ゆきのすさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)

3.0

CGや特殊効果は似つかわしくないと感じてしまうのは私が年寄りだからだろうね。狂乱景気の再現は74年版より確かに凄みはある。デイジーとの再会の場面は個人的に頷けないかな。

ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

4.1

死について、老いについて、罪について。愛すべき家族や隣人の暗部をこれでもかと突き付け、我々の偽善を痛烈に暴く。救われる事はないのだろうが、詩作による贖罪が赦しはある事を教えてくれる。

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)

3.8

愛はあるのか。見えるもの見えないもの。社会的哲学的な意味が見え隠れする。透明である事とか盲目である事はそれを伝える方便。極上ファンタジックな味付け。愛を信じたくなる。

フォロー・ミー(1972年製作の映画)

4.1

ミア・ファローと音楽が悶絶クラスにチャーミング。ラブコメのお手本。堅苦しい席に足が向かない彼女に超共感。仕草も態度も愛くるしい。この作品を見ると誰もがデートをしたくなると思うよ。

桜の森の満開の下(1975年製作の映画)

3.8

気がふれるとはこういう事なのか。桜の魔性。どうしてなのか分からない事こそ魔が刺すという事。鬼がやって来たのだ。岩下志麻の横顔が妖し過ぎる。美しさに堕ち呑まれ狂い咲く若山富三郎に打たれる。

続兵隊やくざ(1965年製作の映画)

4.0

毛のやり取りにキュンとする。上等兵殿とのいちゃいちゃにはもっとキュン。大宮の喜びよう!勝新にしかできない愛嬌抜群の暴れん坊。物語の根底には日本軍への凄まじい怨念が。

タイム・オブ・ザ・ウルフ(2003年製作の映画)

3.8

こうやって文明は滅んでいくのだ。社会性人間性が失われていく様。列車の中からの果てしない自然の風景は、希望ではなく世界は人間のものではなくなった事を訴えているようでならなかった。

ラ・ピラート(1984年製作の映画)

2.8

登場人物全員が激情型。徹頭徹尾ハイテンションな愛のバトルロイヤル(誰が生き残るのか!)。痴話喧嘩の全てが詰まっている。キスシーンが激し過ぎて痛そう。バカ映画寸前だが映像とキャストでなんか妙に芸術的で前>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.1

おぞましい主題ながら物語としてきっちり決着をつけるのは勿体なくも感じるが潔い印象が強い。愛欲と食欲の葛藤!彼女もいかれているが、この大学のいかれっぷりは際立ってます。

人間の條件 完結篇(1961年製作の映画)

3.7

憎しみは人間の心に巣食う膿。傷つくと溢れ出てくる。人間は、どこまでも卑屈にも鬼畜にもなれる。品行方正頑固一徹仲代の悲しみ。彼の存在こそ生き抜くには最大の間違いという絶望。

ユア・マイ・サンシャイン(2005年製作の映画)

3.0

チョンドヨン! お伽噺のような怒涛の純愛ドラマですが、実話が元との事。彼の猪突猛進純情一途さにわくわくしつつ、彼女の心の移ろいに心打たれる。ベタベタ展開にほろ酔う。

ポパイ(1980年製作の映画)

2.7

オリーブは完璧。セットの破壊シーンが豪快(ドリフのコント的な意味で)。アニメ忠実再現ものの元祖なのかも。トホホとはならないが全然笑えない。アルトマンはどんな認識で監督したのだろうか。

ひかりごけ(1992年製作の映画)

3.7

洞窟内の鬼気迫るリアリティと裁判所の茶番劇との対比に眩暈がする。生きる事と命は同義なのか。人間ではなくなる境界線はあるのか、見えるのか。問いかけるものは多い。

薄氷の殺人(2014年製作の映画)

3.2

サスペンスというより情愛ドラマ。冬の中国地方都市。閉塞感に凍え佇む人生に行き詰まった男と女。観覧車シーンが泣かせる。どこまでも真っ直ぐスケートですいすい。印象に残るシーン多。

宇宙飛行士の医者(2008年製作の映画)

4.0

泥だらけの混沌とした美しさと政治的な暗喩。無邪気にチャルパンチュルパン〜という訳にはいかない。原題は童謡「紙の兵隊」から。ロシアの行く末よ!随所に不思議不可思議おかしなシーンをぶっこむ謎センスにハマる>>続きを読む

ロマン・ポランスキー 初めての告白(2012年製作の映画)

3.0

インテリにして苦労人。悪い人には見えないし誠実で人間味も感じる。しかし、何を話して何を話さないかを念頭に置くと真相は程遠い。個人的には巨匠が性的に倒錯してようが驚きはしませんよ。全部話して楽になってく>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

3.6

あの濡れタオルはマスクを連想させる。とある宗教の話ではあるが、思想国籍民族に置き換えて考えてみると、様々な問題が見えてくる。「ここにいるのは自分の意志とは関係ない」。ラストシーンの解釈は分かれるだろう>>続きを読む

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)

3.0

エミリーワトソン最高。あのシーンで笑うのか!泣き出す悦びの表現もあれば微笑みで表現もできるのだ。彼女でなければできない。

サーミの血(2016年製作の映画)

