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特務自衛隊は豪和インスツルメンツと共同で、極秘のうちに新型二足歩行兵器「タクティカル・アーマー」(TA)の実戦シミュレーションテストを行っていた。訓練に挑むのは特自の隊員たちと、民間人ながら「大尉」の肩書きで特自に出向してきた豪和家の四男「ユウシロウ」。シャーマンの素質を持つユウシロウは、同時に「嵬(かい)」と呼ばれる能力者であり、豪和一族に代々伝承されてきた能の特殊な演目「餓沙羅(がさら)の舞」を舞うことで、「餓沙羅の鬼」と呼ばれる謎のパワーを呼び寄せることが可能な唯一の人物だった。そのため、テストを終えたユウシロウは屋敷に戻らず、そのまま次なる実験場「鬼哭石(きなし)」へと連れて行かれ、実験の舞台装置でもある「石舞台」で餓沙羅の舞を演じることとなる。父の乃三郎や兄である一清、清継、師匠である空知検校に見守られながら舞いを始めるユウシロウ。彼がトランス状態に入り、餓沙羅の鬼が出現する兆候である「特異点」を出現させた時、彼の精神にひとりの少女の精神が接触する。その少女は、別の場所で同様の実験を行っていた超国家組織「シンボル」のインヴィテイター(嵬)「ミハル」だった。彼女は「呼び戻さないで! 恐怖を!」とユウシロウに警告を残して消失。それによりユウシロウは舞を中断し、特異点は消失する。
中央アジアの小国「ベギルスタン」で行われた謎の爆発実験が世界に波紋を呼ぶ。それは後に、謎の組織「シンボル」の実験で出現した特異点だったと判明するのだが、大量破壊兵器の実験だと捉えたアメリカは国連を通じて核査察を要求。ベギルスタンがそれを拒否したことで、国連はNATOを中心とした多国籍軍の派遣を決定する。だが、首都に突入した多国籍軍地上部隊は、ベギルスタン軍の思わぬ反撃を受けて壊滅。前線の映像を入手した一清は、ベギルスタン側にTAと同様の兵器が存在することを確信する。一方、屋敷に戻ったユウシロウは、石舞台で精神接触した少女(ミハル)について想いを巡らせていた。石舞台でなにがあったのか、なにも語ろうとしないユウシロウに妹の美鈴は、なぜユウシロウばかりが実験材料のように扱わなければいけないのかと同情を寄せる。ユウシロウに他人行儀な家族の中で、美鈴だけは心から兄・ユウシロウを慕い、心配していたのだった。そんなユウシロウに再び召集がかけられる。特自TA中隊のベギルスタン派遣を実現したい一清たちが、TAの性能をデモンストレーションしようと演習をセッティングしたのだ。演習を見学した上層部の面々はTAの性能に驚嘆し、特自の派遣に大きく傾く。
実戦のデータが欲しい豪和は、ユウシロウをベギルスタン派遣に参加させようと動く。とくに一清は、実戦データの採取もさることながら、ユウシロウを実験素材として使い尽くすことで自らの野望を達成しようと考えていたのだった。一方清継は、数々の研究データから、ユウシロウだけが人工筋肉の能力を引き出していること、ユウシロウがいることで他のタクティカル・アーマーにも同様の効果をもたらしていることを突き止める。しかし「オリジナル」の復元には至らず、今はタクティカル・アーマーレベルの復元が精一杯であることを痛感する。その頃、美鈴とユウシロウは庭園の「天気輪」の前で幼い頃の思い出を語り合っていた。これから戦場に向かうユウシロウを心配する美鈴に、ユウシロウは必ず生きて帰ってくることを約束する。派遣に反対していた法務大臣が事故死したことで特自のベルギスタン派遣は実施されるが、高山少佐を初めとするTA中隊の隊員たちは民間人であるユウシロウを巻き込んでしまったことに心苦しさを感じていた。「必ず日本に無事送り返す」と誓う高山に、ユウシロウは「自分の意志で参加した」と答える。そのころベギルスタンでは、米軍の戦車部隊が二足歩行型兵器メタル・フェイク(MF)部隊の奇襲攻撃を受け、壊滅的な被害を被っていた。
