こころとからだ

うっかり拾った恋なのにのこころとからだのレビュー・感想・評価

うっかり拾った恋なのに(2021年製作のドラマ)
4.3
何だかんだ楽しんで見た。ツッコミどころは多いし、甘キモシーン満載だが、サスペンス的な要素が軸になっており、そのピリ辛スパイスがあったため最後まで飽きずに見られた。

とりかく、リンユエという主人公男性の顔や性格、すべてが個人的にタイプでなく、幸せを願う気になれないのが、視聴するうえでまず乗り越えなければならない壁だった。

これまでの中国人っぽい感じではなく、ドイツと中国のハーフのような見た目が、とっつきにくく、身長は高いけど全然かっこよくない。何とか最後の方でようやく慣れたが、時間がかかった。

最初からリンユエをかっこいいと思える人であれば、苦なくこのドラマを楽しめる素地はある。

早い段階で、主人公のアンシンとリンユエが好意を持ち、付き合うので、2人の恋が実るのをドラマ全24話をとおして見守るという作品ではない。

そして、さらに核となるささいな疑問と意外な黒幕のおかげで、最後の方になればなるほど面白さは加速する。

本作、残念ながらそれに気づかず、ありきたりな恋愛ドラマと思い、途中で離脱する人が多そうだが、実は違う。このドラマのタイトルや雰囲気で、最後、こんな展開が待っているとは誰も予想しないだろう。

逆に言うと、最初の頃の2人が何も知らず、アンシンの部屋で過ごしている頃のドキドキ感がずっと見たかったのに、途中から複雑になり、つまらなくなったという人もいるだろう。

アンシンとリンユエがメインだが、恐らく多くの人が実はシンアルとリンションの関係にこそ共感し、感動するのでは。私はそうだ。

長い時間待つことは、やはり無駄ではなかったんだと思う。むしろその道筋と努力があって、ようやく実ったと考えた方がいい。

最後の電話越しのシンアルの「待たせないで」という台詞には、色んな想像の余地がある。ずっとシンアル派でいて、信じてきて良かったと思えた。

また、大事なラストシーンで受け入れるときのアンシンの「没问题」の言い方、間もすごく良かった。仰々しく大袈裟でなく、とてもリアルな感じで、ああ、ここからまた始まるし、続いていくんだなと、結婚ってこういうことなのかとふと思った。

チャオルースーは韓国の国民の初恋ことmissAのスジに似ているから、人民の初恋と言ってもいいだろう。

多くの日本人は恋人からのサプライズは苦手だと思うが、サプライズこそやはり愛の大きさだと分かった。女性側も大事にされていると思えるし、相手を信じることができ、私も彼を愛していいんだと思える。

これからは、何もしない、愛の言葉も口にしない。けど、愛してる、なんて誰が言うてんねん。と思うだろう。好きな人に、好きだという思いを見える形にして伝える努力をすることはマストである。

「サプライズ」という表現だから「驚き」ということで不要論が出てしまうが、相手への想いの強さを伝えるには、いわゆるサプライズという方法になるしかない。

1話1話、常に感情の起伏が大きく、うまくいってたら喧嘩して、事件が起き、ずっとそばにいると言ったそばからまた離れてというような、とにかく見ていて疲れる部分もあった。

それを見ごたえととるか、重さに捉えるかは人それぞれでいいと思う。とりあえず、制作側の見てる人を飽きさせない、とにかくときめきとイベントと伏線をバンバン入れていこうというエンタメ精神の意気込みは感じた。