SQUR

呪怨:呪いの家のSQURのレビュー・感想・評価

呪怨:呪いの家(2020年製作のドラマ)
4.0
面白かった。魅せるドラマだ。

まず、ジェンダー表現について。
「ジェンダー描写に問題がある」という前評判を聞いていたのだけれど、通常の範疇だったと思う。確かに性的描写は多いが、特にこれといって差別的な表現は見受けられない。おそらくNetflix japanのこれまでの対応などを含めた先入観込みの評価なのだろう。多くの人は気にしないと思う。

ここからは内容の話。
このホラードラマ、あまり怖くなく、ミステリ的面白さの方が強い。時空が歪むのは本家『呪怨』でも用いられていた設定ではあるが、今作の方がよりわかりやすく強調されている。バラバラに映される事件が頭の中で徐々につながっていく。これが面白い。こう書くと『残穢』を思い起こす方も多いだろうけれど、『残穢』に比べるとあまり明示的に繋がりを示そうしていない。確かにつながっているのだが、それは映像としてしか示されないのだ。

そして、おそらくなのだが、製作側もそこまで怖がらせようとして作っていない。映画における(映像における)恐怖というのは、基本的に何か怖いことが起こる”予兆”と”怖い映像”の2つでできあがっていると思う。そうしたときに、このドラマはその予兆がほとんど描かれてない。怖い状態を持続させず、さらっと描いてしまう。
予兆の代わりに何がこのドラマを「ホラー」たらしめているのかというと、「不快さ」である。前述したような性暴力表現や、直接的・間接的暴力表現が至る所に散りばめられている(さらに、実際の事件と絡めることによって、制作陣の”悪意”まで感じ取れるようになっている)。「不快さ」を軸にしたホラーというと近年では『来る』があるが、あれに比べると今作はよりセックス・バイオレンスのほうに振れていて露悪的である。

最後に、この作品が完結しているかどうか、という話。
正直本編を見るだけでは、釈然としない。
まあ、でも、ホラーなので、全部すっきりするよりは中途半端でもいい気がする。もちろんシーズン2が来るんだったら観るけど……。
SQUR

SQUR