kikkiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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雪の轍(2014年製作の映画)

3.4

人は皆、狡猾な偽善者なのかもしれない。哲学と文学によって私の中にあるエゴイズムを晒されたよう。
泥塗れの靴を足で避けつつ聖職たる者身なりを整えるべきと言う。馬を解き放つ一方で野ウサギを仕留める。その妻
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しあわせの百貨店へようこそ(2018年製作の映画)

4.4

自分でも戸惑うほどに泣いてしまった。信じる事、受け入れる事、その豊かさと美しさに感動し、安心感に満たされたのだと思う。邦題には「百貨店」とあり、そこで働く女性たちそれぞれのストーリーではあるが、あらゆ>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

4.8

"世界一の兄"の少し涙ぐんだ真っ直ぐな瞳に何を思ったら良いの?可愛いコイスティネン、せめてあと暫くカーリドの側に居てあげて欲しい。
特有の間と絵面の中に、とぼけた外し方でシリアスな問題を突き付けてくる
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.8

私はこのような作品に出逢いたくて映画を観続けているんだと思う。
モノクロームの映像は美しく、時折挟まれるカラーが際立つ。
家族と、共に過ごした思い出。忘れないでいれば、きっとどこにいても不幸ではない。
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ナイロビの蜂(2005年製作の映画)

4.1

モノカルチャー経済の上に成り立っている私たちの生活。支配、搾取していたのは資源や労働力だけでなく命や健康までも。
「彼らの命は余りにも安い」「不要な薬は不要な者に」深く大きな難題を投げかけて散った夫婦
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愛を読むひと(2008年製作の映画)

3.4

私もハンナと同じ選択をしたと思う。彼をこれ以上苦しめたくなかったから。償いようもない罪に対して釈放されるべきでないと思っていたから。非織学者であったことへの恥と後悔。そして、マイケルの愛に満たされたか>>続きを読む

イゴールの約束(1996年製作の映画)

3.1

イゴールはアミドゥとアシタ、その子どもに「家族」を感じたのかもしれない。自分より大切なもの、守りたいものがあるということ。
約束したとはいえ、全て彼の内面から湧き出る感情のはず。そうでなければ15歳の
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.9

終始五感がフルスロットル。私の語彙力ではとてもレビューを書ききれない。

ポッポー!(2019年製作の映画)

3.8

昔おばあちゃんの家にあった鳩時計。幼かった私はソファーの上に椅子を積んで、出待ちの白いハトをむしり取った事を思い出しました。あのハト、どうしたのかな、叱られて取り上げられたのかしら。どうしてもみたかっ>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

ゆっくりと静かに過去に置いてきたはずの記憶へと誘われる。何ともやり場の無い気持ち。
哀しいようでそうではない、漠然と不安を感じつつ折り合いを付ける。
戻ることも戻すこともできない過ぎた時間。
きっと観
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生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

4.2

哀しき大人のタテ社会と子ども同士の小さな力関係をユーモラスに描いた傑作。
子どもたちがとにかくユニーク。特に次男。こっそりとお菓子をあげたくなってしまう。歯を入れたり取ったり出来るお父ちゃんも、三枚目
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あなたになら言える秘密のこと(2005年製作の映画)

3.3

2500万回打ち付ける波の数。数で耐性が測れるものだろうか。心砕かれるのは一瞬だ。ここには汚染された海水も必ず浄化されると救おうとする人がいる。涙を拭う大きな手と泳いでみせると誓う深く強い愛がある。で>>続きを読む

柳生一族の陰謀(1978年製作の映画)

2.8

漸く鑑賞。未来永劫リメイク出来ない豪華キャストと重厚感。萬屋錦之介だからこそ演じられる佇まいと狂気だった。そして成田三樹夫の存在感◎。

砂漠でサーモン・フィッシング(2011年製作の映画)

2.6

あくまでもロマンス。とはいえ「釣り人には美徳がある。忍耐力と寛容さ謙虚さだ。」等印象深い台詞も残る。アフガニスタンで灌漑事業をされていた故中村哲医師の事も思い浮ぷ。水のある場所に人が集まり、信じる力を>>続きを読む

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

3.2

ホーマー!転ぶバスター、鏡を見るメアリー…なんて愛おしいのでしょう。誠実で優しく、それゆえに不器用なホーマーをトビーマグワイアが好演。自分で選択する、決断する、その繰り返し。それが人生というものだとメ>>続きを読む

アマンダと僕(2018年製作の映画)

3.4

美しい街並みと変わらない日常に喪失が染み込んでいる静かな描き方が哀しみを際立たせているように感じた。Elvisがモチーフとなりウインブルドンの試合を観るアマンダの涙から笑顔に変わる表情に素直に泣けた。>>続きを読む

エール!(2014年製作の映画)

2.9

皆さん切り替えが早く、オープンで明るい。私はもたもたして着いて行けないままラストを迎えてしまった。ロベルトベニーニ似の音楽の先生に言わせれば、私のような者は大腸に気をつけた方が良さそうね。CODAの方>>続きを読む

トムボーイ(2011年製作の映画)

