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ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のJunのレビュー・感想・評価

4.4
これまでの2作と趣の異なるシリーズ第3作が描いてみせるのは、9人のソロアイドルと1人。そして何よりも驚かされるのが主人公の不在だ。いや、正確に言えば主人公は高咲侑に違いないのだが、彼女はスクールアイドルの立ち位置に居ない。では一体何をしているのかと言えば、スクールアイドルとして活動する各キャラクターたちのことを応援、サポートしたいと公言している。スタッフを大きく入れ替えた上でのこの方向転換は実に興味深い。μ'sとAqoursの物語は廃校問題に立ち向かう主人公を軸とした本筋が存在していたが、今作の序盤には全体を通したストーリーラインが見当たらない。同好会メンバーの紹介が一巡して、10話以降ようやく動き出すといった具合だ。キャラクターコンテンツであることを鑑みるに、この構成はフラットに個々のドラマに集中することのできる有用性の高い切り口だと感じた。1期クライマックスにフォーカスされた歩夢の悩みは、変化することへの怖れという普遍的な主題であり、やや挑戦的でセンシティブな描写が魅力的に映った。個人的にはここまでのシリーズ作で一番面白いと思った。
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