Angiiiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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さらば箱舟(1982年製作の映画)

4.7

人間の囚われる反復性の檻はあまりにも虚しく、巨大。

個人的に寺山修司ブームが大絶賛到来中なので毎度の如く新文芸坐に駆け込んで鑑賞した。

時計を暴力的に破壊する始まりのシーンは、寺山修司の"時"とい
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不道徳教育講座(1959年製作の映画)

4.7

我々の思う道徳とは何か、そして不道徳とはなにか。コミカルかつシニカルに問いかける一作。

50年代から60年代にかけての、ピンクパンサーやチャップリンを思わせるような茶目っ気たっぷりなテンポで物語は展
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人斬り(1969年製作の映画)

5.0

新文芸坐の三島由紀夫特集で三島由紀夫目当てで観たはずが本来の目的を忘れるほど勝新太郎が素晴らしい映画。

この映画の中で、岡田以蔵は勝新太郎であり、勝新太郎は岡田以蔵なのだ。

斬る勝新太郎、食す勝新
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11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち(2011年製作の映画)

3.3

ここのレビューで大体の予想はついていたが、観た感じ大体その通り。


時代背景にそぐわないセットやロケ地の雰囲気は時として軽薄すぎていて、劇中楯の会メンバー達による決死の行動とのギャップが面白おかしい
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天使/L’ANGE デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.7

全ては闇に飲まれるのではない。
光がそれらを吐き出すのだ。

散りばめられた反復性と不連続性によって紡がれる"連続性"の提示。【天使 L’ANGE】という題、それは光に誘われて一層また一層と上がって行
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

5.0

平和でありながらこの上なく激動的、静かに秘めたる闘志が互いにぶつかり合うとき、そこには一体何が生まれるのか。

この映画、"本当に素晴らしい"の一言に尽きる。

幾多の歴史的証人と専門家、そして明瞭な
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草迷宮(1979年製作の映画)

5.0

手毬唄の誘う先は、死んだ母の捕らう出口なき迷宮。

失われた唄の文言を求めて各地を虚ろに彷徨う青年、善悪なる母ともに生き、生かされた少年期。

美しき母と女たちの官能に縛られたまま、母を亡くした男の心
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ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

5.0

1971年のルパン三世TV第1世代から始まり膨大な作品たちをひとつひとつ拾い観て、やっとカリオストロの城に辿り着いた。順番が違う気もするが名作の前では順序なんてものは屁でもないということにしよう。>>続きを読む

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年製作の映画)

3.8

2016年某日、学校の宿題が終わりテレビをつけた自分は何やら騒がしそうなCMを目にする。黄色いバックにウォール街、派手なデカ文字にブラッド・ピット。脳裏に過ぎるはついその3年前に公開された某映画、ブラ>>続きを読む

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

5.0

Filmarksを始めたときから記念すべき100本目は絶対『AKIRA』にすると決めていた。三日坊主もちゃんとここまで続きました。

正直に言うと『AKIRA』については評価というものが全く出来ない。
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火口のふたり(2019年製作の映画)

3.5

別れた男とはあまり会いたくないタチなので正直沁み入ることはなかった。
が、世にはこんな物語があってもええんやないかなというチョット暖かな気持ち。

恋話猥談なんて、自分ではないどこかの誰かの物語である
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美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

4.6

237分という時間に少し身構えもしたが全く必要でなかった。美は細部に宿るというがその"細部"が連綿に続いているような感覚。
絵画の作成される過程が具に映されているが決して冗長ではない。むしろたゆまず変
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.9

それは女神のような瞬き、死は尻尾を噛む蛇のように自らを捕らえて離さない。

モノクロの紙芝居のような体裁を取りながらも合間合間に残された"隙"は非常に雄弁、語られぬ情報は補完される。この29分を経れば
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愛のコリーダ(1976年製作の映画)

4.6

愛に狂った女の行く末、狂愛を愛する女の為に受け入れる男。その愛は永久。本作が観るものの心に映し出すのは、それ以上の物である。

有名な阿部定事件を描いた映画だが、内容はその事件を知っているならほぼ御想
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

4.1

マイルス・デイビスからの誘い。

彼はこの映画のサウンドトラックを作るとき、譜面を書くことはせず、じっと映像を見ながら即興で曲を作ったのだという。彼自身が雨に打たれ徘徊するフロランスであり、閉じ込めら
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檻囚(1962年製作の映画)

4.0

我々は皆迷える子羊、時間に囚われ虚脱するのみ。

浅学ゆえこの短編が作られた前後の文脈に対し全くと言っていいほど理解がないので現時点では表層的な見方しかできていないと思う。寺山修司氏の作品や人物像をよ
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ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

5.0

昔、"それ"はふたつでひとつであった。

"それ"は離れては引き寄せ合う紅い波であり、
谷間で絡み合う蒼い霧でもあった。

いつしか歯車は噛み合わなくなり、"それ"を持つに耐えられなくなった男は想いを
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LETO -レト-(2018年製作の映画)

4.5

文化統制下の青い激情と叶わぬ淡い恋。

元々киноが好きなのもあって、物凄く耳が幸福な時間でした。ユ・テオの役のハマリ具合が半端じゃなかったです。とてもかっこいい。声に関してはどうやらロシア語音声が
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.5

一言で言えば「勿体ない」。

「難解」たる所以は、単なる説明不足のように感じる。もう少し親切でもいいんじゃないのか?

