明宏

オビ=ワン・ケノービの明宏のネタバレレビュー・内容・結末

オビ=ワン・ケノービ(2021年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

(BBY11)
シリーズ通して良かったところ。
乖離してたアナキンとベイダーのイメージを一致させたという点。
後はファンサービスという意味でもユアンとヘイデンの配役は喜ばしいだろうなってところかな
レイアの周辺の撮影や演出は撮ってる側の意図通りに伝わってるんじゃないか。オルデランはかなり新鮮なイメージで良かった。
ラストの両親を知っているとオビ=ワンに伝えられた時の表情筋のひくつきが子役とは思えない演技でおどろく。

それ以外はつまらなかった。脚本・演出・撮影・編集の殆どがダメだが、自分は脚本が殊更ダメだったように思う。大尋問官が生きてたり、重症のオビワンが翌週バクタタンクでピンピンしてたり、やられたサードシスターも元気にタトゥイーンに向かったり、最終回の対決で負けたベイダーも数分後に綺麗なマスクで普通に出てきたりと、自分達が書いてる物語を大事に扱えてない。勝っても負けてもすぐ戻って来れるんだな〜と思うと冷めちゃうし対決がどうでも良くなる。
別に『反乱者たち』なんて気にせずに大尋問官は死ねばいいし、エピソード4以降とか気にせずにダースベイダーとか死ねばいいと思う笑 オビワンには2週くらいバクタタンクで寝てもらってその間、偽ジェダイとレイアのこどおじ(こどもとおじさんのロードムービー)やっとればええやん。制約が多いせいでこんなしょうもない脚本になっちゃうんじゃ本末転倒じゃん。
サードシスターのプロットも全然わからず。アナキンにジェダイイニシエイト時代の仲間が殺されたからと言って、正義と称して息子のルークを殺そうとするっていう思考回路にならないと思うんだけど。そもそもタトゥイーンいく元気あるならもっかいベイダーに挑むっしょ。やたらオビ=ワンに執着してたのも謎。オビ=ワン、アナキン、ルーク、レイアの4人以外でドラマオリジナルのプロットが必要なのは間違いないが、サードシスターのプロットを整理しないままぶっ込んじゃって、撮ってる側もよくわかってないけど取り敢えずドラマチックに撮ったんだと思う。
ペドロ・パスカル主演のマンダロリアンが大成功してるから一概に言えないけど、ジョン・ボイエガやオスカー・アイザックみたいに形式的にマイノリティキャスティングして重要な役回りに見せてるけど全然活かせないってのは結構問題のある態度なんじゃないかな。脚本家のジョビー・ハロルドって人もパッとしないフィルモグラフィだし。
ベイダー戦も待望のユアンとヘイデンをキャスティングしている以上中盤と終盤に一回ずつ直接対決シーンを入れねばという興行勘でぶっ込んだが、撮ってる側も必然性が見つけられないまま撮らざるを得ず、特に演出もなくヌルッと始まって後は俳優の演技と台詞のドラマチックさに頼るだけという撮り方に……
その点で言うなら第5話の間接的な2人の対決の語り方は「地味だが工夫があり誠実」だったと思う。
こういうファンダムに期待されることが多い映画こそ、脚本を誠実に練って、スクリプトドクター的な人にもちゃんと読んでもらってから撮るべき(当たり前すぎるけど。どーせやってないんだもん笑)。このキャスティングだったら絶対に美味しいファンサービスになる…その誘惑の一方で3〜4の間のオビワンとアナキンの物語を新たに書く意味を見つけなければいけないという難しすぎる題材の狭間で、まあ今のディズニースターウォーズだったらこうなっちゃうよねというある意味期待通りのドラマだった。
ただこれでマーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、ハリソン・フォード、ヘイデン・クリステンセン、ユアン・マクレガーとルーカス時代の遺産を石油のように使い果たしたので、むしろこっからSW面白くなるかも笑

