時は2030年、感染すると怪物と化すジビエウイルスと無法者たちにより荒廃した日本に侍と忍者がタイムスリップしてウイルスを解明しようとする研究者たちと旅に出るSFホラーバトル。ジャンルでいえばゾンビ。
wikipediaによると世界市場をターゲットにした企画『GIBIATE PROECT』の一環でテーマは「和」。アニメ化、キャラクターの武器となる日本刀の作刀映像や日本人形とのコラボレーション企画が発表されたようです。そのためか関わったスタッフがキャラクター原案天野喜孝、モンスターデザイン 芹沢直樹、音楽古代祐三、サウンドプロデュースSUGIZO、OP吉田兄弟、EDに大黒摩季が関与するという豪華さです。声優も羽佐間道夫、 池田秀一等が出演という万全ぶり。あまりにも豪華なため例えるならスッポン、エビ、カニ等をぶち込んだ鍋みたいな危うさがありますがその予感は1話を観た時点で当たっていることが判明します。
タイムスリップしたことに対して皆が超速理解、タイムスリップした方も順応性が異常に高い(言葉遣いとかも)は創作の都合上でしょうがバトルアニメでバトル描写が僅少(止め絵が多い)というのは斬新すぎるといえます。AVインタビューみたいな形式でキャラ紹介をしていくのですがキャスリーンと母親はともかく第3のタイムスリッパー坊主、パンク風な女警官、ヤクザ組長(実は女警官の父)、黒服側近、ターバン漁師、チンピラ風棒高跳び経験者、カツカレー作りが上手いデブメガネ爆弾魔等キャラが濃そうで浅い絶妙さ。それでも刀を届けると自殺行為のように徒歩で移動して案の定ジビエにやられてその刀も3話か4話で折れるという悲惨なキャラクター前田の爺さんなど印象的な方もいます。更にワクチン開発のカギを握るヨシナガの顎の尖り方とうさん臭さが強烈でしたが11話でとんでもないカミングアウトをされます。途中経過をみていると矛盾の極みですが打ち切り漫画のように怒涛に説明していくパワープレイに却って惚れ惚れとしてきます。
さて本作はプロジェクト進行中にコロナが世界的流行となり作中のジビエとリンクしているため制作が難航、世界進出も取りやめになったそうですが全12話を観た身としては日本のクソアニメを海外の方々に盛大にお披露目する負の機会が減ったことを良しとするか世界に笑いを与えることができなかったことが良くないことなのか分からなくなってきました。まあヨシナガの台詞どおり「こういう結末もありってことだ」ということにしておきましょう。