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ヴァイオレット・エヴァーガーデンのyuuuumiのレビュー・感想・評価

4.5
自動手記人形を職業とすることになるヴァイオレット。
ギルベルト少佐からの言葉『愛してる』の意味を知りたくて、感情を持たない少女が愛を知るまでの閉ざした心を解放していく物語。

手紙を代筆する能力を得るためにさまざまな出会いや人の感情に触れていくことになるヴァイオレット。
戦争を体験し、なくした両腕の後の義手がとても機械的に感じ、その機械的さと同じような感情しか持ち合わせていないように感じた最初の印象のヴァイオレット。

ヴァイオレットの綴る手紙は事務的で機械のように感情がなく、本来の手紙の目的である、『人の心や胸の奥に見え隠れする溢れる感情』を表現できず、手紙と呼べない手紙を綴るドール学校での出来事。心の中にある気付かない気持ちを読み取り、心震わす気持ちを書けるようになっていくのか気になりました。

初めて書いたヴァイオレットの手紙の中には一言『嬉しい、ありがとう』という短いながらも伝わる気持ち。回を重ねる毎にたくさん触れる愛してるとの出会い。
回を重ねる毎に素敵な気持ちを綴るヴァイオレットに、機械的に感じていたタイプを打つ音が心地良く感じ出し、あのカタカタという言葉を紡ぐ音をもっと聞いていたいと感じました。

ギルベルトとの回想シーンでは恐ろしい戦争、戦闘描写もあり、消せない過去と葛藤するけど、ヴァイオレットがドールとして出会った人達からの依頼で綴った手紙も消せない事実。様々な経験をしていく事で理解できなかった気持ちを理解しヴァイオレットが初めて涙する場面では私も涙。『愛する人はずっと見守っている』という言葉は切ない。

手紙というツールはやはり素敵で、人の心の隙間を埋めてくれる贈り物だと感じます。
言葉で伝えられない事も、手紙だと伝えられてしまう素敵な余韻を残してくれるアイテム。
この作品、ヨーロッパ風の建物や景色も素敵に描かれていて、琴線に触れる素敵な作品です。
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