hi

海賊になった貴族 シーズン2のhiのレビュー・感想・評価

海賊になった貴族 シーズン2(2023年製作のドラマ)
4.8
首を長くして待ってた甲斐があった。
シーズン1をゆうに超えてくる面白さ。
見終わったばかりで、全然大丈夫じゃないけど己の考えをまとめるために書く。

これはシーズン1からではあるが、本作は性的マイノリティに非常に寄り添ったラブコメである。
男同士・女同士(というかあらゆる人々)の関係に誰かが水を差す流れがほとんど無いので、誰もが安心して見られる。
もちろん不健全な関係には、ちゃんと指摘してくれる仲間がいる。自分のペースで、みんなと支え合いながら、いろんなトラウマや毒を、いろんな方法でデトックスして行こう……そんなとても優しい雰囲気で包まれている。
劇中のある男のセリフを借りるなら、“海賊は、はみ出し者の居場所。そして俺たち海賊は、みんな輝いている”である(このある男がこのセリフを言うことになるのがとっても良いのだ)。
このドラマでは何度も個性的である自分を誇ることが大切なのだと訴えており、そのメッセージの真摯さに毎度胸が熱くなるのだ。

1話からノンストップで繰り広げられる、巧みなストーリーテリング。
シーズン1の切ないラストの続きからなので、シリアスな部分も多い。しかしユニークなブラックジョークと、現代社会への鋭い批判も交えつつ、愉快な仲間たちとの楽しい時間をユーモアたっぷりに描く。
トシキックマスキュリニティからの脱却はシーズン1から引き続き描かれるが、シーズン2ではさらに深い段階へ踏み込みパワーアップ。
さらには魅力的な新しい女性キャラクターが増え、愛すべきレズビアンカップルの活躍もたくさんある。
人間同士なので関係性は過ごした時や環境によって変化するものだし、個人の間には相容れない価値観もある。それでも誰かと一緒に過ごすことの愛おしさ、自分を愛することのできる人生の素晴らしさが、各エピソードにたっぷり詰まっていた。
つまり、見たかったものが、全部見れた。

ハラハラドキドキする1話2話や終盤も秀逸だったが、欲をかくなら5話や6話みたいなのがあと20話くらい観たかった。
キャプテン“ズ”やクルーたちを始め、登場人物の全員がさらに大好きになる。
リベンジ号のみんなの輝かしい冒険の日々よ、永遠に。
hi

hi