Same

Re:ゼロから始める異世界生活のSameのレビュー・感想・評価

Re:ゼロから始める異世界生活(2016年製作のアニメ)
4.2
何故かここ数年大量生産されている異世界転生モノの中でも、頭ひとつ抜けていると感じます。
とはいえ、この手のライトノベル原作の深夜帯のアニメのお約束設定を理解してないとノリについていけなかったり、何度も同じ日を繰り返すループもののかったるさとか、主人公ナツキスバルが暑苦しくて台詞回しがとにかくしつこいとか、誰もがのめり込める作品ではないとは思うんだけど、この手のジャンルアニメの魅力を最大限にずるいくらい利用してめちゃくちゃ面白いです。

序盤で主人公自身が口にする通り、中世ヨーロッパの世界観をベースにした剣と魔法のファンタジー世界に突然送り込まれた主人公(大体引きこもりのゲーマーでコミュ障で女性慣れしていないけど頭脳明晰なことが多い)が、何故か性的に露出した衣装の絶世の美女達に次々好意を持たれ、大体の作品でハーレムを形成、その女性たちを従えて世界を救う勇者になっていくというのがおおよそこの手のジャンルのお約束です。殆どの主人公が全てをひっくり返せるチート能力を有しています。
要するに逃避できるんですよねアニメの中で。男性が逃避して浸れる世界。心地いいわけです。で、そういう異世界転生モノが増えてくるとそこんところを問う作品が出てくるんですよ。

今作もこれらのお約束の上に成り立っている訳ですが、主人公ナツキスバルに与えられた特殊能力は死に戻れるということだけ。アドベンチャーゲームの様にルートを間違って死んでしまっても、特定のセーブポイントに何度も戻れるという、これはとてつもないチート能力ですね。
だけどこの死に戻り、厄介な能力で死に戻ってもそれまでのルートの記憶は残したままなのです。
何度も無惨に死に、守るべき人たちの死に目を見て絶望し、時に精神が壊れても立ち上がって同じ場面を繰り返した経験を利用して乗り越えていきます。
時には運命から逃げたり、あまりの凄惨さに廃人同然になったり、なかなか顔芸も面白いんですけど異世界転生モノとしてはかなりシリアスで暗いです。
主人公がそもそもバシバシ死にますし、あの人もこの人もザクザク死にます。
結構コミカルな明るい雰囲気を纏いつつ、誰がいつ死んでもおかしくない世界観が、この作品の緊張感を生んでいて、魅力的です。

主人公の死に戻りという特質上、『バタフライエフェクト』のようにいろんなパターンの未来にトライしては挫折を繰り返す謎解きのターンがあり、謎解きの面白さがあるとはいえ何度も同じ場面を見るのがかったるいし、かっこ悪さも醜さもさらけ散らすスバルが辛い。特に王都編でのスバルの18話までの俺、俺、俺のぐっちゃぐちゃに醜い独りよがりが見るに耐えないです笑
そんな中、徐々に増えていく力強い仲間を得て大逆転をカマす後半が最高ですね。

この作品の良さはキャラクター造形にもあります。どのキャラクターも本当に魅力的に描かれていて、少しワンピース的な泣かせにくるやりすぎ感は否めませんが、それぞれに暗い過去のストーリーがあり、誰のことも好きになってしまいますね。
御多分に洩れず、一期だけ見たらマジでレムが1番だろレムにしろよ!と思いますし笑

作画も高レベルのクオリティを保ち続けていて、原作のストーリーレベルの高さゆえか、コスト面でもスタッフの面でも本気が伺えました。
このまま2期が楽しみです!
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