「時間の逆行」というテーマは物凄く面白いし、「タイムマシンとは違う」というのでど
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ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(2019年製作の映画)

5.0

聴く映画、観る音楽。

ジャズ喫茶 BASIE、そこではジャズの心音が聴こえる。それにつられるように世界各地から、そして様々な人間がやってくる。マスターの菅原さん、黒いテーラードジャケットに身を包み、
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インセプション(2010年製作の映画)

5.0

夢を使ってアイデアを植え付け、あたかも自然発生かのように人の意思を暗に操作する。夢に逃げていた男は悔恨の念を抱え、愛する人のために危険を顧みない。


インドにある「チャンド・バオリ」という階段井戸を
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コングレス未来学会議(2013年製作の映画)

4.8

これを観るときはすべての観念から自分を解き放ち、脳を真っ白なキャンバスのようにして観てほしい。

絶対に互いに混ざりあわないものを無理やり混ぜ合わせた世界、白と黒は混ぜても灰色にならず、水と油は両者互
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あの胸にもういちど(1968年製作の映画)

4.6

愛に焦がれる乙女の危ういサイケデリック・ロードムービー。

カルト映画、とはいっても物事の展開にがんじがらめになるようなものではなく、毒であるのは映像的表現。その禍々しさは大人しすぎる夫への物足りなさ
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しとやかな獣(1962年製作の映画)

4.3

最初に言っておくと表紙とfilmarksのあらすじ(←特にこいつ)はすこしミスリード。それらによればいかにも若尾文子が徹頭徹尾女を武器に無双していくだけの話のように見えるが本当はそれだけではない。この>>続きを読む

鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)

4.1

かなり前に観たけど、結構泣いた記憶。

広末涼子がかわいい。

マイルス・デイビス: クールの誕生(2019年製作の映画)

5.0

「マイルスはやはりマイルスだ。」


真の天才とは、周りに規定されるのではなく、自らが置かれている状況を怪物のように丸ごと飲み込んでしまう素質を持つ者のことを指す。

そしてマイルスは、癇癪とも言える
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午後の網目(1943年製作の映画)

5.0

めくるめく事象の螺旋、合わせ鏡の鏡像は奥に入れば入るほど知らぬ間にズレてゆく。

自己反復性に囚われ、その始まりは分からない。電話はまるで必死に何かを伝えたいかのように頭を垂れ黒く光っているがその努力
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オデッセイ(2015年製作の映画)

4.0

観たのは5年前とかだけど火星のじゃがいもシーンが今でも大好き。

インターステラー(2014年製作の映画)

5.0

非常に正直に言う。

SF映画を舐めていました。

SFを甘く見ていたかつての私を殴りたい。タコ殴りしたい。

本当に素晴らしい映画です。


私がSFにあまり熱中していなかった原因は、映画内の物理学
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欲望の翼(1990年製作の映画)

5.0

1960年4月16日、3時1分前。

これ以上巧みな"1分間"の使いかたを知らない。


実際にこう口説き落とされたらどうしようもなく好きになってしまう、いや、これは欲情するのに近いかもしれない。人生
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花様年華(2000年製作の映画)

4.5

トニー・レオンとマギー・チャンが密会する部屋のナンバーをよく見て欲しい。


「2046」

パプリカ(2006年製作の映画)

5.0

この世にはパズルのピースがピタッと合うように互いにハマり会う人間がいるが平沢進×今敏はその中でも断トツだと思う。

以前にも動画配信サービスで見たことはあるのだが、今回、念願叶って早稲田松竹(〜今敏没
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ロリータ(1962年製作の映画)

3.9

ロリータの他人を振り回すような天真浪漫さ、ハンバートのロリータに対する複雑な恋慕、クィルティのねちっこさ、どれもすごく上手くハマっていた。

新しい方のロリータと比べ、こっちはより気まぐれな子供っぽさ
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東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

5.0

今敏没後十年、早稲田松竹〜今敏特集〜にて鑑賞。

先程見終わり、興奮冷め止まぬうちにコレを書いているのだが、この映画に対する好感(多幸感)が高まりすぎて全く言葉が出てこない。強いて今の心情を表そうとす
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サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

4.9

今でもお気に入りの服をバチバチにキメた日には「Stayin’ Alive」を聴きながら街中を無意味に闊歩してしまう。

真夏の夜のジャズ(1959年製作の映画)

5.0

これは美しい夢、一夜の宝箱である。

セロニアス・モンク、アニタ・オデイ、ジェリー・マリガン…いつも聞いていたジャズメンたちはレコードの向こう側でこんなに活き活きとしていたのか…グルーヴに身を任せられ
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