ベギルスタンに到着したTA中隊を出迎えたのは、多国籍軍に参加していた豪和一族の人間だった。到着後間もなくTA中隊に下された命令は、敵地のただ中にある「神殿の丘」を制圧すること。そこは大量破壊兵器の実験が行われたとされている場所だったが、実際に行われていたのは「石舞台」で行われたもののと同様の実験だった。命令の裏にある意図を知らないままTA中隊は出撃し、初となる実戦を経て神殿の丘を制圧する。そこに清継と清春が現われ、清継らが手早くデータの採取を行う中、突然ユウシロウはTAを降りて神殿内で餓沙羅の舞を始める。ユウシロウの不可解な行動に驚く中隊の仲間たち。清継はチャンスとばかりにデータの採取を始めるが、敵地での不用意な行動に危険を感じた鏑木大尉はユウシロウの舞を止めようとする。だが、鏑木が止めるよりも早く付近に潜んでいた敵兵がユウシロウを狙撃し、舞いは中断。さらに、神殿の丘をモニターしていたシンボルは、ミハルとユウシロウを接触させるべくMF部隊を送り込み、TA中隊に奇襲攻撃を掛ける。
TAとMF、二足歩行型兵器同士による初の実戦が展開される。ユウシロウはスズランをあしらったMFにミハルの存在を感じ取り、ミハルもまたユウシロウのTAに向かって行く。しかし、砂漠の嵐に巻き上げられた砂が駆動部分に侵入したため、TA、MF共に動作不良に陥り戦闘は中断。両者の直接対決は痛み分けに終わる。戦闘を終えたユウシロウは、突然行った舞いについて部隊の仲間から説明を求められる。だがユウシロウはその理由を明らかにすることなく、ひたすらミハルに想いを巡らせる。一夜明けて、部隊に新たな任務が下った。MFを少なくとも一機、操縦者ごと捕獲せよとの命令だ。軍事衛星のデ―タを元に、敵が潜んでいると思われるポイントへ向かう一同。しかしそれはベギルスタン側の巧妙な罠で、隙を突かれたユウシロウたちは奇襲攻撃を受けてしまう。即席で砂漠仕様の処置を施された両者は激しく戦闘を展開し、TA中隊はどうにかメタル・フェイクの一部をもぎ取った。この戦闘の模様はNATOの攻撃機によって世界中に報道され、二足歩行兵器の存在が全世界に明らかとなる。世間が新型兵器の登場で騒ぐ中、シンボルは利用価値のなくなったベギルスタンを見捨て、多国籍軍はベギルスタンの首都に全面攻勢をかける。
ベギルスタンから自分たちの痕跡を消すため、シンボルはクーデーター勢力をバックアップして大統領を暗殺する。クデーター勢力と国連軍の間に休戦が成立し事態が収束に向う中、アメリカが査察にかこつけてTAのデータを入手しようとしていることを豪和は察知する。特務自衛隊の撤収が急がれる中、ユウシロウは偶然目にした「アクラの石窟教会」のテレビ中継でミハルの姿を見つける。彼女に会うため、単身「アクラの石窟教会」へと向かうユウシロウだが、反クーデーター勢力に狙われる可能性も高い。そこでTA中隊の仲間はは帰国準備を中断し、ユウシロウを連れ戻しに向かう。その頃、石窟教会でミハルと接触したユウシロウは、石舞台で精神接触したときにミハルが発した警告の意味を問い正していた。だが、現地のゲリラに偽装したシンボルの兵士がやって来て、2人は取り囲まれてしまう。シンボルはミハルを自由に行動させてユウシロウを誘い出し、捕らえようとしていたのだ。間一髪で鏑木たちが駆けつけ2人はその場を脱出するが、逃走車両が足止めを食らってしまったため再び2人だけで逃亡。シンボルの兵士に行く手を阻まれるが、タイミングよく現れた高級車に助けられる。
