ブルームーン男爵さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.2

私が大学生の時だから10年ほど前に鑑賞したのだが、坂本龍一を偲んでリバイバル上映していたのであらためて観てきた。清王朝のラストエンペラーの溥儀は、二度も皇帝に即位するも最期はただの庭師として生涯を遂げ>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.8

ほんと脚本家はよくこんなストーリーを思いつくなと感心しきりだった。特に前作の繋がりはないので、本作は単品として楽しめる。

画面上のやり取りでいろんな出来事が絡み合い進む様子は前作同様に斬新。また、感
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マチルダ・ザ・ミュージカル(2022年製作の映画)

4.0

ローレンス・オリヴィエ賞では最多7部門受賞、トニー賞でも5部門を受賞した人気ミュージカルのネットフリックス製作の映画版。想像が大好きな天才少女マチルダが家庭問題や管理主義的な横暴な学校を克服し、また、>>続きを読む

ノートルダム 炎の大聖堂(2022年製作の映画)

3.7

2023年4月オープンのプレミアム映画館「109シネマズプレミアム新宿」のS席(6500円)で先日、鑑賞してきたのが本作。

パリのノートルダム大聖堂は、1163年に礎石を置いたことにはじまり、134
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.3

これは想像以上の傑作。イランのイスラム教シーア派の聖地マシュハドで起きた娼婦の連続殺人事件をテーマにした作品である。本作で、ジャーナリストのラヒミを熱演したザーラ・アミール・エブラヒミは、カンヌ国際映>>続きを読む

幻滅(2021年製作の映画)

4.5

バルザックの「人間喜劇」の一編「幻滅」の映画版である。セザール賞では七冠で評価が高い。ちなみに、原作は未読である。グザヴィエ・ドランが出ているので観たのだが、いや、想像以上にすごい面白かった。

革命
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.9

名匠ダルデンヌ兄弟の最新作。ダルデンヌ兄弟の手掛けた作品は、カンヌ映画祭でパルムドールを二度受賞し、さらにグランプリ・監督賞・男優賞・女優賞・脚本賞などを受賞しており、快挙というほかないが、本作でもカ>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.0

前作はエスターの謎めいた正体が恐怖を醸し出していたが、今回はエスターの正体がわかっているので全然怖くない!!ホラー感だそうと、はじめは頑張ってはいるけど怖くないです笑。もはやコミカルで、エスターの成長>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

本作は、黒澤明の名作「生きる」を、イギリスを舞台に置き換えたリメイク版である。黒澤明の「生きる」は未鑑賞。脚本はノーベル賞作家のカズオ・イシグロ。ビル・ナイの名演に、映像や音楽がいずれも上質。感動的な>>続きを読む

コドモなオトナの人生レッスン(2021年製作の映画)

3.2

モナコ在住の大富豪のボンボンのワガママ3人兄妹を更生しようとお父さんが一芝居するストーリー。まぁ、お気楽なフランス映画で好きだったが、95分しかなかったので話がいかんせん薄い。もっと心理的葛藤とかを描>>続きを読む

ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たち(2018年製作の映画)

3.7

ハミングバードとは、高速で羽ばたくハチドリの一瞬の羽ばたきの超高速の速度に由来している。

よくネットなども一瞬で遠くに情報が届くと漠然と思っている人がいるが、光の速度でも0.1秒で地球一周はできない
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うつろいの時をまとう(2022年製作の映画)

3.8

日本のファッションブランド「matohu」のデザイナー堀畑裕之氏と関口真希子氏に迫った上質なドキュメンタリー。日本の美意識を重視し「かさね」「ふきよせ」「なごり」などのコレクションを発表してきた「ma>>続きを読む

コンペティション(2021年製作の映画)

3.6

映画製作を思いついたのは大富豪だが、映画製作は自身のイメージアップのためとしか思っておらず、映画原作も金で買うも内容を読んですらない有様。有名な監督と俳優を起用するも凸凹トリオ。映画のアプローチもガタ>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.8

子供の頃に仮面ライダーはちょっと観ていたけど、あんま詳しくない。庵野さんの作品ということで観てきたが、なかなか面白かった。ただ評価は分かれる作品だなと思う。
※ どうでもいいけど、六本木のTOHOのプ
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エッフェル塔~創造者の愛~(2021年製作の映画)

3.8

パリの有名なスポットのエッフェル塔。エッフェル塔を設計したのはギュスターブ・エッフェル。彼を主人公に、エッフェル塔が完成するまでの苦難と、結ばれなかった最愛の女性アドリエンヌへの愛情を交えながら描いて>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.8

アカデミー作品賞にノミネートされているスティーブン・スピルバーグの自伝的な作品である映画「フェイブルマンズ」を観てきた。彼が映画監督になる幼少期から青春時代を描いているが、とても良い作品だと思う。スピ>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

2.5

【映画背景等】
「Winny」(Peer to Peer技術を応用したファイル共有ソフト)の開発者の金子勇氏が著作権法違反の幇助の疑いで逮捕され、一審で有罪になり、最高裁で無罪となった「Winny事件
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

本当に訳が分からないけど、面白かったし、感動的でした。独創的な映像表現、独創的な設定、奇想天外な展開などどれも斬新で新鮮だった。映画「マトリックス」、日本アニメの「パプリカ」の影響は受けているが、さら>>続きを読む

