こころとからだ

テバク不動産のこころとからだのレビュー・感想・評価

テバク不動産(2021年製作のドラマ)
3.9
序盤から一気にどんどん面白くなっていったが、最後に少し勢いが落ちてしまったのが残念。ただ、十分楽しめたし、大好きな作品と言える。

コメディとシリアスの両方を含む、韓国版ゴーストバスターズといえるが、最後までコメディもしっかり描ければ、もっと厚みが出たように思う。

シリアスだけで勝負したくなった気持ちも分かる。しっかりと時間をかけてフリを溜めてきたので、そちらに照準を絞り、下手な笑いで緊張の糸を緩ませまいという意図も感じた。ここは好み次第といえよう。

いつかの結婚相談所のチャンナラとはまったく真逆のシックでクールで、どこか不気味な役は、さながらアダムスファミリーのキャラクターのようで、これまで見たことのない役柄だった。だが、似合う。

ある程度、リアルにいい年齢になったチャンナラにとって無理のない、とても魅力的な役だったと思う。演技の幅も広がり、こういった闇を抱える役も見事に似合うことを証明した。もちろん、コメディは抜群だし、もっとニヤッと笑えるシーンも見たかった。

ジョンヨンファも久しぶりにドラマで見たが、最初は老けて、オーラも消えてしまったのに、まだイケメン役をやってて無理があると思ったが、徐々に見慣れてきたのか、役に馴染んできたのか、こちらも年相応に魅力的に感じられた。

詐欺師からどんどんただのいいやつになってしまい、それはそれでもったいない感じもした。序盤のいつ裏切るか、余計なことをするか分からないキャラクター要素は持っていた方が、もっとドラマをかき回せたのでは。最後にはいちばん従順な脚本家の犬のようになってしまい残念。

ただ、意外にも恋愛要素がゼロだったのには驚いた。妙齢のシングル男女が主人公で、何も起こらないというスタイルはむしろ初めて見たかもしれない。

普段なら恋愛要素不要論者であるが、この作品に関してはもう少しあっても面白かったかもしれない。どちらか一方的でもいいので。まあ、今回は巫女さんよろしくインボムが童貞ということだったので、それに配慮したのかもしれない。経験してしまったら、もう霊媒師のパートナーとして務まらないからな。手を握り、優しく抱きしめ、ドライブや飯に誘うまでにしとこう。

最終回は、ゆっくりと一旦幕を下ろしてから、一年後と余裕のある締め方も良かった。かっこつけたダサいラストシーンだったが、ゴーストバスターズのオマージュのようで、これもこの作品らしくて好きだ。

幽霊に対するアプローチも割と新鮮で、ずっと寒い場所に閉じ込められる、決まった行動を取る、名前を知り憑依させてからカンザシで胸を突くなど、独自ルールも良かった。

いろんな幽霊ものの韓国ドラマを見てきたが、しっかりと幽霊退治を中心に、ハードスタイルでうまく物語を展開したと思う。