ユウシロウとミハルを救った高級車の男は、2人を安全な場所にかくまい特自部隊に連絡する。2人は知らなかったが、彼こそシンボルの最高責任者「ファントム」だった。ユウシロウはミハルに彼女が言う「恐怖」とはなにかを尋ねるが、ミハルは曖昧にしか答えない。やがてTA中隊の仲間がユウシロウを迎えにやって来るが、ミハルはユウシロウと行動を共にせず、「いずれまた会える」と言ってその場に残る。ユウシロウが帰還し帰国準備の整ったTA中隊は、直ちにベギルスタンを出国するべく輸送機へと乗り込む。しかし、シンボルの意向を受けた米軍中央司令部のウェイン大将が、輸送機の離陸中止を指示。清春はひとりベギルスタンに残る覚悟でウェインの説得に当たり、清継は輸送機を強行離陸させる。どうにかベギルスタン領空を出た輸送機は、こんどはアルメキスタン空軍を装った覆面戦闘機に遭遇。敵の狙いがMFから奪取した人工筋肉にあることを悟った清継は、TAを使って反撃することを提案する。命令無視などで部隊の仲間から信頼を失いかけていたユウシロウは、TAでの戦闘機撃墜作戦に立候補。飛行中の輸送機からワイヤー一本で吊されたTAを操り、空中で戦闘機を撃墜。仲間の信頼を回復する。
帰国したTA中隊は、マスコミへの情報流出を防ぐため軟禁状態に置かれる。だが、民間人であるユウシロウだけは軟禁を解かれ、直ちに豪和総研へと移される。最初はおとなしく軟禁されていた安宅大尉だったが、ユウシロウが豪和では「被験者」と呼ばれていたことを知り、単独で彼の後を追う。一方、一清の動きに不穏なものを感じた乃三郎は、TA開発や海外派遣の真の目的を一清に問う。傀儡子への野心をいさめる乃三郎に対し、一清は「自らを灼く火こそ、この世の本質」と言ってその場を去る。続いて一清は、広川の仲介で国学者の「西田啓」と会見する。西田は醜く堕落した日本人を見るに耐えず愛刀で自らの目を潰した人物で、軍事独裁を前提とした国家再生論の提唱者でもあった。日本刀のように研ぎ直せば日本は美しく再生すると主張する西田に、一清は「日本刀は結局人殺しの道具でしかない」と言い放つ。だが西田は、かつて日本人が刀剣に破邪の思いを込めていたことを説き、ガサラキのことにも言及する。豪和一族しか知らないはずのガサラキを西田が知っていたことに一清は衝撃を受ける。一方、シンボルは豪和に奪取されたMFの人工筋肉を取り戻すため、ミハルを含むMF部隊に豪和総研を奇襲させる。総研への侵入を果たしたミハルはユウシロウのデータを検索し、豪和憂四郎という人物が8年前に死亡していたことを知る。
豪和総研内でユウシロウと対面したミハルは、豪和憂四郎が8年前に死亡していることを伝えた。そして人工筋肉の奪回を成功させると、侵入チームと共にいずこかへ潜伏してしまう。豪和は警察を動かして市内全域に検問を張るが、シンボルの放ったデコイに惑わされて逃亡を許してしまうのだった。一方、自分の出生に疑問を抱いたユウシロウは、母に面会して真実を問いただす。そして空知検校がすべての秘密を知っていることを聞き出すと、ひとり空知のいる鬼哭石(きなし)へと向かう。そこへ入れ違いになった安宅が豪和の屋敷に到着。美鈴からユウシロウが鬼哭石へ向ったことを教えられ、美鈴と共に鬼哭石に向かう。その頃、鬼哭石に到着したユウシロウは、空知の案内で「蔵」の地下に作られた謎の施設を訪れていた。そこでユウシロウは、8年前に死亡した豪和憂四郎や、空知の息子・空也などの遺体が収められたポッドを発見。それらの遺体はすべて「ガサラキを呼ぶ者、鬼寄の末裔」であると空知は説明する。さらに施設の奥へ進むと、そこには巨大な鎧人形「骨嵬(くがい)」が安置されていた。そこへ、ユウシロウを追う安宅と美鈴が鬼哭石の石舞台へと到着。2人は豪和のオリジナルを狙って鬼哭石へと来ていたミハルたちのMFと遭遇する。
