イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 27ページ目

イワシ

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アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

4.5

再見。第一部「旅芸人」のパートで兵士に連行された旅芸人が木にぶつけられると、さっき迄降っていた大雨のせいで葉に溜まっていた雨滴が一気に降り注ぐ。フレーム内フレームに人間と木と雨の運動が凝縮され一瞬のう>>続きを読む

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)

3.8

丹念に削り出され鋭利になった物語。省略の結果として、変化した思惑や感情が場面ごとに吹き出し、戦争の中で荒れ狂う。そういった内面の著しさに見劣りしない戦争描写の凄まじさはMSのみならず、頭に降ってくる薬>>続きを読む

めぞん一刻(1986年製作の映画)

3.5

鳴らないはずの鐘が鳴りアパートの一同が階段を降り外に出て行く運動の繋ぎ方や、覗き穴から顔を出す伊武雅刀へ振り向く石原真理子の動作をアクションつなぎしたり(雑巾投げとして反復される)、ラストに内側から切>>続きを読む

革命前夜(1964年製作の映画)

3.9

再見。フランチェスコ・バリッリとアドリアーナ・アスティとの近親相姦したあとの部屋の撮り方が『孤独な天使たち』を連想させてめっちゃ一貫してると思った。

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

3.5

車が行き交う道路の真ん中でキスする映画。暗転するタイミングがめっちゃ良い。ジョディ・カマーとジョー・キーリーのアクションを模倣するようにライアン・レイノルズとリル・レル・ハウリーも道路の真ん中で抱き合>>続きを読む

スプリー(2020年製作の映画)

4.0

殺人の生配信というそれだけでは平凡極まりないアイデアが場所をライドシェアの車内にするだけで途端に画面に動きが生まれる。終盤のカメラそのものを利用したサスペンスが最高。劇中のSNSのコメントで「何で外に>>続きを読む

あなたを見送る7日間(2014年製作の映画)

3.8

映画史上最高の右折を車内から撮ってるのが良い。斜め後ろの後部座席に置かれたカメラはジェイソン・ベイトマンの表情は映さず、はじめての冒険に対する微笑みによる頬の動きだけを捉える。ウインカーの音は胎児の心>>続きを読む

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

3.7

メディナ・センゴアとエイダン・ギレンの夜の森での銃撃戦は『パブリック・エネミーズ』のそれを連想させる。森を焼き尽くそうとしているはずの火の明るさは画面には全く反映されず、灰塵が雪のように降り注いでいる>>続きを読む

コーラス(1982年製作の映画)

4.5

サイレントでありトーキーでもあるアッバス・キアロスタミの短編。補聴器を利用したサスペンス演出もさることながら、窓から差し込んでくる光の圧倒的な素晴らしさ。窓の下に集う子どもたちの数が徐々に増え、最終的>>続きを読む

わらの犬(1971年製作の映画)

4.5

予想を遥かに超えた罠の使い方に喝采!籠城戦が始まるまでの段取りもかなり周到で妻が受けた暴行への復讐が暴力の引金となっていない。屋内の空間の捉え方も非常に良くて、階段を利用したスーザン・ジョージとダステ>>続きを読む

ミスター・ノーボディ(1974年製作の映画)

3.5

サム・ペキンパーに思うところあるのか墓を作り、ヘンリー・フォンダがクライマックスで戦う相手は150人のワイルドバンチ。『拳銃王』を思わせるラストのボイスオーヴァー、しかしその幕切れは明るい。海が出てく>>続きを読む

この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

3.3

けっこう前に観た。中盤の1対3の銃撃戦はけっこう良かったのだけど、最後の1人との岩場での戦いは引きのショットが要ると思う。

さよなら、ジョージ・アダムスキー(2007年製作の映画)

4.0

スカートを捲り上げた女性から逃げるときに通り抜ける公園を映したロングショット、窓に映る斉藤洋介の心霊的な影、おんぶしながら進む夜の横移動、ラストの場所が海だったとわかる瞬間の感動と訪れる朝の光。『クリ>>続きを読む

シャッフル(1981年製作の映画)

4.0

駐輪された自転車のあいだを走る森達也を低い位置から走って追うカメラで捉えた画がめちゃくちゃ良い。後方に流れていく自転車の輪郭が溶けるようにブレて線のように(それこそ漫画のスピード線のように)なっていく>>続きを読む

4匹の蝿(1971年製作の映画)

3.5

ラストのスローモーションは好き。モリコーネの甘美なメロディとひしゃげる自動車と砕け散るガラス、『悪魔の首飾り』かと思いきや爆発!

