神OPと神EDを26回ずつも聴ける神アニメ。
「テイルズオブジアビスをプレイしたことはないけどカルマは大好き」って人は自分以外にも大勢いると思う。
昔に通学路で友人から大まかなあらすじを聞いていたので、ルークの素性とかは知ってる状態で見た。
──神OP、神ED
カルマ
中学の頃友人がカラオケで歌ってるのを聴いて、「こんな名曲があるのか」と思った。
「知らなきゃいけないことは どうやら1と0の間」
カッコ良すぎる。
アバンにOPのイントロを被せてくる構成はかなり微妙だと思った。けど、OPが長すぎるが故の苦肉の策かこれ。2分半もあるし。
かと言って3番部分を切ると1分。今度は短くなる。
カルマ以外の曲をOPに据えるのは絶対違うし、もう諦めて2分半のOPを腰を据えて流して欲しかったな。なんならフルで3分半流してくれてもよかった。
冒険彗星
カルマは言うまでもない名曲だけど、EDの冒険彗星も負けず劣らずの傑作。正直自分はこっちの方が好きだ。
「ひとりにひとつ与えられてしまった世界の真ん中」
「また2人で見つけようよ
遠すぎて遠ざけちゃったものや
側にありすぎて変えてしまったものや
痛みの数だけ強くなると言える弱さを
その正しさを」
歌詞が天才すぎる。
この曲聴くだけで泣けてくる。アニメを見る前からこの曲だけで泣いてた。もう人生ベスト10に入るかもってレベルで好き。
──話の感想。
話は終盤になるにつれて失速していた。
最終決戦での争点がルークの抱える葛藤と噛み合っていないので萎えてしまう。
最終決戦に赴くルーク曰く、
「俺みたいな思いをする奴を増やしたくない」
でも世界からオリジナルが消えてレプリカだけになった場合、ルークみたいな思いをする奴はいなくないか?
ルークはオリジナルとレプリカの狭間で苦しんでいたのだから、全てがレプリカになればルークのように苦しむ奴は生まれ得ない。
また、「レプリカでもオリジナルな人生を持っている」って方向で話が進んでいたのだから、レプリカだけの新世界を作るという悪役の野望を「レプリカが可哀想」みたいな方向からは反対できない。
せめてルーク達は「そのために滅亡させられるオリジナルが可哀想」って方向で反対するべきで、その場合、レプリカだけの新世界はルークの抱える「オリジナル/レプリカ」の葛藤とは何も関係がないものになってしまう。
(単に世界を滅ぼすとかの別の野望であってもなんの問題もなく話が成り立つ)
オリジナルとレプリカ、自分のアイデンティティ、みたいな話を、世界全体の話にスケールアップさせるのに失敗してる印象を受けた。
終盤は楽しめなかったけど、「カルマ」と「冒険彗星」という大大大名曲を生み出したので良い作品だと思った。
あとイオンが可愛い。
──「ひとりにひとつ与えられてしまった世界の真ん中」
偽物と本物についての話っていうのは見る前から知っていたんだけど、それと同じくらい「自分にはどうしようもない事態」についての話でもあるなと思った。
ルークなんかはそれの最たる例で、自分の素性に気づいてしまったときには既に出来ることは何もない。だって偽物だとしても既に生きてしまっているから。
そして、この「産み出されてしまった」という空虚さは別にレプリカ特有のものではなく、全ての人に共通するものだ。
みんな選択の余地なく、気づいたら生きてしまっている。
(預言が破壊され、自分で自分の未来を作っていく世界になるという終わり方からしても、このテイルズオブジアビスは非常に実存主義的な話だ)
そしてそれを綺麗に表す冒険彗星の「ひとりにひとつ"与えられてしまった"世界の真ん中」という歌詞。
与えられたのではなく、"与えられてしまった"。
うーん名曲。
──その他、細かな感想
・イオンが可愛かった。
・場所と場所との間の距離感がよく分からず、旅をしてる感は無かった。
・やらかしちゃって凹んだルークの痛々しさが凄かった。しかもその後、ルークを叱責していた他のキャラも大概やらかしていたことが次々に判明していくので、「こいつらどの口で」ってなる。特にアニス。
(まあ、誰1人自分のやらかしを消化できていないからこそ、ルークを慮ることもできないっていうのは、そりゃそうだよなって思う)
・アニスの両親にフローリアンを任せるの不安すぎる。
・パーティーメンバーが様々な派閥の関係者なので、誰かが敵の悪口をいうと、別の誰かが顔を曇らせて気まずくなる展開が多発していた。