サードシスターのリーヴァなんだけど、ジェダイの修行をしてきて、暗黒面に落ちたアナキンに仲間皆殺しにされて、そこから復讐を誓って身分を隠してベイダーの部下になって、ジェダイ狩りをする側になった。そういう複雑な背景を持つキャラクターを生かしてドラマを誠実に作るとしたらどんな物語になっていたのかってのはちょっと考えてみたい。終盤の「私はあいつと同じなのかな?」みたいな台詞も、深い意味を持たせられた気がする。

以下各話見た直後の感想。
ep.1
オーダー66からスタート。マンダロリアンでもグローグーの記憶で一瞬出てきたけど、ここではしっかり描かれている。MCUで言うところの指パッチンだ。悪夢の共通体験。
オビワン、オーガナ、ルーク、レイアともうエピソード3のそのまま続編だね。一方、敵のキャラは1人も分からず。あの直情的なライトセーバーの女はなぜオビワンに執着を?この、長編を複数の話に分割する型のドラマでちゃんと面白くなるのだろうか…
レイア微笑ましい。

ep.2
マンダロリアン、ボバフェットはオリジナルライクな世界だったのに対し、オビ=ワン(ユアン)はプリクエルを横断してきたキャラなのでこう言った都市が舞台になる?クローンウォーズでたっぷりプリクエル世界に浸かったので、シスから逃げるジェダイと都市というモチーフはかなりドキドキしてみれる。
けど、まだストーリーが面白くなるのかに関しては保留かな…
サードシスターのアクロバットやオビワンのフォースのシーン等、見せ方がしょぼいというか貧乏くさい。撮影と編集かな。
こどおじ映画(友人の造語。子供とおじさんが絆を深め合うロードムービー。『ラストオブアス』『マンダロリアン』他)をやるシリーズ?と思うと意外な方向からのアプローチだが、まあ次回以降レイア出ない可能性もあるっちゃあるから様子見ですね。

ep.3
オビワンが囮になると言って出て行ってからベイダーを誘導して、実際にライトセーバー戦になるあたりの編集がかなりファンムービーっぽい。戦隊ヒーローものみたいなロケーションといい、とてもチープ、台詞も足りてないというかリアリティが感じられず……ここが1番面白くなるべきところだと思うが。後半でどうにかなるのかなあ

ep.4
サードシスターはなんでこんなに1人で暴走してるのかな。そもそも元ジェダイなんだよね?その秘密は残り2話でわかる?
救出劇としても、アクション映画としてもどれをとってもテンポが悪い。真新しさもなく。脚本と演出それぞれに悪いところがあるけど、脚本と演出の意図が噛み合ってないのでさらにダメ。

ep.5
オビ=ワンとベイダーの間接的な対決の間に修行時代のシーンを差し込んで心理的な繋がりを見せる演出は少なくともこのエピソード単独で見る分には誠実で良いと思う。ただ、この演出って良くも悪くも小説やコミックで使われる語り方で、ちょっとスケールダウンして見えちゃう。この辺は好み分かれるかな〜オビ=ワンとアナキンが好きであれば嬉しいし楽しいはず。
(余計な話だが、ファンタスティックビースト3は世間の期待に反して地味なプロットで評価が低いが、"誠実で、語り口に工夫がある"という一点で俺は高く評価しておりその構図に似ていると思う。あれも「映画でわざわざやらんでも…」みたいな話である一方、小説とかコミックで好事家が読んでる分には楽しい話のはずなんだよね。)
ヘイデンの顔出しに脚本上意味を持たせるための苦肉のエピソードだっただろうことが窺える笑

オビ=ワン一行の逃亡後はサードシスターの思考と感情の整理が出来てないまま、「大尋問官復活」「ベイダーとの対決」「瀕死のサードシスター次なる目標の発見」と惰性で書いたとしか思えない空の脚本となり、バトルの撮影のかったるさダサさも相まってテンション激落ち君……どうなっちゃうの最終回⁉︎
明宏

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