』を連想するが、映画よりも別ジャンルのアートを志向しているように感じる。露>>続きを読む

G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ(2021年製作の映画)

2.5

121分。日本オリジナル版予告でそこそこ上がった期待値を見事に下回ってくれたが、こんなもんだろうという気もする。ヘンリー・ゴールディングが第三の試練に挑戦する為、縦穴にロープで降る際の引きのショットが>>続きを読む

バーニー・オールドフィールドの人生競争(1913年製作の映画)

3.5

監督マック・セネット。線路の上に鎖で縛られたメーベル・ノーマンドを救う為に自動車を疾走させるのは当時の人気カーレーサーバーニー・オールドフィールド本人。ぎりぎりの救出劇の迫力に驚く。あまりにも過激な『>>続きを読む

セントルイス銀行強盗(1959年製作の映画)

3.0

リチャード・T・ヘフロン脚本のセミ・ドキュメンタリー的な犯罪映画。イーストウッドが『ハドソン川の奇跡』や『15時17分、パリ行き』で行ったように、実際の事件を元にし実際に事件に対応した警官らを採用しス>>続きを読む

キャンディマン(1992年製作の映画)

3.5

ヴァージニア・マドセンのクローズアップと都市の遠景のディゾルブに『間違えられた男』を連想。実際、間違えられる話だが精神病棟にぶち込まれるのでヴェラ・マイルズの役も兼任してる感あり。

精神科医のもとか
>>続きを読む

ゼロ・モティベーション(2014年製作の映画)

3.5

イスラエル軍に兵役に取られた壊滅的に意欲がない女性兵士たちの話。処女を捨てられる目処が立ちルンルン気分で飛び込み就寝、二段ベットを破壊し、睡眠妨害歌唱を行った結果、同僚を自殺者が出たベッドに寝かせ幽霊>>続きを読む

シルヴェストレ(1981年製作の映画)

4.1

ロメール『聖杯伝説』の様式を引き継ぎつつ、影や暗闇を画面に導入したりロケーション撮影も行ったりする(撮影はペドロ・コスタ『血』のアカシオ・デ・アルメイダ)。空間には奥行きがありズームも見られる。ラスト>>続きを読む

聖杯伝説(1978年製作の映画)

4.2

65年のTV番組(youtu.be/DpJbVxGsLxo)でも扱ったクレティアン・ド・トロワの騎士道物語の奇妙奇天烈な映画化。当時の挿絵そのままなセットや古風な歌唱に絶句か爆笑。ファブリス・ルキーニ>>続きを読む