ねまる

大奥 Season2のねまるのネタバレレビュー・内容・結末

大奥 Season2(2023年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

医療編
赤面疱瘡を治すという目的のもと平賀源内、田沼意次ら歴史上のスターたちが奔走する、シーズン2の始まりは、シーズン1の頃のドロドロとは少し別世界で、コロナを経た現代にエンターテイメントとして楽しませてくれたし、
その後の家斉を巡る部分では、大奥らしいドロドロも復活して、それが男女逆転なのに、立場が弱い側のエンパワメントになってるのが興奮した。

村雨さんを巡る胸熱な展開から一気に絶望を叩きつけるところに、再来年の文化系大河でも甘やかしてはくれないだろうという怖さもね。
鈴木杏って凄い女優だなっていうのはそりゃ知ってたことだけど、他の人たちも含め役者の生かし方がとっっっっても上手い!!全員が他の番組で見た芝居とは違った顔を見せてくれる。役者好きにとってはこんなにありがたいことがあるか。

中村蒼が男を増やして、女と平等にって、初めて自らの意思で母に背いて熊痘を始めるところも逆から描いても男女の平等を謳ってるのが最高だし、その変化を嫌がる人の描き方や、立場が変わっていくこれからが楽しみになる。

幕末編

家定と阿部正弘が良すぎて、号泣案件。
愛希れいかを初めてだったのと、こんな瀧内久美観たことなかった。あなたの身代わりになること、それで自分の人生を物語にできた、って表現。そんなの初めて聞いた。鳥肌が立った。
家光編以来のおかえり福士蒼汰の、何考えてるか分からないけど底なしの暖かさ。
優しさも嬉しさも、そして残酷ささえも受け止めるあの微笑みに、福士蒼汰の底力を知りました。
時計のシーン良かったなぁ。

岸井ゆきの和宮。京言葉で口悪く泣きながら亡き家茂への想いを語るシーンの辛さ。家定公も家茂公も、太陽のような笑顔で周りを照らす人たちだったから、周りのメンタルが持たないのよ。
そして、仲間由紀恵とはまた違う悪役枠の大東駿介。こんなに汚い慶喜も珍しいというか、心の底から湧いてくる腹立たしさ。ちょっと懐かしくもある。

代々女が治めてきた恥ずかしい国、だなんて和宮や天璋院、瀧山が思うはずないんだ。
家定、家茂、そしてそれより前、家光から続いてきた徳川家。家光から視聴者もずっと見守ってきたからこそ、誇らしく思える女が守った江戸の町。
史実はそうではないことが、歯痒くもあるのだけど、そうかもしれないという希望を残した表現であったことに安心した。
2023年1年の始まりと終わりを繋いだ神ドラマ。
今だからこそのこの力強い物語が多くの人に観られればいいなと思う。
ねまる

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