ワース 命の値段(2019年製作の映画)

3.4

多くの死傷者を出した2001年9月11日のNY同時多発テロ事件で、補償金基金を担当した実在の弁護士ケネス・ファインバーグを主人公とした社会派ドラマ。

テロ被害者に補償金を公金から拠出する善意の基金の
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.8

痛快なブラックコメディ。オストルンド監督はザ・スクエアに続いて本作でもカンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞を受賞。ブラックユーモアが好きなら刺さる映画だと思うが、私は最初から笑いが止まらなかった笑。経済>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.9

17世紀、イタリアのペシアという小さな町の修道院の院長だった実在のベネデッタ・カリー二のお話。ベネデッタは聖痕をキリストから受けたと主張し、神に選ばれたことで修道院長になっている。しかし、修道女の一人>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.9

韓国のパク・チャヌク監督最新作。カンヌ国際映画祭コンペティション部門では監督賞受賞作。Jung Hoon Hee(鄭薫姫)の「霧」の歌詞にインスピレーションを受けて製作されたそうだ。

カメラワーク、
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.8

地球最北端の駅へ向かう寝台列車で出会った男女を軸としたロードムービーであり、実り得ぬ恋愛だがラブストーリーでもある。第74回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作である。

モスクワに留学中の考古学を学ぶフ
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.0

主人公のアムレートは小国の王子であるが、叔父が父を殺し王位を簒奪してしまう。そんなアムレートは復讐を誓うのだった。アムレート伝説や北欧神話などをベースにしたお話である。なお、アムレートの復讐劇は、シェ>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

3.9

教会の一室を舞台に犯罪の加害者と被害者の両親が対峙し対話する。しかし、これは詰問したり、批判したりする場ではない。「修復的司法」の一環である。犯罪加害者と被害者がそれぞれ心境を吐露し、それぞれに生じた>>続きを読む

「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ(2023年製作の映画)

3.7

本作は独立した劇場作品ではないので要注意である。鬼滅の刃のアニメ版の「遊郭編」第十話、第十一話と、「刀鍛冶の里編」第一話をおさめた劇場公開版。あくまで鬼滅の刃の「遊郭編」は観ている人向け。さすが大画面>>続きを読む

すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.9

「死は人生の終末ではない。生涯の完成である。」といったのはルターだったと思うが、自然死を迎えるまで生き続けるべきか、尊厳を持ってある安楽死を選ぶのかというのは、かなり意見が分かれるテーマである。オゾン>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.9

鬼才マーティン・マクドナーの最新作。マクドナーは、アメリカの片田舎を舞台にし、犯罪被害者の母親が引き起こす波乱を描いた「スリー・ビルボード」でベネチア国際映画祭脚本賞などを受賞している。もともと劇作家>>続きを読む

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

3.8

19世紀ウィーンでは科学・文化が爛熟し「世紀末ウィーン」と呼ばれ、1920年代のパリは「狂乱のパリ」と言われ繁栄を謳歌した。豊かな文化、経済発展、自由と平等と繁栄。そうした欧州理性が結局もたらしたのは>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.8

映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー。寡作な作曲家とは異なり、次から次へと楽曲が浮かぶようて多作な作曲家で、「海の上のピアニスト」「ニュー・シネマ・パラダイス」などの心温まるサントラ>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

3.7

評価が高いので観たが、結構ハラハラもするし、テロの恐怖とかがリアルだし、感動的なシーンもあってよかったと思う。2時間を超えるが長さを感じさせない。ただ血とかが苦手な方は注意されたし。

ただいかんせん
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.8

有力映画プロデューサーの性犯罪の記事がきっかけで、"MeToo 運動"が世界中に広まった。その記事を書いた女性ジャーナリストの奮闘を描いた実話である。その加害者はハーヴェイ・ワインスタインで圧倒的な影>>続きを読む

我らの罪を赦したまえ(2022年製作の映画)

3.5

ナチスは社会的に役に立たないとされた障害者を抹殺し、また断種等により障碍者等の発生を抑制する計画「T4作戦」を実行したが、その作戦の様子を手に障害がある少年を主人公に描いたショート映画。ただ障害がある>>続きを読む

その瞳に映るのは(2021年製作の映画)

4.0

1945年にデンマークで行われた「カルタゴ作戦」をベースにした作品。その作戦とは、戦時下のデンマークで活動していたレジスタンスの救出のために、コペンハーゲンのゲシュタポ司令部を英国軍が攻撃というもの。>>続きを読む

7人の女たち(2021年製作の映画)

3.8

フランスの劇作家ロベール・トマ作の戯曲「8人の女たち」を、2002年にフランソワ・オゾン監督がミュージカルタッチで映画化したが、本作はイタリアで製作されたリメイク版となっている。オゾン監督のものはミュ>>続きを読む

家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

英国の巨匠ケン・ローチ監督の作品。ケン・ローチは英国の労働者階級や貧困層をテーマにした作品が多いが、本作も訪問介護士の妻と過剰なノルマを課される宅配事業者の夫の夫婦とその二人の子供を軸に、非人間的な労>>続きを読む