Theylivebynightさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

3.5

端的に期待が高すぎたのかもしれません。時間を巻き戻すなかで、人物が自らの未来を無意識のうちに知っているかのように思わせる不可思議な感覚も少し生まれはしました。だが、生きていくと取り返しのつかない出来事>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

3.4

予期せぬ瞬間もないままベタが展開される冗長さ、手持ちカメラの狙いの不明さ、(アイナジエンド、七尾旅人以外の)劇伴音楽の劣悪さなどのために、いい映画だったとは思わない。アイナジエンドのために捧げられた壮>>続きを読む

風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)

4.5

こんなに素晴らしい映画だったとは。もう何もかもが、素晴らしい。波しぶきと太陽の風櫃の風景、若者たちを飲み込み高雄の街。とくに人や車が主人公たちの前を次々と横切る、そのことの効果たるや。どこにでもいるで>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.9

現代の最重要映画監督のひとり、グレタ・ガーウィグ。ただ題材がバービー。誰もが自由に生きていいのだというエンパワーメントがテーマになることがわかりやすすぎて、あまり期待はしていなかった。観たあと、それが>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.1

プールのそばで微笑みあい、顔を近づける同性の友人。夜露に濡れた台北の路面と縦回転する役者。夜と朝のはざまの時間で、揉めて抱き合うふたり。とくに何も起こってないようなささやかさのなかに重大なことはあり、>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.5

4.4は低いのではないかと思うほど、途轍もなくよかった。ビデオカメラ映像は、やや反則技だと思って、この数字にしたが、上映中の情動は強烈に作用を受けた。見直して、再発見をすると変化するかもしれない。私の>>続きを読む

世界のはしっこ、ちいさな教室(2021年製作の映画)

2.7

若い同僚が絶賛するので観たが、啓蒙丸出しのナレーションが鼻につき、さらにそれがフランス語で繰り出されるので、否応なしにオリエンタリズムを感じざるをえず、好きになれなかった。正しい映画のようでいて(それ>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.1

半休をとって初日に鑑賞、予備知識もイメージもないまま映画を観る体験という、鈴木敏夫からのプレゼントは確かに受け取った。いったい次はどんなシーンが待ち受けるのか、食い入るように見る時間は、母親に連れられ>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.4

金曜夜、雨でも賑わうバルト9。予告編の並びに唸る。アクロス・ザ・スパイダーバース→シティハンター→ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー→マリオ→TOKYO MER→コナン→プリキュア→アイナナ→禁じられ>>続きを読む

市街(1931年製作の映画)

4.1

射的場の戯れ、美しすぎる海岸、網ごしのキス、いずれにも一枚絵の美しさが張り詰める。転換のウィットも効いている。その辺りをさして、端正と称されるのだろうか。

父と娘の関係の不可思議さや、間が抜けた子分
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拾った女(1953年製作の映画)

4.4

サミュエル・フラーは『最前線物語』を一度観たきりだった。それも滅法面白かったが、これもすごい。殺伐と暴力のあいだに、ジーン・ピーターズの情愛、菅井きんを彷彿とさせるセルマ・リッターの哀愁が叩き込まれる>>続きを読む

ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

4.0

実は観てませんでした映画。

想像より、ずっと良かった。80年代的な未来も、ノワールも、あらゆる意味で弱く孤独なレプリカントも。あらゆることが連鎖的に起こるのではなく、屹立した事象がゴツゴツ並ぶ。少し
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レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

3.1

『フェイブルマンズ』触発②。

金曜ロードショーみたいなので、何度も見て、面白かった記憶が色濃かったが、全然ダメだった。人種差別的な描写は割り引いて観ようとしたが、オリエンタリズムしか感じられなかった
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荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)

4.0

傍若無人なイーストウッドは、視線でキャラクターを語らせてみせる。しかし、最後の赤い町。傑作を送り出してきた終末の西部劇にあって、イーストウッドは、異次元の演出でささやかに存在価値を示してみせる。黒沢清>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.4

アカデミー賞で主要な賞を独占した時点で気づいておくべきでした。なのに、鈍感さゆえ、ミシェル・ヨーのマルチバース映画だと思って観に行ってしまった。それはその通りだったけど…。

その油断の前に展開された
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.0

何度か仕事した人が、激賞していたし、サム・メンデスだし。
と思ったら、大間違いでした。ロケーション、とりわけあの開かずのホールは素晴らしすぎて、目を瞠るくらいだったけど、いかんせん主人公2人の関係性に
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彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

4.6

この傑作に、言うべきことは何もないです。恐ろしく、美しい映画です。マチュー・アマルリックはすごいなあ。

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.9

レイルロードムービー。本当に列車で撮っているからだろう、揺れ。それが主人公の不安定さを表現していました。正確にいえば、主人公だけじゃない。あの鉄道に乗るすべての人が、均衡を欠いていて、それは時代設定の>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.2

ほのぼの物語かと思いきや、とんでもない。真実を映し出し、虚構をつくりあげる映画の魔力が描かれる。最後の上映のあとのロッカー前のシーンは分析も感情も追いつかないけれど、納得させられてしまう不思議。キレキ>>続きを読む

セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

4.7

素晴らしすぎました。ルーニー・マーラも、ケーシー・アフレックも、本当に最高。冒頭の歩き、訪れる失敗を知らない車中の愛に溢れた会話、引き離される二人のドリーバック。なんてショットだ、と唖然とするばかり。>>続きを読む