ゆきのすさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

變臉(へんめん)/この櫂に手をそえて(1996年製作の映画)

4.0

場面の切り替えが絶妙。センス抜群。よくできた人情話ではあるが、その時代その場所の非情や非道を決して誤魔化さない。変面芸とお爺さんの笑顔が素晴らし過ぎてじんわり。

マヌケ先生(1998年製作の映画)

3.0

監督作ではないがどこを切っても大林映画。自伝を自ら監督するのもね(出てるけど)。スタッフも役者も監督と尾道が大好き過ぎ!思わずにやにや。幻の憧れの女性たち、分かる分かる。

サンタ・サングレ/聖なる血(1989年製作の映画)

3.9

色彩に加えてカメラワークが美麗。カルトというより謎解きサスペンスにして娯楽作。幼き日に見た(思い描いてしまった)悪夢を甦らす眩いイメージの応酬に目が眩み脳が痺れる。監督の両親への怨念と愛情を垣間見る。

黒い箱のアリス(2017年製作の映画)

2.1

わくわくさせる設定や道具が揃っているのだが締まりがない。刺したり刺されたりの意味が…。自然音の使い方は巧み。音楽やSEはむしろ邪魔。事故の件もタイムマシンの存在についても謎のままの方が潔い。残念な気持>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

4.2

孤独だからこそ見る事ができる夢、絶望に近い場所でないと感じられない宇宙。現実的だが濃厚なまでの幻想的イメージは、素朴で温かいメッセージに溢れている。彼女が世界を知っていく場面に心踊る。

ウンギョ 青い蜜(2012年製作の映画)

3.8

うんたくうんたく!問答無用でときめいた。老人パクヘイルに多少無理はあるが、真正面から回春を描こうという姿勢に感服。老作家がどうしても二人の情事を覗きたいあの気持ち、居ても立っても居られないよなあ。

ビリー・ザ・キッド/21才の生涯(1973年製作の映画)

3.8

2005年版。ジョン・ウェインが幻想だった事を知らしめる傑作。現実に近い西部の空気。そして西部の最後。どのバージョンがペキンパーのものと言えるのかは判然しないが、彼が記したかった事は伝わってくる。

人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇(1959年製作の映画)

4.0

このままだと人間でなくなってしまう!仲代の叫び。鬼畜として描かれる軍部の姿は、今でも脈々と私たちに受け継がれている。ナショナリズムという不治の病とどう向き合えばいいのか。

映画 賭ケグルイ(2019年製作の映画)

1.1

これはwww 完走した自分に驚いた(+0.1)。ルールやノリや今時の役者を知らない私が悪いのです。すまん。

サイレント・パートナー(1978年製作の映画)

3.7

スケールは小さいがサスペンスの醍醐味が詰まった傑作。日常の些細な綻びからまさかの展開、恐怖と衝撃の連続。ヒッチコック的!彼はこれをどう見たか気になる。電話ボックスの使い方が心憎い。

サム・ペキンパー 情熱と美学(2005年製作の映画)

2.9

天才鬼才は狂人と紙一重。酒とドラッグは、むしろ常人に留まるための唯一の手段だったのではないか。良くも悪くも生粋のアメリカ人であったペキンパーの入門テキストとしては良。

ありふれた事件(1992年製作の映画)

4.0

密着殺人鬼!!という長編コントだと思うと腑に落ちた。欲望に忠実過ぎる稀有な男の生態と思想、そして奇矯な感性は、不愉快を通り越して比類ない不条理ギャグの極みだ。サウスパークを実写にしたらこうだよ。笑って>>続きを読む

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

3.0

すき。いざとなると人間は合理的行動ができなくなったりするもの。お利口さんばかりが主役をやる訳ではない。そこを突っ込んでもね。でも90分でまとめて欲しい!

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.3

「他人の期待通りに生きる方が罪だ」突き刺さってくる。自由という思想の、人生の教科書。生を肯定し、生きた自分を許し讃え、親や隣人をありのまま受け入れる事。参った。ありがとう。

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

2.5

とにかく美しい!!登場人物も美術も特撮も。映画館で見るべき。だが作品世界が持つ禍々しさが微塵も感じられない。私にとっては致命的な欠点。リンチやホドロフスキーとは根本的な解釈の違いが。

罪と女王(2019年製作の映画)

3.7

破滅へと一直線!あり得ないことなんかない。誰もが自分では考えも及ばない愚かな事をしでかす予備軍。多くの家族で、多かれ少なかれこういう闇が進行中だったりするんじゃないか?

