回想シーンでご飯3杯いける

機動戦士ガンダムAGEの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムAGE(2011年製作のアニメ)
3.0
【TV/OVA版ガンダムを製作年順にレビュー中】

ガンダムのエッジが効いたかっこよさが前面に出た「00(ダブルオー)」の次に登場したTVシリーズは、「進化するガンダム」と銘打ち、3世代、約100年の歴史を綴った「ガンダムAGE」。

3世代、100年という事で、体感的には、宇宙世紀元年から「閃光のハサウェイ」までの宇宙世紀もの全てを網羅したのと等しい。フリット、アセム、キオ、という3世代のパイロットの人物像や思想、あるいは成長と老いを描く、SFでありながら家族ドラマとしての性質も有している。特に老いに関する描写が辛辣で、今までのガンダムシリーズには無かった味わいを持つ。

本作の、もうひとつの特徴が、当時「イナズマイレブン」をクロスメディアでヒットさせていたレベルファイブが、企画協力で参加している事だ。まず、一見して分かるように、キャラクターデザインが低年齢層を意識したものになってるし、難解な専門用語を使わない脚本も、同じ方向性を感じさせる。

一部のガンダム制作スタッフやファンの中に「子供が楽しめてこそガンダム」という意見が根強くあるが、果たしてそうなのだろうか? また、子供がたくさん登場すれば子供に評価されるという認識も、僕には見当違いに思える。そもそもの初代「機動戦士ガンダム」は、それまでの「アニメ=子供の為のもの」から逸脱し、大学生を始めとする青年層に評価されたからこそ、今に繋がる独自のポジションを得たのだと思うのだが。

その点で、この「ガンダムAGE」もどこかターゲットを見誤ったように感じる。実際、子供からの人気が高まるような事は無く、視聴率もシリーズ内で最低を記録したと聞く。

3世代を描く発想自体は面白く、味わい深いドラマ性を持つ作品だと思うので、的外れな子供向けの絵柄が非常に残念に思う。