鬼哭石に現れたミハルともう一機のMFは、安宅たちを気にもとめず、石舞台と蔵内部の調査に取りかかる。僚機が石舞台を調査する傍ら、ミハルのMFはユウシロウと空知のいる「蔵」に侵入。蔵の内でユウシロウの姿を認めたミハルは、ユウシロウを捕獲しようとする。すると突然、ユウシロウは何かに取り憑かれたように「餓沙羅の舞い」を始め、骨嵬の中に取り込まれてしまう。長年の時を越え活動を開始する骨嵬「朱天」。朱天を見たミハルの脳裏に恐怖の記憶がよみがえり、恐慌状態となって蔵の外へ逃げようとする。だが、朱天の恐るべきパワーの前にミハルのMFはコクピットから引きずり出され、助けに駆けつけたもう1機のMFも大破。シンボルは2機のMFを自爆させて引き上げる。戦いが終わり朱天から抜け出したユウシロウは、ミハルと共に空知の家にかくまわれる。骨嵬のことを尋ねるユウシロウに空知は「骨嵬はガサラの神事によって生まれ、嵬に操られる」と答え、すべての真実を知るならミハルと共に京都へ向かうよう助言する。その頃、北海道の演習場では新型TA震電の36時間連続搭乗実験が行われていた。だが、実験開始からしばらくして、実験に参加したパイロットたちに異変が発生する。
京都へと向かうユウシロウとミハルは、以前にも同じ路を通ったことがあると知っていた。だが、なぜそれを知っているのかは、彼ら自身にもわからない。道すがら自分たちのことを語り合った2人は、お互いが実験動物扱いされていたことを知り共感を覚える。その頃、北海道で行われた新型TAの実験は、TAの暴走という最悪の方向へと事態が進んでいた。広川中佐は暴走TAの捕獲とパイロットの谷口少佐の救出をTA中隊に要請し、中隊は北海道へと飛ぶ。高山と北沢は新型TAに乗り込み、暴走機の追跡を開始。挟撃して谷口機を止めようとするが、谷口機の予想を超えた動きに両名は窮地に陥る。そこで明かされる、テストパイロットたちの秘密。それは、彼らがTAに適応するために生理的に強化されたパイロットであるという事実だった。事の真相を知った速川隊長は、「こんなことで部下を死なせるわけにはいかない」と判断し、緊急燃料を使って谷口少佐が乗った暴走TAを凍結させる。一方、ユウシロウを追う安宅と美鈴は、京都へ向かう山道でユウシロウたちと合流。だが、ユウシロウを捜索する特自のヘリコプターに見つかってしまい、特殊部隊に行く手を阻まれる。
いちどは沈黙した谷口機が再び暴走を開始。谷口機は高山機と北沢機を大破させたものの完全には破壊しようとせず、そのかわり北沢機の頭部を高々と掲げるという不可解な行動をとる。一方、特殊部隊に捕まったユウシロウたちは、特自のヘリで豪和市へと移送される。ミハルの身柄は清継に預けられ、彼の研究に協力させられる。ユウシロウは北海道で起きたTA暴走事件のことを知らされ、谷口機の捕獲命令を言い渡される。谷口機は演習場から出ようとしており、もしユウシロウが命令を拒めば砲撃によりパイロットごと処分されることになる。ユウシロウは自分と似た境遇の谷口に共感を覚え、彼を救うべく北海道へと飛ぶ。演習場に到着したユウシロウは、震電に乗り込み谷口機に接触。だが、人工筋肉から抽出され、合成された「グロブリン」により戦闘能力を向上させられた谷口は、すでに正気を失っている状態だった。谷口機の狂ったような攻撃に、ユウシロウ機は大きなダメージを受ける。谷口機はついに最終ラインを越え、特科が砲撃を開始。ユウシロウ機は谷口機に飛びかかるとインパクトで穴を掘り、間一髪のタイミングで砲撃から救う。震電から降りたユウシロウは、谷口がうわごとのように「今が閾に至らずんば、七支の剣の疵となるべし」とつぶやいているのを聞いて絶叫する。
