のぞみ

【推しの子】ののぞみのネタバレレビュー・内容・結末

【推しの子】(2023年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


原作からすきな作品のアニメ化ははじまる前から期待値が高く、それを超えて推しの子ワールドを展開する動画工房も主題歌も声優さんたちもすごい。先の展開を知ってても気になるし、アニメ化ってやっぱりすごいなと再認識。
動画工房が描くクオリティの高いアニメーションにYOASOBIのアイドル、女王蜂のメフィスト、B小町のサインはB、こんなにも気合の入った作品を観られるのは原作から読んでいるものとしてはうれしい。

推しのこどもとして生まれ変わるアクアとルビーのしあわせライフは突然幕を下ろす。アイが殺され、その犯人に復讐するという目標だけを頼りに生きているアクアが高校生になって、アイの死の真相に近づきはじめる。なにも知らずにアイドルを目指すルビーは年相応でいい。ふたりがかつてはおなじ病院の医者と患者だとは知る由もなく、双子として過ごす摩訶不思議さ。

アニメで観ると読んでるときはちがったことに気づく。生まれたときからの転生って、単純に前世をおぼえてるってだけでアクアは自分の人生を生きてもいいのに、ルビーのように年相応には生きていないのが前世が大人だということと関係するのかな。

アイドルになることも、なってからも埋もれないように最前線を走っていくのは大変。B小町の絶対的エースのアイのように輝けるのは選ばれた一握りだけ。些細な言動が命取りになる芸能界で長く息をするのはかんたんじゃないことをおしえる。アイが嘘を愛だと言うように、そんなふうに武装しないとアイドルとファンの関係性を維持していくのってむずかしそう。アイドルに限らず、だれかの抱く理想通りに生きるのはむずかしい。勝手に失望されたり期待されたり好意を寄せられたり、望んでいなくてもそうなってしまうことはある。アイのように嘘を愛だとおもいながら生きていこうかなって参考にしてみたり。芸能界の話だと綿矢りさの「夢を与える」を思いだす。ひさしぶりに読み返そうかな。ドラマもよかったです。

恋愛リアリティショーでの炎上、炎上してるひとにはなにをしてもいいという雰囲気。表現の自由は無責任とはちがう。何の気なしなひとりごとがひとを殺す時代。演出されたリアリティショー、巻き起こる炎上。自分だけは例外だと思っているサイレントマジョリティ。共感性の高い意見に賛同すれば、本質なんてあってもなくてもいい。

かなちゃんとあかねすきなので幸せになってほしい。
そして、2期うれしい、たのしみ。



先行上映の感想を。
とても濃密な90分のプロローグ。
ドキドキワクワクして、これを春からは毎週観られるのかと思うとうれしさがこみ上げる。
原作を読んで知っていてもたのしめる。アニメ映えするだろうなって読みながらに思っていたけれどここまでとは。アニメだからこそ伝わるもの、喋って歌って踊ってるアイはほんと最高に嘘つきのかわいい女の子でしかなかった。
アイの空虚さ、嘘で塗り固めた虚像のアイドルを求められるままに完璧にこなすプロの姿と高橋李依ちゃんの声がほんと相性よくて、アイがそこにいました。
メンゴ先生独特のあのキラキラした瞳がアニメだとよりキラキラしててかわいさ倍増。
映画クオリティの作画に演出に音楽に観たあとの興奮はすごく、観に行けてよかった。
のぞみ

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