Angiiiさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

3.4

聞こえる音が、存在しない記憶を呼び覚ます―
共鳴する車、椅子の軋み、消えた男と同名の男。"爆発音のような音"に悩まされ、引き寄せられていく女、その先に待ち受けるものは果たして何なのか。

静かにそして
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.8

シャロン・ステート始め在りし日のハリウッド、映画そのものへ向けた愛と餞。

ブラピとレオ様の鼻血不可避な組合せからアル・パチーノ御大、タランティーノにしか許されないであろう人員と金銭と時間を豪華に使い
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マクベス(2021年製作の映画)

5.0

シェイクスピア戯曲『マクベス』を斬新な視点から描き直した異色の一作。

コンテンポラリーアート、前衛劇を強く意識した画角から覗く人間の闇、罪の意識に飲まれていく人間の生々しい堕ち方が鮮烈に映えている。
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

人間の孕む黒い罪、愛と赦しとその先へ

この作品に出てくる男女は徹底的に魂のどこかが欠けている。子を亡くしたふたり、母とともに唯一の友人をも見殺しにした女、空っぽの男。

劇中多言語劇『ワーニャおじさ
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

5.0

2021年、ご縁あってアンレストア版70ミリを劇場にて鑑賞。

…なぜここは星5までしか評価できないのか。この映画を評価するに星5はあまりにも物足りなさすぎる。なぜ今まで観てなかったのかと自分を責める
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.5

相変わらずの、いや今までで最高峰であろうウェス・アンダーソン節の炸裂、静と動の対照、彼の色彩はいたれりつくせり。

"The New Yorker"をモデルにしたとある出版社、そこで出版される週刊誌の
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オルフェ(1950年製作の映画)

4.5

死の世界へいざなうコクトーの詩が美しい。

死を司るものとして、そして愛に揺れる女であるマリア・カザレスの、

『妻は待たせておけばいいわ、会える喜びが増すから』

という言葉が今でも尾を引いている。
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エクソシスト(1973年製作の映画)

4.2

表紙にそこ知れぬ深い魅力を感じ、
ディレクターズ・カット版を劇場にて鑑賞。

恐怖…というより不気味と痛々しさが勝る。

ブリッジ怖!!!!
脳検査怖!!!!
娘かわいそう!!!!
サブリミナルちょっ
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潮騒(1954年製作の映画)

5.0

水をも弾く浅黒い肌、日焼けによって色が褪せ気味な唇から吐かれる甘酸っぱい息吹を今にも感じそうだ。

三島由紀夫原作『潮騒』は本当に好きな小説だから、大好きな久保明が演じてくれて本当に良かった。ちょい役
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GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版(1995年製作の映画)

5.0

世に多数ある一つの観点を取ればこの宇宙すべては"情報"として写像される。そういうことであれば"私"という情報群はどこに境界が存在するのか?有機と無機の混在に侵食される者、利用する者、"情報"の一つの形>>続きを読む

Begotten(1990年製作の映画)

5.0

これを作品と呼ぶには圧倒的な違和感があるしそれを突き詰めようとしてもよくわからない。不可解な映像が継ぎ接ぎのように流れ、文脈を読み解かんとする努力は虚しく尽きる。

死せる"神"(だが不死でない神は真
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.1

アリ・アスターによる、斬新なカルトホラー!!というよりアリ・アスターによる『ウィッカーマン』の再翻訳とオマージュのほうが近いかもしれない。

そもそもホルガで信仰されているのは"カルト"なのか?カルト
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クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)

5.0

その時だけ、彼はクリーンだった。

今まで観た中で一番ズッシリと尾を引く作品かもしれない。全篇通して頭脳を侵食する怪音と電波、ピーターの不安定な視線と震えに取り憑かれ、我々は束の間の共同体と成らざるを
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タキシード(2002年製作の映画)

3.6

脳みそ空っぽアクションコメディ
チープさが堪らない。

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

5.0

この映画を見ているときの高揚は、小学生の時に抱いたサン宝石へのトキメキと同じものかもしれない

或る夜の出来事(1934年製作の映画)

5.0

このテンポ、このユーモア、この恋と幸福。
不朽の名作とはまさにこのような作品。

恋に恋する乙女としてはクラーク・ゲイブルのような''ちょいワル"な眼差しと佇まいにこそトキメくし、クローデッド嬢が愛に
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ラブ・アクチュアリー(2003年製作の映画)

4.5

あからさまなシーンに母と共に頬を赤らめつつ、季節外れのクリスマス・ソングに心を少しトキメかせた。なんともイギリスらしい下品さとリチャード・カーティス脚本の暖かみにじんわり。

晩飯として頬張っていた軟
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アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