豪和総研に収容された骨嵬「朱天」の驚異的な再生能力に清継は驚嘆する。朱天の研究と並行してあらゆるデータを採取されていたミハルは、一清の冷酷な態度の中に、前世で見た兄の面影を重ね合わせる。一方、安宅は速川隊長に鬼哭石で起きた出来事を報告する。2人は朱天の正体とTAの実験の関連性を推測し、朱天が生体兵器のようなものではないかと考える。そんなとき、ユウシロウに突然の帰還命令が下る。その命令は、豪和家当主の乃三郎が4人の息子たちを呼び集めるために出されたものだった。息子たちが集まると、乃三郎は一清にTA開発の真意を問いただす。乃三郎は一清が西田たちと組んでシンボルに対抗しようとしていることを見抜き、かつての祖先と同じ過ちを犯そうとしていると危惧していた。ここに至って一清は自らの野心を明らかにし、乃三郎と豪和家当主の座を巡って争うこととなる。科学者としてガサラキに関する研究を続けたい清継は一清についていくことを決め、清春も清継に同調。その結果、豪和家当主の座は一清へと移ることとなった。すべてを失った乃三郎はユウシロウとミハルの逃亡を助け、2人を京都へと続く「嵬の路」まで送る。
豪和の実権を握った一清は、再び西田たちと会見する。伝統への回帰を促す西田の思想を一清は排他的だと評するが、西田は外国に門戸を閉ざすのではなく豊かさへの幻想を取り払うのだと反論する。そして、かつて統一国家の形成に寄与した「傀儡子」と呼ばれる人々とガサラキの伝承をたとえに出し、欲望だけでなく恐怖も歴史を動かす要素であると語る。西田が持つガサラキの知識に一清は焦り、空知を呼んで西田とはいかなる人物なのかを問いただす。その頃、ユウシロウとミハルは京都にある「渡辺の地」を目差して、嵬の路を進んでいた。その途上、ミハルはユウシロウにシンボルが行っていた実験の目的を教える。シンボルが開発したMFは、「絶対の無」の意味を持つ「ナダ」なる存在を呼び出すために開発されたものだったのだ。ユウシロウは直感的にナダとガサラキが同一のものであると理解する。一方、ユウシロウの失踪に心を痛めていた美鈴は、空知にユウシロウがどこへ向かったのかを尋ねる。空知は美鈴が本当に尋ねたいことは別のところにあると察し、現在のユウシロウは8年前に死んだ憂四郎から記憶を転写した別人であることを教える。
ユウシロウとミハルは、豪和と因縁の深い古の土地「渡辺の地」に到着する。2人が朽ちた御堂を見つけて中に入ると、2人のことを待っていたという老人が声をかけてきた。老人に促され、ユウシロウとミハルが古びた荒神の木像に触れた瞬間、2人の精神は前世で生きていた平安時代へとトリップする。平安の世、傀儡子の一族「渡辺党」は朝廷のために影で働き続けてきた。しかし、安定した世の中が続くと強大な力は逆に危険視され、渡辺党は朝廷から「骨嵬」を引き渡すよう言い渡される。それが発端となり、渡辺党の内部で朝廷に従おうとする「渡辺競」と、反旗を翻そうとする「渡辺鋼」が対立。両者は古来からの神事に則り、互いの骨嵬を決闘させることになった。競側の「嵬」として骨嵬に乗り込んだ憂四郎は、綱側の骨嵬と戦う。しかし相手の嵬「美晴」の姿を確認すると、憂四郎は突然戦闘を放棄。憂四郎が神事を破ったことにより競は鋼に殺され、鋼が一族の党首に就任する。渡辺党の実権を握った綱は、一族の力を糾合して朝廷と戦う姿勢を鮮明にし、数の不利を補うため骨嵬を戦に用いることを表明する。憂四郎と美晴はお互いに惹かれながらも、自分たちが神事を破ったことで戦いが起きようとしていることに苦しむ。
渡辺綱は朱天と克天、2体の骨嵬と渡辺党を率いて都へ向かう。それに対し、朝廷は源頼光に渡辺党の鎮圧を命じた。朱雀大路で鋼が頼光に宣戦布告したその夜、憂四郎と美晴は都で目の当たりにした光景について語り合う。荒廃した都、疫病で苦しむ人々……。もし自分たちが骨嵬で人々の命を奪うような存在になるなら、それは疫病と同じではないのか? しかし美晴は、たとえ疫神となろうとも憂四郎と一緒にいられることに、どうしようもなく喜びを感じてもいた。一方、朝廷内部では僧侶の叡如が、鳥部野の地で骨嵬を迎え撃つよう源頼光に助言する。そこでならば言霊の力で骨嵬の力を押さえ込めるというのだが、叡如の狙いは別のところにあった。鳥部野はナダを呼び出す神依の地であり、そこで多くの血が流されればナダが降臨すると考えていたのだ。ついに戦が始まり、叡如の狙い通りナダ(=ガサラキ)が降臨しようとしたそのとき、憂四郎は昔にも同じようなことがあったことを思い出した。このままでは惨劇が繰り返されると感じた憂四郎は、戦いを中断して骨嵬から降りる。これに激怒した綱は憂四郎を射殺そうとしたため、美晴は憂四郎を守るために実の兄である綱を手にかけてしまう。
