面白い終わり方。さりげなく、当たり前なカップルの姿。これが結局、幸せの最上級の形で、この作品をとおして見せたかった、当たり前の幸せが当たり前でないということなのかもしれない。
「ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた」という不思議なタイトルに、はじめは滅亡って何。死神や死じゃなく、滅亡とは、と違和感があったが、全体をとおして見ると、たしかに滅亡としか言い表せない。
どっちを選択してもサッドエンディングになるのを、どう締めくくるのか、確かめる気持ちで見ていたが、ほぼ視聴者全員が予想する流れで終わったといえる。
パクボヨンは、ラブコメクイーンらしいボブリーな姿に加えて、内面を削り出すようなシリアスで見るのも辛い弱い姿まで、完全に無双していて、作品を引っ張っていた。
正直、徐々に重いシーンも多くなり、次話を見るのにこちらの気持ちが整わないということもあったが、パクボヨンがいたから、パクボヨンだったからこそ、何とか期待を持ち続けて最後まで見ることができた。
別の女優さんだったら、途中で諦めていたようにも思う。それくらい、パクボヨンの魅力は大きい。明るく冗談ばかり言っている彼女が見せる1人の人間としての素の姿は、見てはいけないような気がするくらい、懸命に生きる人間らしい姿だった。
ソイングクは、とにかく髪型が今までで一番似合っていた。青みがかったシャイニーで、アッシュという絶妙な髪色に、サイドを刈り上げて、襟足は少し長めに残すセンター分けの髪型は時代を選ばない普遍的なかっこよさだ。
演技も問題なく、人間ではない超越した存在という役柄にうまくハマっていた。
少しややこしい部分もあり、弛むところもあったが、周りのキャラクターたちの人間関係や恋愛なども手伝って、総合力でちゃんと勝負できたのは素晴らしい。パクボヨンとソイングクだけでは、さすがに24話の最後まで作品は引っ張れない。
DVDレンタル12巻分で計1200円。レイトショー1回分の値段でこのボリューム、生と死のぶつかり合いの中で描かれる大事なメッセージを得られるなら、価値は十分すぎるほどあった。
大事なことは、時間が解決するのを待つのではなく、あなたが勇気を出せるかどうかだ。