4.1

何もかもが虚しく痛々しい。過去を克服して現代に生きているかというとそうではない。たくさんの罪を今も犯し続け、背負い続ける。忘れるのも忘れたふりをする事も罪なのだ。

レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙/刑事グラハム 凍りついた欲望(1986年製作の映画)

3.2

80年代のサスペンスとして十分面白い。トリック解明過程のスピード感溢れる演出は心にくい。痛快アクション方向に上振れもあり。今作でも盲目のヒロインが虎の心音に涙する姿が神々しい。

カサンドラ・クロス(1976年製作の映画)

3.8

オールスターサスペンスアクションパニック&パンデミック!あっぱれ超大作。劇中と制作の70年代の空気も面白すぎる。30年以上だが大興奮して見られた。群像劇として破綻しない見事な脚本。

いつか、きっと(2002年製作の映画)

2.8

風景とモノローグがことのほか美しい。やさぐれユペールのへの字口がたまらん。おそらく母娘共に精神的障害を抱えている。そこを読み取らないとご都合主義の逃避行にしか見えないと思う。

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.9

家族の解体は、絶望ではなくて希望かも。死に至る病(主にエゴイズム)と共存する事を選択して今に至る一家。厳粛な死(家族や社会からの解放)における右往左往は、そんな人類のハッピーエンドに見えたよ。

ハッピーエンド(1999年製作の映画)

3.3

写真に映るチョンドヨンが幸せそうに見え過ぎるのがいけなかった。三人とも倫理道徳世間と折り合いつけてうまくやろうと、見て見ぬ振りして誤魔化して幸せを演じようとしたのだけれど。多くの人がそうしているように>>続きを読む

飄々 拝啓、大塚康生様(2015年製作の映画)

4.0

何よりも、氏の人となりがこれでもかと伺えるところが最大の見どころ。タバコを吸う、ラーメンを啜る、そしてタバコを吸う、火がつかない。天才が奇人変人ばかりかと思うと大間違い。圧倒的好人物。大好きだ。

空想天国(1968年製作の映画)

3.5

ダメ主人公と奇妙な生き物の組合わせは藤子不二雄漫画的。ゆるいけどシニカルで飄々とした作風は谷啓の成せる技。七変化酒井和歌子さんが眩しい。「ふかし過ぎの肉まん」って呼ばれてもよい!

映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ(2022年製作の映画)

3.9

フリークにはサービス満点にして至福の一本。見どころしかない。初見さんや普通のファンには焦点不明の総集編にしか見えない危惧はあるが。見れば見るほど作中での情報の出し方隠し方を存分に味わえる奇跡のコンテン>>続きを読む

人間の條件 第3部望郷篇/第4部戦雲篇(1959年製作の映画)

3.8

善人と呼ばれる人々の果てしない苦悩苦渋苦闘。善性に囚われることなく狂気恐怖や支配に身を委ねる事もまた人間。「鬼になっても生き抜いてやる」境地は、人間の地平なのか荒野なのか。

ヤングガン2(1990年製作の映画)

3.0

続編というよりは純粋に後編。エンタメ要素爆盛りで、ニューシネマ的物語なのに悲壮感は少なめ。パットの扱いが物足りないのは、描きすぎるとペキンパー版と酷似するからか。エミリオのキッドは変わらず最高最強。

離婚しない女(1986年製作の映画)

3.4

人や愛に溺れるというのはこういう事か。ショーケンだけは「自分しか愛せない男」。己に泥酔。理屈で語れない事が案外普遍的な男と女のありよう。数度ある電車の中の美津子さんの表情が目に焼き付けられたまま。雪上>>続きを読む

ドラえもん のび太と夢幻三剣士(1994年製作の映画)

3.3

久々に大山ドラを。あああ、これこそ本当の夢オチ。あえてトリホーの正体を明かさない暗黒藤子F脚本(まるで藤子Aのような)。なかなか恐ろしいです。そして、隙あらば武田!

レインボウ(1989年製作の映画)

3.4

掘出し物!と叫びたくなる変映画。しかしテーマは深い。「国がなくなっても私は私だ!」裸多めでもブレる事なく個人の自立自由を訴える。女性蔑視が極まってた時代に唯我独尊爆走暴走。主人公の赤毛のアン的な魅力が>>続きを読む

団地妻 昼下がりの情事(2010年製作の映画)

3.1

団地妻さんの素朴な可愛らしさに萌え。昼ドラ風味の映像は、この恋の安さみたいなものを強調してるのかも。二人が団地の階段で再会した場面にはときめいたよ。ドロドロ不倫ドラマだけど背徳感より哀愁と刹那さ。ロマ>>続きを読む

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)

2.9

誰にも共感できないとか気持ち悪いという感想を持つのが常識的なのだろうが、「誰かを幸せにする方法なんて分からない」私は彼等の方の世界の人間です。石の裏で蠢く虫みたいなもんです。

歯まん(2015年製作の映画)

2.6

「大丈夫、埋めよ♪」すぐ埋める笑 なかなかの超展開の連続。もう何歩かでシザーハンズなんだけどなあ。主役カップルの語る普通の幸せとかあったかい家庭というパワーワード!

家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

病院での妻の暴言シーンが素晴らしかった。が、スッとしするのはそこだけかも。とにかく身につまされる。現代社会と文明、資本主義の名の下に構築してきた世界の到達点がここなのだと強烈なパンチ。