垂直落下式サミング

ゆびさきと恋々の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゆびさきと恋々(2024年製作のアニメ)
4.0
一話で心つかまれちゃった。
クライマックスの過剰にも思える主人公・雪のぶりっこ仕草。最初は違和感があったけれど、耳が聴こえない彼女にとっては、ボディランゲージはごく身近な手段なんだと思う。今日はおめかししてよそ行きモードだったのに、嬉しすぎて感情が止まんなくなっちゃったのかな。そういえば、ふだん手話をもちいる関係上、聴覚障害者の人たちは表情豊かな人が多いような。
それに、ここぞってとき相手にキチンと想いを伝えて表現しなきゃなんないのは、健常者だろうがなんだろうが関係なく重要なこと。意中の相手に、どうやってアピールするかって、そういうしたたかさも。
音を感じることができないから、雪は言葉ではなく身体全体で表現する。逸臣に向かってとび跳ねるように手を振って、しっかりと喜びを伝える。
手を繋ぐ。指を触れる。肌と肌の境目を触れあわせて相手を感じるということの意味は、雪にとって普通の人よりも重い。すごくいいです。清い心でデュフりたい。
必見なのは一話のバーのところ。面と向かって自分にむけられた言葉しかハッキリとわからないから、店内がガヤガヤしてくると途端に疎外感を増していく雪。胸がチクチクな心理描写。連絡先も聞けずに落ち込む。だからこそ、このあとの二人きりの夜道での急接近にときめく。かわいくてやさしい。この物語が最後までノンストレスであってほしい。