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機動戦士ガンダム 水星の魔女のAixのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム 水星の魔女(2022年製作のアニメ)
3.8
コードギアスやDevilman Crybabyなどで知られる大河内一楼がシリーズ構成を務めた令和最初のガンダムにして初の女性主人公作品。

少女革命ウテナにセルフオマージュを捧げた新鮮なガンダムでした。もう完全にウテナじゃんっていうような決闘やらチュチュ先輩が登場して来て色々面白かったです。ただ今作はウテナよりも取っ付きやすくなっており、ガンダムに興味がない人でも手を出しやすい印象を受けました。アニメーションの背景とかキャラデザも綺麗なため、今作から新しいガンダムファンが生まれてもおかしくはない一方で、いわゆるスペースノイド、強化人間、親子関係のいざこざなど、従来の富野由悠季イズム的な要素もしっかり組み込まれていたのが良かったです。

それらの魅力に対して今作は1シーズン目から問題点も垣間見えました。個人的にかなり気になったのは、SFアクションなのにも関わらず死に対する恐怖がほとんど描かれていなかったことです。多分最終回のスレッタの行動を際立たせるために、敢えて宇宙戦ではなくて死なない決闘を繰り返していたんだろうけど、それにしてもこの決闘がウテナほど格好良くないし、必要性もそこまで感じられません。ウテナの場合は決闘する目的が限られていて、虚構の世界観だからこそ成り立っていましたが、今作は正直何か困ったら決闘すれば良いやってシナリオだったし、どうせスレッタが勝つと分かっているので緊張感がほとんどなかったです。
そしてもう一つ今作の足を引っ張っていたのがキャラクターの多さでした。決闘でキャラクターが死なない→新しいキャラクターが増える→個々に対して感情移入がし辛くなる→また決闘が起きるがキャラクターは死なない、という悪循環な脚本になっていました。もうちょっと一人一人のキャラクター紹介に時間を割くか、キャラクターの数を減らした方が良かった気がします。今作のメインの物語はスレッタとミオリネだけど、結局この二人の話は前半パートの今作だけだと大きく進展したようには見えなかったです。コードギアスくらい長尺ならともかく、今作は分割2クールなので、その辺の問題点をどうやって解決するのかが評価の分かれ目になりそうです。

色々書きましたが、想像以上に面白かったし、続きが気になる作品でした。順を追ってしっかり見ていきたいと思います。
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