兄を殺したことを思い出したミハルは、心を失い人形のようになってしまった。ユウシロウはそんなミハルを引き連れ、関西のアジアン静脈瘤へとやって来る。そこでは2つのグループが激しく勢力争いをしていた。マフィアに殺されそうになった男を助けたことで、ユウシロウとミハルは「王(ワン)」という男のグループの世話になる。じつは王は元シンボルの情報部員なのだが、ユウシロウも王もお互いの素性に気付かない。その頃、一清と広川たちは、米国が穀物輸出を停止するという西田の予測を元に、暴動の発生と経済の混乱への対応を協議していた。アメリカがシンボルのMFを正式採用したとの情報もあり、TA中隊の協力が不可欠と感じた西田は、自ら速川隊長の説得に当たることを申し出る。その一方で、ユウシロウとミハルの捜索を続けていた一清とシンボルは、互いにアジアン静脈瘤に目をつけていた。一清が秘密裏にユウシロウを探させる一方で、シンボルはかつて組織に属していた王に連絡を取る。シンボルは王に敵対勢力の情報を与えるのと引き替えに、ユウシロウとミハルの捜索を依頼。連絡を受けた王は、自分の元に転がり込んできた2人がシンボルの探す人物だと知り、思いを巡らせる。
アジアン静脈瘤で暴動が発生するなど、国内の治安状況は急速に悪化していた。このまま米国が穀物の不作を発表すれば、全国で大規模な暴動が発生することが予想される。広川たちは全国に治安維持のための特自部隊を配備することを計画し、首相に計画の実行を促す。一清は関西に配備されるTAを使い、治安出動に乗じてユウシロウとミハルを捕獲しようともくろむ。一清は叔父の義猛にも豪和家総代として協力を迫り、豪和を本来あるべき姿「傀儡子」へと戻すつもりであることを明言する。翌日、米国の穀物収穫予想が発表されると、世界の穀物相場は大混乱に陥った。米国商務省の発表によると米国内の作況指数は40を下回り、世界の穀物在庫率も安全基準を大幅に下回っているという。このニュースが発表されると、西田の予測通り日本各地のアジアン静脈瘤で暴動が発生。とくに暴動が激しい3カ所に、特自の治安出動が命じられる。ユウシロウは特自に発見されないよう屋内に隠れていたが、目を離した隙にミハルが外へ出てしまい、特自のヘリに発見される。特自のTAがミハルに迫るが、間一髪のところでユウシロウが駆けつけミハルの捕獲を阻止。さらに、王が身を呈してTAを追い払い、ユウシロウとミハルを救う。
TA中隊の速川隊長は、広川の仲介で西田と会談する。その席で西田は、米国が穀物の輸出を停止するつもりであることを話し、西田たちの計画にTA中隊が協力することを要請する。自分はなぜ特自に身を置いているのか? 日本人が求めているものはなんなのか? 西田の言葉に耳を傾けながら、速川は自分の心に問いかける。白熱した会談は夜を徹して行われ、2日目の日も暮れようという頃、ついに速川は西田の理想に協力することを決断する。その一方、王はユウシロウから詳しい事情を聞き、彼とミハルが野望実現のための道具にされていたことを知る。2人の境遇に共感を覚えた王は、シンボルに時間稼ぎのための連絡を取り、その間に2人を東京へ逃がしてやろうとする。だがシンボルの評議員メスは王の意図に勘づき、米軍を動かしてミハルを捕獲しようと画策。ユウシロウとミハルを乗せた船は米軍対テロ部隊の襲撃を受け、ミハルはシンボルの手に落ち、王も射殺されてしまう。その頃、アメリカが穀物の輸出停止を発表すると知った広川は、首相に暴動鎮圧の予備措置として特自部隊の配備を了承させていた。そして、穀物モラトリアムの発表と同時に三ヶ月間の経済統制令と、一週間の夜間外出禁止令が国内に一斉発動される。それは事実上の戒厳令だった。
