ぜにげば

ONE PIECEのぜにげばのネタバレレビュー・内容・結末

ONE PIECE(2023年製作のドラマ)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

やっと見ました。
面白くなかったわけじゃない。
その面白さの理由は単に原作が凄いだけでもない。
ただ、流石にもっと頑張って欲しかったというか、主な欠点が制作費が足りてない作品の欠点なのが悔しい。
Netflixで一番制作費かけてるのにどうしてこうなるのか。


~キャストについて~
キャストは良い!めっちゃ良い!
個人的にマキノ、ベックマン、くいな、コウシロウ、ノジコが違うなぁって感じだけど、それ以外はほぼ全員この人しかいない!ってレベルで良い。
くいなとコウシロウに関しては血筋的に流石に看過できないかなと思う。
逆に、彼ら以外に演じさせることを考えられないだけに、老いなどを考えると今回限りだろうから、それだけに不満点を考えるとやるせない。悔しい。

イニャキから感じるトムホ感、帽子が飛ばないように押さえる感じ、めっちゃ良い!
初めでた時はサンジのゴツさに不安があったけど、見てみたらサンジが一番好きだった。
原作の時点で、漫画のキャラで一番好きなのはサンジって言えるくらいサンジが好きなんだけど、原作とは変えてきてるのにめっちゃ好きだった。
ウソップの調子者感最高。
ゾロは後述する質の低いアクションの一番の被害者ではあったけど、佇まいとかは最高!
そしてナミさんグー!!

彼らが愛おしいよ。



~アクションについて~
いや酷いね。酷い。見てられない。終わってます。
制作費に対するコスパ的な意味で言うなら、過去現在未来、A級~Z級作品、この世の全てを置き去りにして圧倒的ワースト1位だと思う。
勿論この世の全ての作品見てるわけじゃないけどさ。
コスパ的な話をしなければ今作よりも低質な作品は山ほどあるだろうけど、そういう作品たちって99%がB級の括りだろうし、もうほんとに、頑張ろうよ。
ど素人がこんなこと言って申し訳ないけど、頑張ってそれならやめた方がいい。そのレベルで酷い。

2023年、“最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズ”としてギネス記録を現在も更新中の、累計発行部数5億1000万部を超える世界最強の漫画作品ワンピース待望の実写化!
…それに対してこの出来で炎上してないの結構凄いことだけどな。
色々噛み合ってて良かったなと思う。

・過去の実写版の屍の山を見てきて皆面構えが違う
・予告の段階で「あ、アクション酷いな」って期待値鬼下がり
・恒例の尾田さんのコメントを見て受け入れ態勢に入れた

これらの要素でみんな受け入れれてるだけで、いきなりサプライズ的に公開とかだったら地球が炎の惑星に様変わりしててもおかしくないクオリティだと思います。

まあ勿論他の要素、それこそキャラクターのマッチ具合とか、これまでの実写作品に無かった良い部分も沢山あるからこそだとは思うけどね?



~演出について~
恐らく原作の漫画的な誇張を意識した被写界深度浅めのドアップローアングル(魚眼はやりすぎだと思ったんだろう)とかが個人的にあまり上手くいってないと思った。
そのせいで海の広さとかをまるで感じられない。

「なんで斧手って言うんだ?」ってセリフの後にモーガンの右手にカメラが行くシーンとかも、だったらその前にモーガンが斧を研ぐシーンを入れなきゃいいのに…と思う。
そこで初出しにした方が良い。
ルフィと見てる側で情報格差が生まれてて良くない。
こういう風に、演出意図が理解できない部分がちらほらある。



~改変について~
尾田さんが「映画じゃダメです、ドラマにしましょう」って言っててそれはその通りだけど、その割にはかなり駆け足だったのが残念。
イーストブルー編20話くらいで良かったんじゃないかな。
勿論どちらにせよリアリティラインが変わるから改変は求められるし、改変のやり方自体は相当上手かったと思うけど、それでも絶対に抑えておきたいポイントをかなり落としてたから、そこはちゃんとしてよって気持ち。
ウソップ海賊団、ドンクリーク戦、ガイモン、ナミとココヤシ村の関わり、流石に落としすぎだよ。

このまま彼らの冒険の旅は続いていくわけで、かと言って役がハマりまくってて彼らのことを愛おしいとすら思ってしまってるから作り直せとも思えない。
やっぱり悔しいって気持ちになっちゃう。