4.6

ジャンヌの思いやり、リザの柔らかい心。二人ともロールのことが好きなのね。ロールも二人のことが好き。大切なことは至ってシンプルなんだと子どもたちが教えてくれる。ジェンダーアイデンティティを繊細に、瑞々し>>続きを読む

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(2018年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

街並みや風景、人物、画面の構図全てが絵画を観ているよう。誇示よりも謙遜を悟った老人は心穏やか(上機嫌と言う方が相応しい)で、窓から差す柔らかな光の中に召されていく。事業と金、信頼‥全てを失ったようでそ>>続きを読む

家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

ワーキングプアを生む現代の資本主義社会のリアル。身体も心も壊れてしまいそうなギリギリの所で、家族みんなが家族であろうとする姿に涙してしまった。
そしてアビー。彼女の言葉ひとつひとつが胸の奥深く届き、や
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

空、海、大地が見せる表情、降り注ぐ原子‥自然の美しさや包容力に圧倒される。痛いほどの孤独の一方で、温もりに出逢っては思い出を綴る。生きることは旅のよう。喪失を"いつかまた会える"として遠い道程を進む。>>続きを読む

ダイヤルM(1998年製作の映画)

3.1

「ダイヤルMを回せ!」を観たついでに鑑賞。ヒッチコック作品とは別物として楽しんだ方が良い。嫌味なお金持ちに適任のマイケルダグラスではあるが、本作はエレガントなグウィネスパルトロウを見る映画と言っても良>>続きを読む

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.4

舞台を観ているような構成が良かった。こんな大雑把な殺害計画ではうまくいかないよね。時計、鍵、そして電話‥アナログアイテムの面白さが光る。カメラ目線のヒッチコックがお茶目。

風が吹くまま(1999年製作の映画)

4.2

続いていく一本道と流れる川はまるで人生のようで、其々とは言え、実はとてもシンプルでみんな同じようなものなのかもしれない。景色も時間も人との関わりも、ただ感じ方が違うだけなのかもしれない。押し付ける事な>>続きを読む

くもとちゅうりっぷ(1943年製作の映画)

3.2

1943年⁈ 驚きのクオリティ。雨の描写や蜘蛛の巣に光る水滴、キャラクターの動きに生命を感じる。プロパカンダ云々とか滑らかなアニメーションに必要なセル画の枚数や技能等々はわからないけれど、作品の優しさ>>続きを読む

ぼくの伯父さんの休暇(1952年製作の映画)

3.3

動きだけでこんなに笑わせるなんて。散りばめられた小ボケにツッコミを入れているうちに、お騒がせ伯父さんの休暇も花火でフィナーレ。賑わった夏の終わりは、夢の跡のように少し寂しい余韻が良い。

トラフィック/ぼくの伯父さんの交通大戦争(1971年製作の映画)

4.9

大好き。視覚情報全てが細々と可笑しい。おじさんデザインのキャンピングカーは多機能&珍機能、私も欲しい‥かな?セカンドカーとしてなら。少しヒステリックだった超絶オシャレな広報担当マリアも、いつしか優しい>>続きを読む

ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.0

人の心は複雑かつ曖昧なもので、記憶は都合良く脳内変換が可能なものではないかしら。洗脳されるのは隙があるからとも言い切れないし、トラウマを克服する最善策など誰にも分からないのかもれしない等と思いながら、>>続きを読む

めまい(1958年製作の映画)

3.6

屋上から見たビルの隙間、正方形のフレームに吸い込まれるような螺旋階段。「高さ」の恐怖をあらためて感じた。オープニング、後半の斬新なアニメーション、バラとそのブーケ、巻いた髪。渦巻きがめまいの象徴として>>続きを読む

モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険(2017年製作の映画)

3.6

ポケットのないカンガルー、自分でひらく絵本4冊セット、そしておさるのジョージシリーズ達は私の書棚に今も並んでいる。ハンスの表情豊かな絵が大好き。マーガレットのストーリーは愉快で、元気付けられる。Mr.>>続きを読む

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

3.3

オシャレでユニーク。この脱力感が大好き。私も子どもたちと一緒に賭けをしたいな。"笑い"と言うより"笑顔"がいっぱいになる。

プレイタイム(1967年製作の映画)

3.1

「ユロ伯父さん、都へ行く」。情報量が多い中、自分のお気に入りポイントを見つける作業も楽しい。

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

3.0

"ウェスアンダーソン+ロマンコッポラが
アストリッドリンドグレーンの世界を表現してみたらこうなりました"とでも言うように、色も構図も景色から小物に至るまで美しくもキッチュでシュールに表現された児童文学
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.1

どうしよう、どうしたらいいの、泣き出したくなるほどの不安を終始抱えることになる作品を他に知らない。
それだけでなく、子どもの話に全く耳を貸さないどころか、ゲンコツで躾けるとか退学と脅すなど理不尽な大人
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6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

3.0

12年間。そこに生まれるリアルが挑戦的であり結果成功もした作品なんだろう。大人の都合に振り回されていく子供たち‥成長というより、その大人の都合に合わせていけるようになった子ども時代の喪失を見たような、>>続きを読む