警視庁の陸の孤島、特命係。
次々と起きる不可解な事件
そして陰謀。全てのしがらみを
捨て、正義を信じ突き進む2人。
その2人を支える仲間たち。
圧倒的面白さのシリーズ第五弾!
「相棒season5」
TVシリーズも5年目を迎え、各キャラクターも定着し、人気となり、シナリオの中心に関わるケースが出始めたのこのシリーズ。サブキャラクターが活躍する場面も増え、世界観も広がっていきました。また何よりサスペンス・ミステリーとして素晴らしい元旦スペシャル「バベルの塔」そして最終回スペシャル「サザンカの咲く頃」があるのがこのシーズン。更に古沢良太さんの脚本のコメディも秀逸で、相棒世界の凄さを感じさせます。
やはり、圧倒的なサスペンスを見せてくれた最終回「サザンカの咲く頃」。公調、公安、自衛隊情報部と日本の3大スパイ組織更には官房長すら手の出せない存在が特命係と対決。陰謀と巨大組織と言う重厚さに二転三転する展開に釘付け。官房長の存在はやはり巨大…。二転三転という点では年始スペシャルの最高傑作と呼ばれた「バベルの塔〜史上最悪のカウントダウン!爆破予告ホテルの罠」で決まり。正にお手本のタイムサスペンスであり、目の離せない展開。爆弾、人質、亀山薫は名作の基本でした。
このスペシャルで捜査一課の面々も活躍するんですが、三浦さんのセリフも良かったのですが…その三浦さんが特命係を頼るのが第4話「せんみつ」。嘗て捕まえた犯人がまた捕まり…様子がおかしいから見てきてほしいと。この話、犯人平田満さんで水谷右京との演技対決も楽しめます。この話から実は三浦刑事の特命係へのあたりが柔らかくなり始めます。捜一と言えば伊丹。伊丹の剣道の師匠が殺されたのが第7話「剣聖」。右京さんの技が見れるのと伊丹が黙ってメロン置いてくのが笑える回。
この回は古沢良太さん脚本だったんですが、第16話の「イエスタデイ」が古沢良太さんらしい良いコメディ。昨日の記憶だけ失った男の足跡を追う珍しい語り口。まさかの展開からハートフルなラストと良い出来でした。このシーズン、比較的コメディ調から入る作品多くて、特に目立つのは第13話「Wの悲喜劇」。まさかのトイレの便器が壊れ、はまって餓死…。亀山薫の隣の家で起こった事件で…美和子スペシャルがレギュラー全員に振る舞われるおまけつき。コロンボ的な展開も面白かった。コロンボならぬフィリップ・マーロウが出てくるのが第10話「名探偵登場」。高橋克実さんのマーロウ矢木が初登場。人気キャラに。裏かぶりでしばらく出れずも2回復活してます。この回の解決ギミックが探偵らしくて面白い。亀山薫と美和子コンビが幽霊屋敷を買う第2話「スウィートホーム」。右京さん大好き幽霊話ゆえにこちらもコメディから入り、ラストはハートフルと言う展開でした。因みに土師っちが別役で出てます。
一見コメディかと見せかけ、シリーズ最高のギミックを見せ、ハートフルでもあるのが第3話「犯人はスズキ」。花の里女将たまきさんも巻き込まれるご近所殺人。アガサ・クリスティなみのギミックで驚きます。第18話「殺人の資格」も交換殺人のギミックが使われ、サスペンス仕立てになっていて面白かった。
サスペンスのパターンにある時効寸前と言う…タイムサスペンスが組み込まれ、事件を追う執念の刑事を描いた第8話「赤いリボンと刑事」。亀山くんの優しい嘘にのっかる右京さんが優しい回。泣けます。亀山くんの優しさが裏目に出てしまう第15話「裏切者」。嘗ての上司の警察内部の不祥事。右京の正義、そして亀山薫の正義と情が板挟みになり…泣けますね。この時も官房長は一旦立ち塞がりますが…最終回も同じくですが…第1話「杉下右京最初の事件」も官房長暗躍してますね。時効になった事件を執拗に追う右京に対し牽制をかけてくる。こちらもミステリーとして面白い回でした。亀山薫らしい優しさが見えるのが第12話「狼の行方」。やらかして狼少年になってしまったクソガキたちを最後まで信じたのが亀山薫でした。木下ほうかが放火と言う…恐ろしい回でもありました。
優しさも届かない亀山くんが理解できない犯人が登場したのが、第14話「貢ぐ女」。つまらない男に引っかかった女の悲しさを藤田朋子さんが健気に演じます。同じく女優さんが目立つ回は第17話「女王の宮殿」で大空真弓さん。ポアロ的な世界へ特命係が飛び込みます。第19話「殺人シネマ」では星由里子さんが出演。映画館、映画が好きな方にはたまらないノスタルジックな回でしたね。
今シーズンは再出演が少ない回ではあったのですが、やはり人気だったか相棒史上最大の連続殺人事件に登場した高橋一生くんが再出演する第5話「悪魔への復讐殺人」。奥貫薫さんも心理学者として再演。こちらも中々犯人が確定できないミステリーとして、心身障害で裁けない殺人犯と言う社会問題を含んだ良作でした。
再演と言えば今週シーズン23で再出演されるのが佐野史郎さん。どうやら別役らしいですが…その佐野史郎さんゲスト回第9話「殺人ワインセラー」。ワイン評論家の誇りや矜持のみえる回で右京さんの拘りシリーズにも繋がるプロフェッショナルとのコロンボ的攻防戦が楽しい回。
第6話「ツキナシ」これ…正直駄目な回と言うかギミックまずまずなんですが、演者がどうにも受け付けない…川崎麻世…。これ以外で評点してます。多分好みの問題ですわ。
総じて…官房長の特命係は亀山薫が実は動かしていると言う…名台詞からか、シーズンを追うごとに杉下右京と亀山薫の見事な相棒ぶりに感心していくわけです。また官房長の裏での暗躍ぶりが素晴らしいシーズンでしたね。やはり官房長の存在はでかい。ストーリー丸ごと実は引っ張っていたりする場合もありますからね。この世界はコメディにしてもハード系でも常に面白い。見事な世界を作り上げてるなぁとさらに感心してしまうシーズンでした。