~強さについて~
かなりの大問題だからこれ単体で立項させてもらった。
単にアクションがショボイからってわけじゃなくて、パワーバランスの描き方がどうかしてる。
強さがあってこそなんだよ。
ルフィ、雑魚海兵に苦戦して、バギーにやられて、アーロンに飛ばされて痛そうにする…なんで?気持ちよくないよ見てて。
漫画だとルフィが初めて実力で負けるのってクロコダイルなのに、最初の雑魚海兵に苦戦するのやめて欲しいわ。
迷いがあるわけでもないのに。

ゾロも弱い。不意打ちで気を失って井戸に落とされて、めちゃめちゃ苦労して登る。なんだそれ。

強さがあるからこそ、アーロンパーク編でのヨサクとジョニーの「彼らに託してくれ」感がいいんじゃん。
アイツらが勝てなかったらイーストブルーは終わりだ感がいいんじゃん。

「俺は剣術を使えねェんだコノヤロー!」
「航海術も持ってねえし、料理も作れねえし、ウソもつけねえ!」
「オイ」
「俺は助けてもらわねえと生きていけねえ自信がある!」

「─てめえに一体何が出来る?」

「お前に勝てる!」
どん!!!!!!

セリフを無くしたことも勿論ダメな改編だと思うけど、このセリフを今作には適用出来ない、そんな強さにしちゃったことはかなり罪が重い。
最後の懸賞金3000万ベリーも気持ちよくない。
信念の次に揺るがしちゃダメだよこの強さは。
彼らが弱く見えると少数精鋭じゃなくてただの少人数になっちゃって、その分グランドラインもイーストブルーもしょぼく思える。
作品全体のパワーバランスに関わる問題だよ。

シャンクスが四皇って言わないのも理解できない。
あそこ一番嬉しいところじゃん!
ヤソップって凄いんだ!ってなるところじゃん!

頑張ってよ…
次のシーズン頼むよ…
ていうかこの先インフレが進む中この技術のままだったら、よりダサく見えるとかいう次元じゃなくて、本当に描く事が不可能になるから、絶対に頼む。



~世界観~
独特の雰囲気は凄く良かったと思う。
序盤こそ世界が狭く見えはしたけど、奇妙でちょっと怖いけど魅力的で、ワンピースの実写の理想的な雰囲気だったと思う。
初見の人とかなんだこれ!?って感じだろうな。

海外が作ってるから仕方ないけど、ヤクザ映画的な部分での良さが消えてるのは残念だったかな。
仁義とか筋みたいなもんが無くなるのが僕としては一番許せない。
その点サンジとゼフが救ってくれた。
彼らのやりとりがなかったら憤慨してた。



~総括~
本来実写版てのは原作に詳しければ詳しいほど比例して怒りが湧いてくるものだと思うけど、今作は綺麗に比例はしてないなと言う印象でそこが面白いと思った。
気になる所は言い始めたらキリがないし、アクション部分に関しては絶対に次シーズン以降改善しなければならないと思うけど、総じて、今までの実写作品とは一線を画す独特な作品ではあったと思う。
アクションがMCUくらいのクオリティになってくれたら、本来なら許されない改編だったとしても、ただの“違い”として楽しめると思うから、原作と対等に比較できる作品にはのし上がって欲しい。

面白かったけど、もっと頑張れ。

スコア難しすぎる。4.0以上上げるのは無い。
2点台は低すぎるような…うーん…最後まで見てる時点でなぁ…うーん…。
てことで3.1。

今作は果たして成功なのか失敗なのか、結論は出ない。


2023/09/29 追記
お金のかけ所の殆どが小ネタな気がする。
好きすぎてダメなことしてない?
小ネタに気づける人はアクションに不満を持つ暇すらないのかもな。
濃い原作ファンほど、小ネタにキャパシティを割いて不満を持つ余裕がなくなって今作に対する評価上がりそう。
それって本質を見失ってませんかね。
妄想でしかないけど。

2023/12/29追記
ダサいと思ってた3話の碁石のクソダサい演出、あれ多分「ポケットのコインそれとyou wanna be my friend」のオマージュか。
くっっっそだぜえな!
学生時代にそういう繋げ方に憧れて作った感が凄まじい。
ぜにげば

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