あんへる

絶園のテンペストのあんへるのレビュー・感想・評価

絶園のテンペスト(2012年製作のアニメ)
2.8
【2012年秋・2013年冬アニメ作品{全24話}】


“世の中の関節は外れてしまった。あぁ、なんと呪われた因果か。それを直すために生まれついたとは!”


ローファンタジーに推理ものの要素を交えた作品。
アニメ放送と同時期に原作漫画も完結している。
ちなみに原作は未読なので、アニメ版に関して改変等の諸事情については知りません。

義妹の不合理な死をきっかけに始まる復讐劇。と思いきや…
随所にギミックがあり、展開が二転三転する様な、なかなか捉え所のない物語だった。


本作はシェイクスピアの古典劇「ハムレット」と「テンペスト」をモチーフにしているらしい。
その為、それらから引用したであろう台詞等が劇中に多数散りばめられている。

シェイクスピアとか全く知らないが、変に小難しい話ではなくアニメ的で観やすい。
ただ、随所に入るポエミーな台詞はクセ強めではある。w

当然劇中でも描写はあるが、たぶん感覚として、
〈ハムレット=悲劇で始まり悲劇に終わる物語〉
〈テンペスト=悲劇で始まり喜劇に変わる物語〉
くらいの認識があれば十分なんじゃないですかね?(確証は無い)


ストーリー前半と後半で大きく感想は異なるかな。
トータルで考えると、今一つハマりきれなかった印象。

物語序盤は、復讐劇でありロードムービー感があり異能バトルがあり…と引き込まれる感覚があった。
だが中盤以降はがらりと作風が変わる。
率直にこれが自分には合わなかった。

軽くネタバレになるかもだけど、中盤のある出来事以降は、単に出来の悪いラブコメ風アニメにしか見えなかった。

話の本筋がこれだと考えたとき、物語前半のあれこれは、結局この安いラブコメをやりたいが為だけの前フリだったのかと思えて緊張感が一気に消え失せた。
正直、この時点で興醒めした。

折角の序盤のダークな雰囲気や、面白い題材や要素を扱ってるのに、何故こうも安易に通俗的な作風に日和るのか。
何か目に視えない力で意思を捻じ曲げられたような気分になるというか…。
シンプルに勿体無いし、残念に感じる。


シェイクスピアの悲劇に準えた作品のコンセプト自体には、よく知らないながらも魅力は十分に感じる。

これは吉野と真広、二人の主人公がそれぞれハムレットとテンペストを間接的に体現しているってことだったんだろう。

ただ、物足りない点としては、想像よりもアクション的な見せ場はずっと少なく感じた。
終わってみれば、要所は会話劇主体で描かれている事が多い気もする。
別にそれが直接的に悪いって訳でもないんだが、本音を言えば、もっと露骨にバトルシーン多めなやつを期待してた感はある。
まあ一応ボンズだしね。

そもそもが腐向けっぽいキャラがネックでずっと敬遠してた作品ではあったんだけど、その点に関しては観てる内に問題ではなくなった。

やはり中盤以降の展開で篩いに掛けられるんだろうなぁと。
正直、後半部分は余分な描写が多過ぎる気がするので、個人的には2クールも費す内容ではないかと…。
この場合、無駄を省いて1クール分に纏めた方がよかったケースなのかもしれないよ。


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[主題歌]

OP
(前期) Nothing's Carved In Stone「Spirit Inspiration」
(後期) Kylee「大好きなのに」

ED
(前期) 花澤香菜「happy endings」
(後期) 佐香智久「僕たちの歌」

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