安堵霊タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

安堵霊タラコフスキー

安堵霊タラコフスキー

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.5

最近の新海誠作品では一番好きなものに位置するけど、それはみみずの魔女っぽい設定だったり「かなめ」が重要だったり白い四足歩行キャラに翻弄されたりと魔法少女まどか☆マギカとの共通点がかなり多かったことにも>>続きを読む

ラ・モルト・ルージュ(原題)(2006年製作の映画)

4.3

写真やアーカイブ映像、シャーロック・ホームズの映画を引用したものが中心の短編映画で、語りや音楽の力もあって淡い情感がよく出ているので切ない気持ちにさせられる。

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

チャドウィック・ボーズマンの死を良い具合に作劇に取り入れた作品。

妹を主役に据えて最初に兄を喪って途中で母親も亡くす展開から、アバターみたいな敵対民族を殲滅せずに降伏で手打ちにしたところとかに新時代
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白痴(1951年製作の映画)

4.3

ドストエフスキーの代表作の一つを戦後の日本を舞台に映画化した黒澤明作品。

ドストエフスキーらしい独特な暗さと黒澤明らしい大胆かつ渋味ある演出や長回しを多用したカット割り等の調和具合が絶妙なんで3時間
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.2

コロンバスのコゴナダが撮った異色のSF映画。

あの芸術的で美しい構図が際立ったコロンバスと比べると見劣りしてしまうが、最低限の描写でしっかり近未来的に見せている点とか映像に情緒や物哀しさといったもの
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秘密金魚(2016年製作の映画)

4.5

台湾の金馬奨の為に作られた、ミステリアスでハイセンスな掌編映画。

(1969年製作の映画)

4.5

映画制作を一応の題材とした、初期と80年代以降のゴダールの作風をちょうど合わせたような実験映画。

良くも悪くも予告編の印象をそのまま長編にした作品になっており、あの短い映像だけでもわかる表現の特殊さ
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ミラグロの瞳(1995年製作の映画)

3.5

エジプトのノーベル文学賞受賞者ナギーブ・マフフーズの小説ミダク横丁を、メキシコを舞台に映画化した作品。

ざっくり鑑賞した程度だが、好みかどうかはともかくとしてもしっかりエジプト小説原作らしい北アフリ
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ノベンバー(2017年製作の映画)

3.6

マルケータ・ラザロヴァを多分に意識したであろうこの作品、60年代のヨーロッパ映画然とした作風は悪くなかったものの、もっと影響を受けたであろうヴラーチルだったりベルイマンやパラジャーノフといった監督らの>>続きを読む

トロン(1982年製作の映画)

3.7

ざっくり言うとコンピューターの中でのバトルを描いた映画で、CG技術が発展した21世紀に鑑賞すると流石にチャチすぎる印象の80年代前半のCGだが、そのチャチな作りが一周回って味にも思えるんで逆にそういう>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.9

20世紀初頭のインドVSイギリスという構図の、熱さと感動がとにかくヤバい作品!

あの名作バーフバリに、最近の日本の作品だと忍者と極道や暴太郎戦隊ドンブラザーズのような勢力を違えた友情要素を加え、あま
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

3.6

ソクーロフが第二次世界大戦時の各国の重要人物らを用いて芸術的に作り上げた、モノクロのBB先輩劇場。

100年前のドイツ表現主義に近いところがある映像に最初は目を惹かれたが、内容としては良くも悪くもい
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ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

3.5

ヨーロッパ映画にありがちな陰気臭くてじめじめの強い作風が好みとしてかなり微妙なところではあるけれど、それを置いておいても移民問題を取り扱った愚かしい人間の様子を描き切った点には天晴れだし、文化センター>>続きを読む

ヴィザージュ(2009年製作の映画)

3.0

ルーブル美術館を舞台にリー・カーションとジャン=ピエール・レオーが出会うというコンセプトから端を発したという、ツァイ・ミンリャン作の映画でも特に難解な作品。

木の少ない場所を鏡で森のように見せた、上
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世界が引き裂かれる時/クロンダイク(2022年製作の映画)

3.6

広々とした高原の美しい光景が愚かしくも哀れな人間らによって台無しになっていく様子にはゲンナリとさせられたが、それによってウクライナ侵攻を批判しているのであれば逆に天晴れ。

(1972年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

ヤバい映画を味わったという衝撃に打ち震える実験的作品。

ざっくり言うとストローブ=ユイレみたく共同で編集作業を行う男女が編集室で仲を深める内容の作品のだけれど、ただ画面を注視している(画面の向こうか
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熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

まるで逮捕されることを覚悟でもしていたかのようなパナヒ映画の集大成的作品。

作品を現地のスタッフとリモートで撮る監督のパナヒ自身が、隠れ住んでいる村で騒動に巻き込まれたかと思えば撮影現場でもトラブル
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波が去るとき(2022年製作の映画)

3.5

いつものラヴ・ディアス以上に、読み解こうと思えば長編小説ばりに読み解けるだろうけど無意味と切り捨てることも可能って性質を感じた作品。

その理由はいつもより惹かれる映像が少なかったことにもよるのかと我
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パシフィクション(2022年製作の映画)

4.4

結構苦手意識のあったアルベルト・セラの作品としては存外と言ってしまえるくらい気に入った、タヒチを舞台とした独特な映画。

というのも今は亡き映画監督らの作品群を思わせるようなものがこの作品の雰囲気や特
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アタック・オブ・ザ・キラートマト(1978年製作の映画)