TA中隊に戻った速川は、西田に協力するという自分の決断を部下たちに伝える。速川について行くか否か、中隊の隊員たちもそれぞれの決断を迫られる。結局、全員が速川についていく事を決め、TA中隊は国会議事堂の警備に当たることになる。その頃、ミハルを回収したメスは彼女が人形のように無反応であることに驚き、専門スタッフの治療を受けさせようと考えていた。そのため、保護を受けていた横田基地の司令官に輸送機の準備を指示し、ミハルをアメリカに移送するべく手配する。やがてTA中隊が警備任務に出発する時間になり、誰一人欠けることなく集合する隊員たち。TA2機の整備が遅れているため鏑木と安宅は残ることになり、他の隊員たちは東京に向けて出発する。議事堂到着したTA中隊は、早速警備任務に取りかかる。国会を出た首相の車が群衆に取り囲まれ、中隊は群衆の鎮圧を開始するが、本来守るべき民間人に武器を向けたことで、高山と北沢はパニック障害を起こす。その間に首相を乗せた車が何者かに狙撃され、首相が負傷する事態となってしまう。その頃、ようやく出発の準備に取り掛かっていた安宅の元に、一本の電話がかかってくる。それは東京に着いたユウシロウからのものだった。
首相狙撃事件を契機に政府は非常事態宣言を発令。それに伴い、特自の警備体制の強化と臨時の安全保安部の設立が決定され、広川が安全保安部の長官に就任する。そして西田も豪和本社にこもり、寝食も取らずに情報の分析に当たる。一方、安宅や鏑木と合流したユウシロウは、ミハルがシンボルのパイロットであり、米軍に連れ去られてしまったことを話す。鏑木と安宅はミハルの奪還に協力することを決め、村井に頼んで首相狙撃犯がミハルのいる横田基地に潜伏しているという偽情報を流させる。その頃、ファントムから指示を受けたメスは、輸送機に積み込まれているMFのプロトタイプ機と回収したミハルを、シンボルジャパンのメインコテージに送り届けるべく手配をしていた。そこへユウシロウたちのトランスポーターが横田基地へ突入。ユウシロウは震電で出撃すると、単身ミハルの元へと走る。だが、米軍のF-22戦闘機が離陸して、ユウシロウが乗る震電を攻撃。機関砲弾が被弾し、ユウシロウ機は大きなダメージを負う。だが、追いつめられたユウシロウはここで超人的な戦闘能力を発揮。激戦の末に戦闘機を撃墜するが、その間にミハルはヘリで連れ去られ、ミハル奪還は失敗に終わる。
ユウシロウは医務室へと運び込まれるが、そっと抜け出して一清の元へと向かう。野望のためなら人の悲しみなど意に介さない一清に、ユウシロウは強く反発。そんなユウシロウに一清は、41時間以内に米軍の攻撃が開始されるであろうと告げる。一方、西田はシンボルのCEOファントムとの会談に臨む。西田は食糧という最終手段に訴えてきた米国のやり口を強く批判。その報復措置として、日本の金融資産20兆ドルを使って米国経済を破綻に追い込もうと準備していた。しかしそれは、日本経済をも破綻に追い込む諸刃の剣。そう指摘するファントムに、西田は日本を貧しくし、発展の幻想を取り去ることが真の目的であることを明らかにする。ファントムは西田の理想を美しいと評しつつも、両者は相容れることなく会談は終了する。一方、横田基地襲撃の責任に関して、安宅と鏑木、速川隊長は自分こそが責任を引き受けようとする。だが、米軍MF部隊による攻撃が差し迫ったいま、TA中隊を失うわけにはいかない。広川は自分の責任において横田基地襲撃を不問とし、TA中隊を保安局の直接指揮下に入れた。そしてユウシロウもTA中隊に復帰する。その頃豪和総研では、ユウシロウがいないにも関わらず骨嵬とTAに機能相転移が発生。驚いた清継が骨嵬の様子を見に行くと、そこには美鈴の姿があった。