4.1

タイムトラベルした人間の客体的状況がどうなるのかが少し気がかりであったが、それらが気にならないほどにはこの映画が伝える"日々の幸せを探し当てる手つき"というものに心が絆された。
結構泣いた。

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

5.0

ジュリア・ロバーツ巡り、本人の溢れ出てしまう気品からか売春婦役はやはりあまり馴染まない。
最後のハリウッド夢追い人の黒人お兄さんがとてもいい味出してた。

アウステルリッツ(2016年製作の映画)

4.6

【群衆】3/3


『ARBEITE MACHT FREI』を軸に映し出す観光客、それをただ見つめる我々が得られるのは『史実の娯楽化』という痛み。生身で経験していない(当然したくない)、かと言って歴史
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来る(2018年製作の映画)

5.0

澤村伊智原作比嘉姉妹シリーズ『ほぎわんが、来る』は何年か前に読了したが、噂に聞く霊能アベンジャーズが気になりすぎて邦ホラーが苦手ながら鑑賞。

脚本は少し異なるようだが原作での過度なマチズムや他人を出
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.8

憧れているからと言って必ずしもボニー&クライドになれるわけではないし、若い頃諦めた夢は幻影のようにまとわりついてくる。

死ぬべき人間は死なず、セックスもキスも予定通りに現れない。偽りの満足に身を浸し
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最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

5.0

私の知らない私の何かが、深く力強く、的確に穿かれ、深き深き深淵に突き落とされた。

そこで見えたのは未来から来た黙示録、それは圧倒的な"音"。

モノローグの恣意的な断絶、星の急激な盛衰、悠久な時への
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オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

5.0

この映画は非常に魅力的だ。
だが、その魅力は"吸血鬼モノ"と言うジャンルには起因しない。

全編に散らばるのは【ミステリートレイン】の永瀬正敏と工藤夕貴のような愛おしさ、何気ない日常生活に起こる些細な
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同級生(2015年製作の映画)

5.0

教室にそよぐ風のみに靡く髪、制服を焼く夕日にしか汗ばまない肌というものがある。ひぐらしはいつだって過去から鳴り響き、胸に覚える喪失は一体どうすればよいのか?
これは大人になってしまった私たちがあの頃の
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ライトハウス(2019年製作の映画)

5.0

狂気は人魚のように、知らぬ間に取り憑かれたとしても魅惑的である。

嵐に囚われフォグフォーンが低く唸るとき、光は何より恐ろしい。ふたりの男の鬼演に巻き込まれ、知らぬ間に飲み込まれていく。

劇場での2
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パターソン(2016年製作の映画)

4.5

何気ない日常の趣、そしてジャームッシュの真骨頂がすれ違う詩人たちの"A-ha?"に全て現れている気がする。

この映画は心の底にそっと仕舞っておこう、この先いつか疲弊したときの自分のために。

パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

4.1

彼が言うように、人生は点と点を移ろうように進むものだが、必ずしも前進しているとは限らない。これは不安定な少年の、"ここ"から"ここ"への物語。

アリーは薄汚ないニューヨークの裏側で見向きもされずに殴
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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

5.0

フォレスト・ウィテカーのセクシーな両目とドープなギャングスタラップに始終クラクラしていた。

【サムライ×HIPHOP】は何もこの作品だけの掛け合わせではないが、何故こんなにもかっこよいのだろう。

ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

5.0

来世でチャンスがあれば叶えたいささやかな願望がいくつかあるが、そのうちひとつが「ジム・ジャームッシュの映画に写りたい」である。

歩き、眠り、タバコを吸う。
ドライブをし、映画を観、トランプをする。
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Billie ビリー(2019年製作の映画)

5.0

若いジャーナリストの死から始まるこのドキュメンタリーは他のものと一線を画している。

ドラッグ暴力セックス男に耽溺する美しきマゾヒスト、彼女は憂いの眼で世を愛で、その美声は南部のポプラにぶら下がる同胞
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プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.6

変に残虐すぎることも不可解すぎることもなく、後味も程よかった。

おじいちゃんの"共産主義者か?"っていう一言がこの作品にとっては味わい深すぎて上手いなあ~と感じた

マザー!(2017年製作の映画)

2.5

期待した程でもなかったし、数々の宗教的メタファーを見つけては自己満足の愉悦を感じるだけでそれ以上のものでもなかった。

この監督ははじめましてなのでこの作品外に存在する文脈があるのかもしれないし、単に
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.0

ファム・ファタールは必ずしも憧憬の対象になりえないのだと私は学んだ。

美しいはずなのになぜこんなに気持ち悪いのだろう、例えるならば間近で観賞しようとして覗きこんだ薔薇の裏に油虫が隙間なくビッッッシリ
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