taroumanさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960年製作の映画)

3.0

池袋新文芸座 追悼橋本忍

これは面白い。まさに松本清張を読んでいるようでページを捲るのももどかしいあの感覚。
突っ込みどころもいろいろあったりするものの、気にならないのはよくできたシナリオのおかげか
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張込み(1958年製作の映画)

3.0

池袋新文芸座 追悼橋本忍

原作は地味な小品という印象だったが、映像化されるとなるほど映画向けで素材を見抜く目利きにまず感心。
冒頭のSLのシーンを筆頭に美しくかつダイナミックな映像に目を奪われる。
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仇討(1964年製作の映画)

3.5

池袋新文芸座 追悼橋本忍

キ○ガ○が連発されて思わず苦笑いだが、古今東西大なり小なり被ってしまう組織の理不尽を軸に仇討のイベント化を先取りした橋本忍の脚本はまったく古びることはない。
時間軸を行き来
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切腹(1962年製作の映画)

4.0

池袋新文芸座 追悼橋本忍

仲代三国の緊迫感ある問答は古来からの応対辞令のお手本のよう。名手橋本忍の冴えを十分に堪能できる。
ピシッとエッジの立った硬質な映像に立居振舞も美しい役者陣の重厚な演技。
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乱れる(1964年製作の映画)

3.5

神保町シアター

若大将はキムタクのようにいつでもどこでも若大将なので、バーの登場シーンから不埒な振る舞いは許さないぞとばかり若大将ぶりを発揮するのだが、一般人なら躊躇する嫂への懸想にもど真ん中のスト
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散歩する霊柩車(1964年製作の映画)

3.0

神保町シアター。

チキチキマシンのヒュードロクーペのような霊柩車を操る寅さんと水戸黄門。
寅さんの必殺流し目光線を余裕のおとぼけ顔で返す黄門様。
絶品です。絵になりますなあ。
西村晃の怪演も吹き飛ば
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酔いどれ天使(1948年製作の映画)

3.0

池袋新文芸座 三船祭り
世の中のすべてを呪わんばかりにやたらと圧の高い「ふんっ!」を連発する志村喬も久我美子にはデレデレなわけで、ラストでは形ばかり誘うもののあっさり千石さんを見捨てて仲良く腕を組んで
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醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

3.0

池袋新文芸坐 三船祭り

報道被害という現代でも通用するテーマをこの時代に提示する黒澤の慧眼。
しかしその社会性も志村喬の娘のキラキラ眼の前では色あせる。
聖しこの夜に蛍の光という讃美歌で天に召された
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静かなる決闘(1949年製作の映画)

3.0

池袋新文芸坐 三船祭り

ヒューマニスト黒澤に心を打たれながら、YOUの喋りを思わせる不思議な千石規子が聖なる三船で徐々に再生するアナザーストリー。

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.0

池袋新文芸坐 三船祭り

芝居とか演劇というのは、ギリシアの昔から見せるために上演されていて、したがって今に残るものは当然ながら相応に磨かれている。
いわんや演劇の親玉のシェークスピアであればそのシナ
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椿三十郎(1962年製作の映画)

4.0

TOHOシネマ日本橋 午前10時の映画祭

ご案内のとおり用心棒の続編というか三船三十郎が主役の作品。
若大将や青大将が出ていたりお得意の風や雨の演出がない分こちらの方が軽い印象だが、決してマイナスで
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七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

TOHOシネマ新宿 午前10時の映画祭9

何度でも繰り返して観ることが出来る永久映画。
どのカットもパーフェクト。台詞を少し呟くだけで映像が浮かび上がる。
「さむれえ、雇うだ。」「笑わしちゃいけねえ
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お茶漬の味(1952年製作の映画)

3.0

角川シネマ新宿 小津4K

佐分利信と鶴田浩二という日本の首領クラスが出演しているが、そんなことはまったく意識させないいつもの小津調。
ただ小暮様だけは、お景ちゃんなど小津ファミリーの能面的というか絵
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黒木太郎の愛と冒険(1977年製作の映画)

3.0

神保町シアター

プログレッシブロックというジャンルがあって、変拍子や不協和音などを用いつつ超絶技巧で難解な曲を演奏するのだが、インテリちっくな匂いがもてはやされて一時は一定の勢力を誇示したもののあま
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県警対組織暴力(1975年製作の映画)

3.5

神保町シアター

ワウワウギターのオープニングテーマからやってくれそうな気はしたが、んなもんなんぼのもんじゃいとばかり画面いっぱい暴れまくる深作オールスターキャストの半端なさ。
何よりシナリオが素晴し
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東京物語(1953年製作の映画)

5.0

新宿ピカデリー 小津4K

何度観ても完璧な作品と思う。
若いときに観て、家族を持って観て、親を亡くして観て、その時々で胸にうったえる。
一つも無駄のないカットに完璧な構図。
世界遺産の一本。

用心棒(1961年製作の映画)

4.0

TOHOシネマ新宿 午前10時の映画祭

撮影シナリオ俳優衣装セットなどなど黒澤なのでそもそものレベルが違うのは当然ではあるが、半可通ぶってコクというか深みが足りないような気がするなどと言っては罰が当
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I AM THE BLUES アイ・アム・ザ・ブルース(2015年製作の映画)

2.5

開放弦を鳴らすあるいはワンコーラス唸る、その瞬間間違いなく空気が変わる。肉体の衰えなどどこ吹く風、無形文化財レベルの至福の音に浸るうち、いつの間にやら微睡の時間。今や古典芸能的なジャンルだが現代のhi>>続きを読む

肉弾(1968年製作の映画)