扉の陰の秘密(1948年製作の映画)

4.5

再見。ジョーン・ベネットの白いドレスの美しさ、霧が立ち込める森の向こうにぼんやりと見える黒い影のおそろしさ、一転、見つめ合うジョーン・ベネットとマイケル・レッドグレーヴのシルエットの美しさ。

メイド・イン・フランス パリ爆破テロ計画(2015年製作の映画)

3.6

マリック・ジディが妻と会話していると背景に監視していると思しき幽霊のような人物が見える。その人物にフォーカスがあたることなくカメラが360°パンするとディミトリ・ストロージュが背後から話しかけてくる。>>続きを読む

パンと裏通り(1970年製作の映画)

3.8

路地という空間がこの上なく活きたサスペンス。通りかかったお爺さんについて行ったら別の道に進んでしまったときの不安感が素晴らしいし、その後の犬との顛末、オチも良かった。

トラベラー(1974年製作の映画)

4.1

ラストの俯瞰が凄い。散乱したゴミが風に吹かれる無人のスタジアムの風景は黒沢清『叫』の人間が滅んだ風景によく似ている。

ブルー・レクイエム(2004年製作の映画)

3.7

クライマックスの一方的な虐殺、『ブルータル・ジャスティス』が省略した銀行強盗での虐殺はこんな感じだったのかしらと思えて最高。強盗たちのいでたちも似てるし。冒頭の爆炎を反復するフラッシュバンによる盲いる>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.5

ナイフを用いた思わぬ痛覚描写が良い。ガエル・ガルシア・ベルナルの腕に刻まれる防御創がすぐに完治し、また腕に傷が走る。攻撃者が接近してくるときの老眼が進行したボヤけた主観描写も不気味。切り刻まれることに>>続きを読む

アトランティックス(2019年製作の映画)

3.5

冒頭の建築現場のシーンで『マニラ・光る爪』を連想した。幽霊となり社会階層を無視した横行を披露する女に憑いた男たち、その鏡面に写るできごとのようなメロドラマ。鏡と海が重要なモチーフで鏡は演出的にも上手く>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

重心を探ることは倒れることへの危険性を孕むが、支え合うことへの可能性も内包する。柴田修兵が一点で立てた椅子のように一本足になった田中幸恵が転倒させられ、別の者と抱擁すること。田中幸恵に抱きしめられたま>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.2

タイヤの回転とテープのそれとのディゾルブでこの映画が車体ではなく車内の映画だとひとまず提示する。霧島れいかの声を再生するテープの回転は計り知れない「どす黒い渦巻」へと西島秀俊を導くが、三浦透子の運転と>>続きを読む

ジャングル・クルーズ(2020年製作の映画)

3.0

映画撮影カメラのシーンが好き。撮影者と被写体との切り返しは後者の音が消える。はじめはユーモアだったそれがドウェイン・ジョンソンが撮影者に回るとロマンスの予感となる。音が消える状況は水中での酸素供給のた>>続きを読む

續・丹下左膳(1953年製作の映画)

5.0

カメラが捉えた空間がどれもこれも素晴らしい。路に埋め尽くされた奉行所の提灯の白い光が大河内傳次郎の歩みで左右に開いていくシーンがヤバすぎ。

負傷した水戸光子の短筒から白煙が拡がり、直後に水戸光子の口
>>続きを読む

ハメルンの笛吹き(1972年製作の映画)

3.7

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』にも鼠を操り液体の中に飛び込ませてるシーンがあった。

垂直のまま(2016年製作の映画)

3.7

ダミアン・ボナールがホームレスが屯してる橋の下でゾンビの如く取り囲まれ圧し潰されているショットが、次の瞬間に銃声が絶対鳴り響くだろうと予想できるショットで実際に鳴り響くだが、その瞬間『サバイバル・オブ>>続きを読む

湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)

4.5

傑作。セックスと殺人、喘ぎ声と窒息、ペニスの挿入とナイフの刺突、前者を経験し後者を目撃したピエール・ドィラドンシャンは果たして両方の経験者となるのか。暗闇の中でわずかな光が皮膚を照らし、刺されるか挿さ>>続きを読む

僕の無事を祈ってくれ(1988年製作の映画)

3.5

主演のヴィクトル・ツォイがロックスターなこともあり、基本的には一匹狼で複数人を素手で叩きのめせるけど、いざというときにはそいつらの先頭に立てる不良役でカッコいい。ラストの雪路で腹を刺されるもニヒルに笑>>続きを読む

俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル(1996年製作の映画)

4.0

ピタゴラスイッチ帰宅映画。紆余曲折を経た主人公の精神的な成長と帰郷というアメリカ映画的な主題をピタゴラスイッチ的パターで視覚化/パロディ化してみせる。普通に超笑った。アダム・サンドラーがワニにキレて殴>>続きを読む

浮き草たち(2016年製作の映画)

3.8

カラム・ターナーが駅の階段でグレース・ヴァン・パタンを待っているときのロングテイクがアルトマン的。原題“Tramps”が示すように、二人並んで歩くシーンが凄く好き。他人の家の物をパクるのに躊躇が無いの>>続きを読む

Tiempo de morir(原題)(1966年製作の映画)

3.5

ラストのスローモーションが超カッコよかった。主人公に付き纏って執拗に狂った嫌がらせをする兄のキャラは『El castillo de la pureza』とほぼ同じ。兄は弟を、父は娘をベルトで鞭打つ。

El castillo de la pureza(原題)(1973年製作の映画)

4.0

子どもたちが雨の降りしきる中庭で普段着のまま遊んでいる場面が頻出するのだが、それだけにラストで傘をさした野次馬がぞろぞろと中庭に侵入してくるのが印象深い。

リタン(1982年製作の映画)

3.7

怪作!冒頭のフラッシュフォワードでバイクで綱渡りする男が落下するシーンがあったけど、いざその場面になるとマリー=ジョゼ・ナットの背後が爆発するのが突拍子なさ過ぎで爆笑。