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ミズ・マーベルのSQURのネタバレレビュー・内容・結末

ミズ・マーベル(2022年製作のドラマ)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

脚本が下手。
予告編を見て、「これはきっと最高のマーベル作品になるに違いない!」とときめいた私の期待を返してほしい。マーベルの歴代のヒーローたちを比べて、自分に対してコンプレックスを抱いていた女の子が、ヒーローになっていく話、だとあの予告をみたら誰だって思うと思うのだが、実際はそういった話には全くなっていない。
白人以外の女の子ヒーローを描くからといって、必ずしも偏見やコンプレックスをテーマにしなくてはいけないとは思わないのだけど、それにしてももう少し何かやりようがあったように思う。

3話まではスローペースでスケールの小さい話ながらまだ丁寧な話運びをしていた。しかし4話からだんだんとおかしくなっていく。学校の友人たちとの、友情や恋愛などの葛藤を主題に据えつつ、ヒーローになるとは、といったテーマを扱っていく流れだったのだが、4話になると急に今までの友達や恋愛などの話をほっぽり出してカラチに飛び立つ。どういうことなんだ……。
おそらく、インドとパキスタンの間にある国境や宗教などの歴史的問題を取り入れたかったのだろうとは思うのだが、それが主人公カマラのアイデンティティの問題の中でうまく融合できておらず、ドラマが断絶してしまっている。もしも歴史的問題を扱いたいのであれば、インドやパキスタンをはじめから舞台にするべきだっただろう。なぜ最初はアメリカから”始めなくてはいけなかった”のだろうか?マーベルのヒーローたるものアメリカに住んでいなくてはいけないのか?(そういえばシャンチーもアメリカ在住だったか)
そして、5話の脚本は完全に破綻している。前半の過去編こそ(ここでそこまで尺を取る必要があったかは別として)お話として成立しているのだが、現代に戻ってからは凄まじく、
・いきなり亀裂が生じる(なぜか明かされることはない)
・触ると死ぬ(なぜかはわからない)
・それでも入ろうとする(戻りたい一心で理性が失われてるのか?まだわかる)
・止めようと説得する→これまで非道の限りを尽くしてたのに「なぜか」一言で心変わりする。
・封印すると言う(封印の仕方を知っている描写は今の所ない)
・実際封印できる(なぜだ)
・息子に能力が移る(だからなぜだ!)
とかなり駆け足だ。おそらく脚本を監修する時間がなかったのだろう。
その後も、急にお母さんが理解を示すため、今まで4話かけて描いてきた母娘の葛藤の物語が一瞬でかたがつき台無しになり、挙句家族の力がうんぬんと今回の話数で初めて出たテーマをいいこと言った風に話し始めるため、意味不明だ。

つづく6話はまだマシだが、最後まで見ても、ブルーノとの恋愛?友情?関係に決着がつくこともなく、カリームとの関係も曖昧なまま、妄想癖といった初期の設定も特に回収されることなく終わる。最後の突然変異うんぬんの話も良くわからず、じゃあカリームやおばあちゃんに似たような力が発生したのはどうしてなのだろうか……。うーん、それは後々わかるのだろうか?
アクションシーンも全体的に魅力がなくもっさりしており、能力自体もあんまりワクワクしないものだったので、スーパーパワーものとしてもいいできとはいい難い。

腕輪が2つあって揃わないと云々みたいな話があった気がするけど、勝手に裂け目が開いた理由はなんでなんだろう……最後まで分からなかった。途中で、古文書や科学論文の話があったが、SF的説明が全くなされなかったのも特徴的だ。

あとどうでもいいけど、一般人が光に慄くシーン5話、6話それぞれあったが、CGと演技の調和が取れてなくかなり不自然で、こういう細かいところにアラが出ているのは理解がし難い。マーベルは制作資金は潤沢にありそうな気がするのだけれど、どうしてこうなった?
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