アイドルを扱うコンテンツはユーザーを長期的に楽しませるべく、往々にして明日や未来といった希望を高らかに歌い上げる一方で変化を許されない、アンビバレンツな性質を持っている。このジレンマを如何に回避して物語を完結させるか、望むと望まざるに拘わらずそんな命題を突き付けられた点にこそ個性が見て取れると考えられるが、この作品はその観点から非常に興味深い構造を持っている。
トーナメント戦を採用した各アイドルユニットが競い合う図式を提示しながら、その実、物語の根幹(大枠と言い換えても差し支えない)は、アイドル長瀬麻奈と彼女に巻き込まれマネージャーとなった牧野航平、２人のものであることが最終話まで観て俯瞰して捉えたとき明らかとなる。曖昧な結末で語られがちな作品群にあって、一際異彩を放つ佳作に思えた。
限られた期間を描いた物語の中にキャラクターの魅力やドラマが凝縮されていて、とても見応えがあった。シーンを彩る楽曲も素晴らしい。