3.0

ラピュタ阿佐ヶ谷 岡本喜八祭り

まずは出ずっぱりの寺田農に敬礼。田中邦衛、笠智衆、中谷一郎、小澤昭一、大谷直子らとつなげていくペーソスあふれる前半とATG臭が強い観念チックな後半で評価が分かれるとこ
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バーフバリ 王の凱旋 ≪完全版【オリジナル・テルグ語版】≫(2017年製作の映画)

2.5

うーむ、セイント星矢というかインド版マーベルというか、無の境地で主体を捨て去る量子力学的3時間。

娘・妻・母(1960年製作の映画)

4.0

神保町シアター。

成瀬映画の傑作をまた一つ堪能。
小津映画へのオマージュかどうかは知る由もないが、家族の離散という小津チックなテーマも成瀬にかかると相続やら老人ホームやら焦げ付きやらお得意の底意地の
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喜劇 女は度胸(1969年製作の映画)

3.5

神保町シアター。

鉄板の勘違い喜劇を主軸に、映画冒頭で家庭とは何かというテーマを提示。河原崎倍賞、渥美沖山、花澤清川の3組が新たな家庭の創造に踏み出す。
兄弟友人とそれぞれのカップルは聖と俗で対比さ
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仁義の墓場(1975年製作の映画)

3.0

池袋新文芸座 芹明香伝説

渡哲也が徐々にローダウンなジャンキーに変貌してく寒々としたクズぶりを熱演。
血を吐く多岐川由美の隣で虚無な眼差しで横たわり、挙句の果てにはハナ肇の前でお骨を齧るといういかれ
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血と砂(1965年製作の映画)

3.0

ラピュタ阿佐ヶ谷 岡本喜八祭り

銃すら握ったことがない少年軍楽隊に敵の砦を攻略させるという相変わらずの発想に脱帽なわけだが、お得意の音楽ネタもふんだんで、ジャズのリズムとシンクロするリズミカルなカッ
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「女の小箱」より 夫が見た(1964年製作の映画)

3.5

角川シネマ新宿 大映男優祭
観終わった後「昼メロみたーい」という声が隣から聞こえたような気がしたが、きっと気のせい。
重層的な筋運びに不倫チックな関係を絡めるという構造は確かに王道的パターンであるが、
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ある殺し屋(1967年製作の映画)

2.5

角川シネマ新宿 大映男優祭
お話しはまああれだったが、撮影が宮川カメラマンで破たんのない落ち着いたトーン。造成中の晴海の小汚さとかうらぶれた墓場のぼろアパートとかをうまく映してる。雷さまはまったくもっ
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ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)

3.0

ラピュタ阿佐ヶ谷 岡本喜八祭り 宮下順子トークショー付
「ダイナマイトどんどん」という身もふたもないタイトルだけで、もうボーナスポイント獲得なわけで、出だしから文太アニキの躍動感はじける動きでハートは
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白い巨塔(1966年製作の映画)

3.0

角川シネマ新宿 大映男優祭
実録タッチの筋運びに合わせた緊迫感のある画面。脇を固める役者の重厚な演技。特に石山健二郎と滝沢修の印象が強い。田宮財前は嘘のような男前。東野英次郎の口調が水戸黄門に聞こえる
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不知火檢校(1960年製作の映画)

4.5

角川シネマ新宿 大映男優祭り

これは凄いものを見た。
即断即決、経営はスピードだとばかりに次々と悪事を重ねる勝新に、シンクロする編集の切れ。
日本家屋のセットは縦横の直線に区切られ、画面構図も気持ち
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結婚のすべて(1958年製作の映画)

2.0

ラピュタ阿佐ヶ谷 岡本喜八特集。

テンポとつなぎは今さら言うまでもないことではあるが、お話しの方は予定調和的で融通無碍というわけにはいかない。
時の社会風俗に遠慮したか合せたか、鮮度を維持する主題を
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ああ爆弾(1964年製作の映画)

3.0

ラピュタ阿佐ヶ谷 岡本喜八特集

アメリカのサスペンスミステリーを下敷きにミュージカルをつくれ、ただし主人公はヤクザで、音楽は狂言をベースにする、という無茶ぶりに、了解っすとあっさり二つ返事で引き受け
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素敵なダイナマイトスキャンダル(2017年製作の映画)

2.0

テアトル新宿

エロ事師のスブやんほどの粘着感もあまり感じず、エロ時代のスエイ編集長を淡々と記録しているわけで、ダイナマイトな尾野真千子の効果もさほどに感じず、一癖二癖ある周囲との絡みもあっさりしたも
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ラッキー(2017年製作の映画)

2.0

UPLINK渋谷 場所が分からなくてえらく苦労した

一神教ベースの西洋人は面白がるかもしれないが、無常と顔馴染みの東洋人にはさほどのこともなく、反復横とびなら小津の方がいいなあと思っているうちに睡魔
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ラスト・ワルツ(1978年製作の映画)

3.5

ヒューマントラストシネマ渋谷

ザ・バンドといっても、ブルースブラザースでJB師の啓示に撃たれたベルーシの「ザ、バーンド」ではないわけで、40年前とはとても思えないアンチエイジングな楽曲と呆れるほど達
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彼岸花(1958年製作の映画)

3.5

新装開店 フィルムセンター改め国立映画アーカイブ

小津映画なのでもちろん趣味だし、おじさま達のセリフ棒読みも心地よくて、ぜんぜん飽きずに楽しめたけど、なんというかうまく言えないが、小津の初カラーとい
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銀座化粧(1951年製作の映画)

4.0

池袋新文芸坐。香川京子祭り。

胃もたれもなくさっぱりとした食後感。軽い味わいのさらっとした短編小説を読んでいるよう。
下宿先の女将がどこかで見たことあると思ったら、青空娘の了解!マダムだった。
愛す
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