こんなに最終回が名残惜しい作品もあまりない。
ゼンカイジャーといえば、
そもそも主人公・介人以外、全員人外で、
シームレスにそのまま巨大化して、合体する戦隊の当たり前をぶっ壊して、とにかくエポック。
そして、全力全開、大真面目にバカをやっている。
漫画化されても普通に戦ったり、向かい風を操る相手には後ろ走りで対抗し、
巨大戦では大根おろしを添えたり、麺の素晴らしさを説いて勝利する。
あと、とにかくトンチキな敵が多い。
柏餅中毒にさせるカシワモチワルドだったり、
365日、休みにして感謝されるバカンスワルドとか。
毎回ふざけまくっているのに
行方不明の両親や、敵であるステイシーとか
縦軸はいつも丁寧に描く。
あと、物語の中で主要キャラの成長を描く時、決して変に性格を捻じ曲げず、
まわりが決して否定せず、受容し、それによって本人も変わっていく。
特に介人は占いが下手でもそれが好きというマジーヌの気持ちを肯定するし、
海賊行為を働くゾックスでさえ、肯定しつつ自分たちの世界との落としどころを見つける。
全力全肯定型主人公。
世界の多様性や分断の時代への
アンサーを軽やかに描いていて、実は非常に繊細なことをやっている。
特に神様とのラストバトル、じゃんけんで決着をつける訳だけど、
世界を閉じる「グー」ではなく、世界を開く「パー」で勝つのがとてもいい。
勝負方法と勝ち方が作品テーマとリンクしているのオタクがエモ死するやつだよ…泣。
「戦隊とはかくあるべき」みたいな大前提を尽く問い直し、
「スーパー戦隊」そして世界の凸凹の愛おしさを体現した忘れがたき戦隊。