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黄金の輝きと漆黒の闇が混ざりあう黄昏時――「4時44分」。明日架、優、みあ、奈々、クロエは、別世界を開くための儀式を行っていた。彼女たちは「鉱石ラヂオ研究会」。恒例の儀式は、失敗するまでがお約束だった。ただひとつ、いつもと違っていたのは、変わった石を拾ったこと。それをきっかけに、ある周波数に辿りついた彼女たちは、再び儀式に挑む。次の瞬間、明日架らの目に映ったもの……それは一面金色の世界。さらに、奇妙な生物に襲われた彼女たちを救ったのは、明日架によく似た、いや、明日架そのものの外見を持つ少女で……!?
占い師に教えられた不可思議な数字を足掛かりにし、またも「4時44分の儀式」を執り行う一同。そのひとり、奈々が目を開けると、そこは先程までとは別の場所だった。眼の前にいるのは、いつもと違う制服のラヂ研メンバー。話の流れも様子がおかしく、明後日、自分は結婚するらしい……。自宅でも、母と継父から結婚前提の話をされる奈々。その不条理に継父への複雑な感情も入り混じり、声を荒げる彼女だが、そこに誰かが訪ねてくる。ドアを開くと現れたのは、今をときめく芸能人……。そう、彼女の結婚相手はなんと――。
芸能人・千波トモヤと結婚し、この世界で生きていく。そう事もなげに言う奈々。彼女が戻らなければ、元いた世界の奈々は行方不明となる。焦る明日架達だったが……千波トモヤの本名が判明するや否や一転、奈々は結婚宣言を撤回する。しかし彼女の意思は捨て置かれ、とにもかくにも式場へ連行される奈々。憂鬱な思いが晴れない奈々は、継父が結婚式に反対していたと知らされる。さらにその継父から渡された品から、本当の父が遺した「信念を持ってほしい」という言葉を思い出す。いよいよ迎えた式本番、奈々が出した答えとは?
「悪党には金塊より鉛玉がお似合いだぜ……」。テレビの前でそう呟いて、前髪を少し跳ねる少女。それはラヂ研メンバーの一員、みあだった。誰にも言ったことのない彼女の密かな憧れは、西部劇の主人公のような「正義の味方」。そんな彼女とラヂ研メンバーが次に訪れた異世界は、まさにその憧れに近しい世界だった。優は酒場の給仕、奈々とクロエはお尋ね者、明日架は賞金稼ぎという役割のなか、みあの立場は正義の体現者、保安官。次々と状況と人間関係が移り変わるさなかで、みあは自身がやるべきことを見出そうとする……。
「かわいいものが好きな自分」と、そうじゃないと思う自分。いつの頃からか、ふたつの感情が同居していたというみあ。そんなジレンマを和らげてくれたのは、かつて「ヒーローにならない?」とラヂ研に迎え入れてくれた明日架たちだった。そんな思い出を振り返っていた彼女のもとに、銀行強盗の知らせが届く。追い詰めたその先にいたのは……なんと明日架たちだった。裁判にかけられ、お互いに決闘することとなった明日架たち。絶体絶命の彼女らの状況に、みあは「自分なりの正義」を見つめ直す。彼女は本当のヒーローになれるのか?
ひとりが好きな少女、クロエ。彼女の一時の楽しみは、本を読みながらカフェオレを飲むこと。そんな彼女とラヂ研のメンバーが、次にたどり着いたのは見渡す限り海のなか、一人ひとつ小さな島が与えられるというフラグメントだった。この世界の自分の家で、クロエは音楽や本を楽しむ。そんな中、VRマシンを立ち上げた彼女は、映し出されたフランスの光景に、自身の過去を見た。ひとりでいることが、真に豊かだったあの頃。だが、そんな彼女も日本に来てから、別の価値観が生まれる。ラヂ研のみんなといる時に感じる、その不安とは……。
このフラグメントは様子がおかしい。そのきな臭さに勘付いたクロエは、この世界の自分が残したメッセージを見つける。「僕たちは一見つながっているようでいて、その実ホワイトゴートによって一人きりにされている……」クロエはその言葉とともに、ウィルスをインストールしたメモリユニットを受け取った。これをサーバーに取り付ければ、インフラを統括しているAIの破壊が可能になるという。明日架らと合流し「一人きりじゃなくなった」彼女は、サーバー島でクラッターに相対する。その胸に、ある覚悟が生まれるのを感じながら……。
今日もオクターヴに集まるラヂ研の面々。そこで彼女たちは怪我をしたマスターの代わりに、様々な衣装で店員として手伝う。別世界のアスカも混ざり、忙しいながら楽しいひとときを過ごす一同。さらに明日架はアスカを家に泊めることを決め、夕食を共にすることに。そこで進路の話になった明日架は、味噌屋を継ぐという考えを父親に反対され不満を漏らす。だが、アスカは明日架の進路について、自分がいる世界のことを引き合いに出し、自由でいてほしいと語るのだった。その夜、ふたりは同じ夢を見る。彼女たちの弟である今日平の夢を……。
アスカの世界にやってきたラヂ研の面々。すでに黄昏に飲まれていたそこは、これまでとはまるで違う、静謐で朽ち果てた世界だった。アスカから新たなアストラルモジュールを手渡された一行は、黄昏の王がこの世界に現れる兆候があること、そして黄昏を退けるエネルギー体を守る御神木のことを知る。だが、その事実を受け止める間もなく、基地内は突如黄昏の侵食に襲われ、雪うさぎたちが現れる。その原因となったのは、御神木に触れ、なんらかの作用を与えるひとりの子供だった。侵食を止めるため、戦う一行。加勢に現れたアスカも、なんとか子供の行動を防ごうと決死の一撃を放つ。だが、その行動は仇となって……。
ラヂ研の面々が、元の世界へと戻って数日が経った。無念を抱きつつ普段どおりの生活を続けていた彼女たちに、明日架は「他のフラグメントに出現したクラッターをやっつけよう」と明るく提案する。それを自然と受け入れる一同。だが、優だけは彼女の態度に違和感を感じていた。それは今日平がいなくなり、味噌屋を継ぐと言い始めた、あの時の明日架にとても似ていたから……。「明日架は嘘をついている」。その疑念はわだかまりとなって明日架にも伝わり、ふたりの間には大きな溝ができてしまう。さらに折悪しく、この世界に不気味な気配が忍び寄り――。
黄昏の王と対面する明日架。この世界における黄昏化を止めるよう、そしてアスカを彼女の世界ごと全て蘇らせるように、彼女は懇願する。だが、その代償として明日架は黄昏の王と共に往くことを促される。「私には黄昏とひとつになる素質があった、そしてそれは……あなたにもある」。その言葉が明日架を揺れ動かしていく。誰かを失った事実を変えることはできない。でも、悲しみを忘れることはできる。そう言葉を掛け、さらに促す黄昏の王。その手を、ついにとろうとする明日架。その時、彼女は聞いた。彼女がよく知る友人の叫びを。
黄昏の使者とともに変わらぬ景色を歩き続ける明日架。ちくわを食べにいかないかと提案する彼女に、黄昏の使者は付き合うことに。その最中で、ちくわを好きになった理由を語る明日架。それは幼い頃の今日平との思い出に起因するものだった。それをきっかけに、フラグメントを渡り歩きながら、今日平を探そうとするふたり。その中で、明日架はある告白をする。それは今日平がいなくなった時に彼女が泣いた理由だった。それこそが彼女の受けた罰であり、黄昏の使者が受けるべき罰でもあった。罰を言い訳にしてきた明日架は、今、ひとつの決意をする。