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ハウス・オブ・ザ・ドラゴンのいののネタバレレビュー・内容・結末

ハウス・オブ・ザ・ドラゴン(2022年製作のドラマ)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

頑迷な『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンってイヤですわね(それはわたしのことです)。こっちのドラマはそこに到達できないだろうと観る前から決めつけてかかる。ゲースロの200年前だというこのドラマは膨大なナレから始まるんだけど、そんなん誰もきいてないし、そんなぺらぺら説明されたってわかんねーよ!
そーらみたことかと。いったいあなた何様なん?的態度であつかましいことこのうえない(それはわたしのことです)。なにが言いたいかというと、このドラマは劣勢からの戦いだということ。


GoTは、推しが次から次に生まれてきて箱にも収まらないくらいの推しでいっぱいになったけど、今ドラマでは推しが誕生しない。誰にも肩入れできない。王は男性がなるのが当たり前で、それは王国関係者だけがそう思ってるんじゃなくて、民もみな 王は男がなるものと思っている。そんななかで、資質は十二分に備わっているであろうレイニラが(レイニラも)王を目指すということ。これはウェスタロスの歴史に挑む戦いで、それがどれほど至難なことなのか、その困難さをわたしなりに体感した。でもわたしがレイニラに寄り添いたいという気持ちに傾いても、ドラマはそうはさせてくれない(やっぱりレイニラにも肩入れできないじゃん!←中盤くらい)


推しとは逆に、こいつだけはぜってぇ許せん!という登場人物が、GoTではこれまた次から次にうまれてきたけど、今ドラマではそういう人物も出てこない(だから本当に劣勢な戦いをこのドラマはしているんだと感じる)


でも観ながらだんだんわたしなりに見えてくる。このドラマが目指そうとしているもの。根底にあるもの。女性が主役になろうとするそれぞれの戦いも。薦めていただいて今よんでいる本(*1)のなかにある「助力者男性性+多文化主義」という話にもがっちり合っていて、今作られるべきドラマなんだとも思う。終盤、グンと面白くなってきた。鑑賞者に対してもこのドラマの内容に関しても、形勢不利な戦いを、これからどう覆すのか、楽しみにしたい。思いっきりひっくり返してほしいよ。(シーズン2を待っている間に、わたしの気持ちが頑迷者の振り出しに戻らないように。自戒を込めて記しておく)




(*1)河野真太郎『新しい声を聞くぼくたち』講談社、2022年
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