米国は日本が経済攻撃をはじめる前に、中枢への軍事攻撃を行うことを決断する。だがそれには、日本の中枢部がどこにあるかを突き止めなければならない。そのためにMFを市ヶ谷駐屯地に突入させて反応を見ることにするが、その裏にはミハルとユウシロウを接触させようとするファントムの思惑があった。ミハルに親心を抱くメスはファントムの指示に躊躇するが、ファントムは研究主任のギュンターを送り込み、計画を遂行させる。やがて、市ヶ谷駐屯地にミハルを乗せたMFが侵入。守備隊からの激しい銃撃を受けてミハルの心拍数は上昇し、やがて上空に特異点が発生する。警戒任務に当たっていたユウシロウは、なにが起きようとしているのかを察してミハルの元へ急行。心を閉ざし、戦う存在としての運命に身を任せようとしていたミハルは、ユウシロウの呼びかけで心を取り戻す。ミハルが心を取り戻したことで特異点は消失。降臨しようとしていた餓沙羅は、白い塊を残して去っていった。戦闘は収束したものの、ミハルはすぐにユウシロウの元へは戻ろうとはせず、まだ自分にはやらなければならない事があると告げる。ミハルは必ず帰ってくることをユウシロウに約束して、シンボルの元へと帰還する。
日本の中枢となった豪和本社ビルを制圧するべく、ついに米軍はMF部隊を送り込む。そこに立ち塞がるのはユウシロウたちTA中隊。豪和ビルの内部という限定された空間で、両者一歩も引くことのない激戦が展開される。電磁レールガンを装備した米軍のMFにTA中隊は苦戦し、ユウシロウ機も脚部を損傷。さらに指揮車両とのデータリンクも絶たれ、さらに安宅機も被弾する。窮地に追い込まれるTA中隊だが、そのときユウシロウがメンタルバーストを発生。ユウシロウ機の人工筋肉が敵MFの人工筋肉を取り込み、敵MFは沈黙する。結局この戦闘はTA中隊の勝利に終わり、米軍の攻撃計画は失敗。米国大統領は全面攻撃を主張する閣僚たちを抑え、穀物モラトリアムの即時停止を決断する。覇権主義を捨てた米国の決断に呼応し、西田も経済攻撃計画を停止。大統領からのホットラインを受けた西田は「この戦いに勝者も敗者もない」と伝え、両者は互いに理解を示して和解する。だが、戦いは始めるよりも終わらせることの方がはるかに難しい。西田は自らの命と引き替えに今回の事態を収拾しようと決意し、自害して果てる。一方、ミハルはシンボルから去るという決断をメスに伝え、メスは一抹のさびしさを感じながらもミハルを送り出す。
究極の破壊を求める一清は、美鈴を嵬としてガサラキを呼び寄せようとする。骨嵬の前に立たされた美鈴は、骨嵬の中に死んだ兄の記憶が生きていると聞いて、嵬として覚醒するのだった。そこにユウシロウとミハル、そして乃三郎が駆けつけ、トランス状態に入った美鈴を呼び戻そうとする。乃三郎の呼びかけで美鈴はトランス状態を脱しかけるが、野望の邪魔をさせまいと一清が乃三郎を射殺。美鈴の悲しみとユウシロウたちの怒りがガサラキを呼び、美鈴とユウシロウ、ミハル、一清、そしてファントムは、光の粒子となって特異点に飲み込まれる。5人が飲み込まれた特異点の内部では、かつて栄えた知的生命が彼らのことを待っていた。永遠の生命を夢見たその知的生命たちは、文明が生命のあり方も変えられるとの妄想に取り憑かれ、その結果自滅の道を辿った。そのため、生命力に溢れた地球人に遺伝子操作を加え、自分たちの後継者として「永遠の命」解明の夢を託したのだった。全てを知ったユウシロウとミハルは、美鈴と共に帰還を望み、ファントムは二千年来の「生」からの解放を望んで消滅。一清は空間に留まることを願った。みんなのところへに戻ってきたユウシロウ、ミハル、美鈴。3人は特自の仲間や残された人々と共に、限りある命を生きてゆく。