ねまる

ガンニバルのねまるのレビュー・感想・評価

ガンニバル(2022年製作のドラマ)
4.3
映像、音楽、役者がバシッと揃う事で、ワンカットワンカットが締まる。
緑が青々と茂り、澄んだ水の流れる村に、不穏な空気が漂う。
この絵力の強さは、他の国内ドラマと何が違うのだろう。ストーリーが面白い、セリフが面白い、そんなことを超越する1シーン1シーンのクオリティの高さ。
海外ドラマの満足度に近い作品。
本当に毎週楽しみでした。シーズン2をお待ちしています。

一つの疑念から始まるストーリー。
ある村では、人を食っている。

その疑念を追っていく駐在こと主人公。
今思えば、村の人からずっと役職名"駐在"と呼ばれるのにも意味があったのかもしれない。村の秘密を共有する住人ではなく、警戒すべき対象・他人だから。

この話が他のスリラーと違うのは、主人公自身がおっかない人だと言うこと。主人公阿川大悟自身の性格や過去に言及される箇所が挿入されるからこそ、主人公の目線に自分を合わせず、主人公、その家族、村人、後藤家、恵介などそれぞれのキャラクター一人一人にまでピントが合う。

海外でこのドラマが紹介される時、Cannes Youngest Best Actor Yuya Yagiraとなっていて、世界基準を実感させられた。
是非世界にも知られて欲しい。

そんな柳楽優弥が食われるかと思ったと語っていたのは(物理的にではなく、役としてという意味で)私の中では無双な人である柳楽優弥が食われるわけがないと思っていたが、なるほど納得だった。
主人公以外にもピントが合う瞬間があるからこそ、そちらに傾きそうになる。
逆に言うと、このおっかな主人公でも、この物語の真相を追う者、主演然としていられるのは柳楽優弥だからこそなのだと思う。

ところで、柳楽優弥の目力には惚れ込んだ上で、今回ピントが合っちゃったキャラクターは後藤恵介。
後藤恵介が後藤家の当主になるまでの話が、このドラマのもう一つのストーリーラインであることは、監督も話していた通り。後藤家という疑念の対象の存在で、怪しく何を考えているか分からないようにもみえながら、次期当主たるカリスマ性と、後藤家を背負っていく覚悟、少しの葛藤が全部見えた。
特に過去が一部明かされた後では、恵介の心の内を覗きたくて、観たくて、夢中になった。笠松将くん、ほんと出来る子。

お願いディズニーさん、ここで終わりにしないで。
ねまる

ねまる