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.0

「アカ」である事も含めて、正気か狂っているか、それを決めるのは社会の空気。現代でもそうした線引きはある。戦時を描いた作品としては少々パンチが弱く、おそらく予算も足りない。劇中8m劇の蒼井優が凄まじく素>>続きを読む

エヴォリューション(2015年製作の映画)

3.7

こんなSF映画が見たかった!R18な暗喩(少年愛など)に満ち溢れ、見る側の想像力を刺激しまくる。美しいというよりゾクゾクと妖しいおののき。解答は見た人それぞれ。そこが更によい。

(1965年製作の映画)

3.8

英軍刑務所、究極の階級社会。地位こそが権力であり正義。丘は難攻不落理不尽不平等社会の象徴。コネリーらの反骨精神に心打たれるも、看守たちの憎々しさ(超好演!)にむしろ己の浅ましさや負け犬根性を感じ苦々し>>続きを読む

戦争と人間 第三部 完結篇(1973年製作の映画)

3.4

その後の日本と伍代家の運命が見られることなく完結してしまったのがとにかく残念。戦時における罪と罰を描いた傑作には変わりないが。今作は笘さん(夏純子)が素晴らしい!看板女優さんたちを圧倒。

博士と狂人(2018年製作の映画)

2.9

市井の奇人変人犯罪者の話だろう。現実はもっと淡々としていたのでは。派手なようで案外地味ないい話。脚色と演技でここまで素晴らしい感動作になってしまう!役者陣が凄すぎ。

仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判(2018年製作の映画)

1.8

シリーズやっとこさ完走したので完結編を。期待してた訳ではないが残念。さすがに悪趣味。「人間様」を告発するにしても詰めが甘い。徹底的に情け容赦なく表現できないならやるべきでない。

ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)

3.3

怒濤のいかれっぷり。この映画に一体どんな怨念が込められているのか。市川森一脚本のような執念をも感じる。なぜ、ゴジラはヘドラと戦う?一緒に人間を滅ぼして欲しいよ!返せ!!!!

ROOM237(2012年製作の映画)

3.5

特定作品の分析の形をとっているが、創作物を考察する事の意味意義可能性とバカバカしさを同じベクトルで提示する奇妙かつエキサイティングな作品。オカルトや陰謀論は異常な愛情から始まる!

戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河(1971年製作の映画)

3.9

第二部も引き続き重厚濃厚社会派ドラマで圧倒的メロドラマ!投げナイフシーン、本物だよなあ(ひえっ!第一部でもあり)。国や軍の過ちを糾弾しつつ娯楽映画である事を決して放棄しない商業映画監督の矜持。

霧の旗(1965年製作の映画)

3.6

桐子の願いも弁護士の必死さも切々と伝わってくる。常識では説明しにくい人間の行動や言動に歯痒くも。抑えた山田洋次演出は、理不尽で不条理な世界をむしろ際立たせる。数ある霧の旗の中で一番と思う。

クリスタル殺人事件(1980年製作の映画)

3.1

他のクリスティものと比べると地味な印象だが、補って余りある往年の豪華俳優陣。それを堪能する作品かもしれない。役を演じるというより、本人が本人を演じている不思議な感覚。

よく知りもしないくせに(2009年製作の映画)

2.8

等身大のその辺にいるダメ人間のたわいもない不倫劇に失敗談。狙っているのか技術不足なのか、撮影が絶妙な素人っぽさ。映画として全然面白くないが、この人間観察的視聴(覗き見感覚)は癖になるよ。

熟れたアモーレ(2015年製作の映画)

2.7

堕ちていく快感。抗えない背徳の衝動。刑事と平凡な主婦が事件を起こして逃走となるとかなり希少だけど、他人事と思えない生々しい感情は目は離せない。刑事がイケメン過ぎ!笑

戦争と人間 第一部 運命の序曲(1970年製作の映画)

3.9

戦場の再現には並々ならぬものが!飛び散る!!壮大な戦争叙事詩にして昭和メロドラマの集大成を堪能しつつ、左翼とか自虐だとか言われようが、決して無かった事にはできない日本軍の暴挙暴虐を学び直す。

ハウンター(2013年製作の映画)

2.9

超時空サイコホラー(かな)。お笑い要素なしの白石晃士もの笑 いろんなもの突っ込んでるが破綻してないのはお見事。邪悪なもを扱ってるのにどこか上品で健全な香り。そこが物足りなさの原因か。

バッド・バイオロジー 狂ったヤツラども(2008年製作の映画)

2.8

中学生男子が思いつくようなどこまでもバカバカしく下品なセックスと性器にまつわる愛と闘争劇。無邪気過ぎる変態性。笑えない程の破廉恥描写の連続でカルト作にも成りきれない。存分に呆れろ!

i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

3.9

個人を描いているようで日本の国会記者クラブが、検閲や統制のような役割を果たしている実態を暴く。もっとやれ!と応援したくなるが、声を上げない見ぬふりをする我々が体制側に加担している現実に嘆く。

クスクス粒の秘密(2007年製作の映画)

4.6

何もかもがスマートじゃない!そこがこの上なく愛おしい。隙だらけのようで全くもって隙がない。クスクスにありつけるのは誰だ! あらゆる期待を裏切る会話とその展開。人生の悲喜すれ違い、全てが詰まってる。完璧>>続きを読む

しあわせな孤独(2002年製作の映画)

4.0

幸せの模索探求には犠牲が伴うのだ。どこまで、何を捨てるか追いかけるか、それが人生なのかもしれない。道徳や倫理で縛られたものだけが正解ではないと、当事者になって初めて気がつく事なんだろう。

グレタ GRETA(2018年製作の映画)

3.3

イザベル・ユペールの怪演を見るのが癖に!笑 たまらん。平凡なB級サスペンスがなんか凄いものを見てる気になってくる不思議。役者力。