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火の鳥 エデンの宙のAixのレビュー・感想・評価

火の鳥 エデンの宙(2023年製作のアニメ)
2.4
STUDIO4°Cが制作し、ムタフカズで知られる西見祥示郎が監督した手塚治虫の伝説的漫画火の鳥の望郷編のアニメシリーズ。

火の鳥も手塚治虫も大好きだけど、今作は想像以上に出来の悪い作品でした。マジであんまり褒めどころがないアニメです。背景、メカニック、世界観などのデザインは4°Cなだけあって綺麗ではあるんだけど、逆に綺麗さがキャラクターとCGを浮かせていました。特に宇宙のシーンのCGが酷く、美しさのかけらもなかったです。

今作の肝心のストーリーは前半部分の方が原作に忠実で、後半になるにつれて雑になっていきました。とにかく今作は間がなく、4話という絶望的に短い尺の中で偉大なる手塚治虫の重厚感をかき消していたと思います。1クールとは言わなくても、せめて倍のエピソード数があって良かったです。4°Cって海獣の子供みたいな、神秘的で、哲学的で、大人向けのアニメを作るイメージがあったんだけど、今作ではその個性が生かさていませんでした。これを見ても火の鳥が何なのか全く分からないし、ロミとコムの結末は改悪以外の何物でもないし、何で望郷編からアニメ化したのか謎だし、物語のテンポが異常に早過ぎるし、宮座りえも窪塚洋介も演技が下手だし、そもそも話が意味不明になっていて、手塚サイドはよくこの内容でOKしたなと言わざるを得ないです。正直、直近に見たメイドインアビスのシーズン2の方がよっぽど手塚治虫イズムを感じることが出来ました。

根本的に火の鳥を原作通りにアニメ化するのはあまり向いていない気がします。NetflixのDevilman Crybabyが国内外で成功したのは、原作をベースにしたまま価値観や内容を現代的にアップデートしていたからです。火の鳥もそのくらいのことをするか、賛否分かれる前提でオリジナルの話を作った方が良い作品になると思います。今後もし火の鳥をディズニーでシリーズ化するんだったら、頼むからもうちょっと挑戦的なものを作って欲しいください。今作のおかげでNetflixでやるアトムことPLUTOも、地雷の予感がしないでもないです。
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