3.5

何とは言わないけど某アニメのせいもあり無性に鑑賞したくなった迷作。

タイトルの通りトマトが意思を持って襲うという設定の時点で荒唐無稽が過ぎるのに、そこから真面目に描写でふざけているのと演出が普通に稚
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(1971年製作の映画)

3.9

名バイプレイヤーとして多数の作品に出演したマイケル・ロンズデールがメインとなるモノクロパートと、少女と老婆の二人がメインのカラーパートで構成された抽象的作品。

外連味が足りないところは否めないので飽
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キンスキー、我が最愛の敵(1999年製作の映画)

4.2

規格外の映画群のヤバい裏側やインタビューをメインとした作品。

地獄のような現場の一場面や狂気的俳優の常軌を逸した側面が垣間見えるので、軽く引いてしまう瞬間も多かった。

ハーヴェイ(1950年製作の映画)

4.1

巨大な兎の姿が見える男とその家族らの模様を描いた戯曲の映画化作品。(この挑戦的な題材も戦後に心を病んだ人が多数出たことから着想を得たのだろうか)

主演のジェームズ・スチュワートの軽く狂ってそうな演技
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ファイナル・デスティネーション(2000年製作の映画)

3.9

偶然というか運命的な死の恐怖を題材にした画期的なホラー映画。

多感な時期にたまたま鑑賞して、不可視の力による死が軽くトラウマになったのと同時に出演女優が結構セクシーだったので(しかもタンクトップ姿に
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スターシップ・トゥルーパーズ(1997年製作の映画)

3.7

日本においてもゲームの地球防衛軍やらマブラヴオルタネイティヴ等に影響を与え、更にそこから進撃の巨人が生まれたことを考えるとかなり後世への影響力があったと思える怪作。

1997年に作られたSF作品だけ
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

4.5

かのダイアナの王室生活を基にしたこのフィクション作品、どうやら実際の出来事との乖離は非常にあったっぽいものの映画としては好きな部類のものとなっていた。

まずこの作品で気になったのはパブロ・ラライン作
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スクリーム(1996年製作の映画)

3.7

ムンクの描いた叫びの絵みたいな仮面が一世を風靡した、90年代ティーン向けメタホラー映画。

途中冗長にも感じられたし登場人物が馬鹿ばっかでコメディにも思えるシーンが沢山あったけど、悔しいながらもメタ描
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ヘルプ!4人はアイドル(1965年製作の映画)

3.8

映像のセンスとしては前作ハードデイズナイトとか同年のパルムドール受賞作のナックとかの方が好みではあるけど、モンティパイソンを先駆けたような馬鹿らしさは嫌いじゃないしギリアイドルバンドやってた頃のビート>>続きを読む

ドント・ルック・バック(1967年製作の映画)

4.5

キャリア全盛のときに作られた、ボブ・ディランの密着記録映画。

かなり密着して撮っているので、ディランという男に愛着の気持ちすら湧いてしまう。(ブチ切れインタビューのシーンも含めて)

日陽はしづかに発酵し…(1988年製作の映画)

4.4

中東らしき雰囲気のする寂れた街(どうやらトルクメニスタンとのこと)を舞台にした、記録映画とドラマ映画の二つの性質を持つ作品で、そのどちらもがかなり難解ながらも絶望的な詩情を湛えるセピア調の映像で撮られ>>続きを読む

うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー(1986年製作の映画)

3.8

まだ若手の頃とはいえ、ドンブラザーズにも通じる大胆さと不可解さか同居した話となっているので、良くも悪くも井上敏樹らしさがかなり出た作品と言えるのではなかろうか。(太郎だとか鬼だとかの単語が出てくるのも>>続きを読む

沈黙の世界(1956年製作の映画)

3.9

海洋学者と弱冠24歳の新人監督という異色の二人が主導して作った海の映画。

ドラマパートがわざとらし過ぎたり音楽やナレーションに煩わしさを覚えるところが多かったりしたけれども、海の生き物の様子や侵略す
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キートンの化物屋敷(1921年製作の映画)

4.3

前半の銀行のシーンでは共感性羞恥に苛まれていけなかったけど、後半の屋敷パートになったら階段や謎の劇団員らが齎すカオスと霊の如くアクロバティックなキートンが愉快極まりない作品となっていたので満足。

明日の世界(2015年製作の映画)

4.5

天才的な頭脳の持ち主しか作り得ないような、シンプルかつ深遠な作品を多く遺すドン・ハーツフェルトによる短編アニメの中でも、特に衒学的ながらもユーモラスでとっつきやすいように思える代物となっていたので感嘆>>続きを読む

スーパーマン ディレクターズ・カット版(1978年製作の映画)

3.7

70年代後半に作られたヒーロー映画の先駆として、楽しいといえば楽しい映画。

情緒的ではあるもののスーパーマンとして活躍するまでに1時間弱もかかるくらい間延びしている点が散見されるし、例のスーツの出所
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アダムス・ファミリー2(1993年製作の映画)

3.8

そういえば赤ちゃん泥棒にもこの作品によくあるようなコミカルで躍動感のある撮影が多かったから、こういうのがバリー・ソネンフェルドの得意とするところだったのかもしれない。は