Aix

蟲師のAixのレビュー・感想・評価

蟲師(2005年製作のアニメ)
3.8
惡の華で知られる長濱博史が監督を務め、文化庁メディア芸術祭にも推薦されたファンタジーアニメ。

アピチャッポンウィーラセタクンや宮崎駿を彷彿とさせるような神秘的で美しい世界観を持つ作品でした。今作は一話完結ものだからか、特に序盤は1パターンが多く、ナレーションに説明を任せたりして、感情移入をする前に話が終わってしまいがちだった一方で、中盤のギンコの過去回辺りからは、全体的に物語が持ち上がり、クオリティも高くなった気がします。割と最初の方に当たり障りのない退屈な話を消化していた分、後半以降は奥深く感じる展開も多かったし、漫画のセリフやコマ割りを忠実にアニメ化したというやり方も上手くいっていたように感じました。

今作の役者は所謂アニメらしい芝居をしていませんが、作画、劇伴、音響などの雰囲気とも合っていてなかなか良かったです。結果的に今作を見終わる頃には、作品自体がかなり愛おしくなりました。それだけ中毒性があるし、国内外で高い評価を得ているのも納得の作品なんだけど、強いてケチをつけるならアニメオリジナル回が幾つかあっても良かったです。正直外れのエピソードがあるのは否めない上に、肝である蟲自体が魅力的とも限らないので、2、3話続く脚本を用意して、ギンコの人間性を見せた方が作品にもっと愛着が湧いたと思います。
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